続けられる動画発信のポイント(オスカーワークス 岡本崇志)

続けられる動画発信のポイント

中小企業診断士の岡本崇志と申します。私は長年映像制作に携わり、CM、企業PV、アニメ、プラネタリウム番組を制作してきました。近年は映像・写真を用いた販売促進支援や補助金支援をさせていただいています。業務での映像制作は数分の映像を作るのに半年を要することも珍しくなく、工数がかかる重い仕事です。しかし動画のプロでなければそこまで負荷をかける必要はありません。視聴者に言いたいことが伝われば良いのです。映像の制作に関しては鎮目博道さんの記事が参考になります。https://mono-sozo.com/archives/645 私からは無理をせず続けられる動画発信のポイントをお伝えします。

 

渾身の1本で疲れ切っていませんか

昨今ではYoutubeなどで動画発信に取り組まれている企業が増えています。しかし1、2本作って力尽きる方も少なくありません。更新が止まったままで放置していると、活気がない会社と見られてマイナスイメージになりかねません。継続的な発信が大切です。

とはいえ映像制作が本業ではない皆さまは作業にかけられる労力に限りがあります。あまり無理をせず続けられるスタイルを探りましょう。もし動画編集が苦手なら、なるべく編集しないで済む撮り方を採用します。動画に映るのが苦手なら出なくて構いません。苦手は克服せずに避けて良いのです。まずは楽に続けられる要素を選んで構成しましょう。テレビ番組のような作り込んだ映像を目指す必要はありません。

例えば何十万回も再生数を集めている製材所の動画では、不要部分をカットする編集はしていますが、それ以外にテロップやナレーション、音楽は一切なく、大きな丸太が製材されていくだけのシンプルな内容です。それでも視聴者の興味に合致する内容であれば視聴数は伸びます。労力をかけることが目的にならないよう気を付けましょう。

 

1本の動画で伝えたいことは1つに絞る

1本の動画に伝えたいことを複数詰め込むと、内容がぼやけてしまい観てもらえません。人気を集めている動画では、視聴する前から観るとどんな良いことがあるかを想像できます。例えば、「板前の卵焼きを作れる」「巨大な丸太の製材で綺麗な木目があらわれる」「インボイス制度のポイントが10分で分かる」などです。視聴者は事前にある程度の内容を予想して、期待を持てたから視聴します。テーマが複数ある動画は視聴後の期待イメージが弱く、避けられます。伝えたいことが複数ある場合は、その数だけ本数を分けましょう。長時間の1本よりも、複数の短い動画の方が視聴に繋がります。

動画のテーマはサムネイル、タグに反映させましょう。視聴者に動画を見つけてもらえる可能性が上がります。サムネイルは動画の表紙です。おすすめの動画一覧などで表示されるサムネイル画像で興味をひけるかが重要です。タグは検索で見つけてもらいたいキーワードです。あまり沢山入れると無効になるので厳選しましょう。

 

また、「伝えたいこと」は視聴者にとって「観たいもの」になっているでしょうか。相手の目線で考えます。自社の営業をしたい気持ちはぐっと抑え、まずは視聴者の「観たいもの」から始めましょう。視聴者が「観たいもの」の宝は意外に身近に眠っています。職人技の手さばき、精密加工へのこだわり、あるいは社長や社員の個人的な趣味など。少しずつ見つけて発信してみましょう。

 

どんな動画も自由に作れますが、1点だけ、「誰かを傷つける内容になっていないか」という点には十分に注意してください。「誰か」は社員も含みます。炎上して批判が集まると、ついてしまったマイナスイメージを払拭するのは困難です。1人の担当者任せにせず、複数人でチェックしてから公開しましょう。なるべく年齢や性別など、視点が異なる方に見てもらうと効果が高まります。

 

構成は3行で書く

もし構成に迷ったら、短い文章で3行にまとめてみましょう。例えば次のように書きます。

 

【はじめ】:素人と板前のたまごやきはどう違うかを説明

【な か】:素人と板前の手順を比較

【おわり】:素人と板前のたまごやきを食べ比べ

 

映画や舞台で使われる三幕構成の要領です。ここでは脚本のように長い文章で書いてはいけません。テーマがぶれます。上記程度の文字数で簡潔にまとめます。どう初めて、どう着地するか、「はじめ」と「おわり」が重要です。それが決まれば「なか」は自ずと見えてきます。簡単にでも構成が決まれば、どんな素材を撮れば良いかをイメージでき、撮影が進めやすくなります。

 

作ったものは使いまわせ!

SNSや動画のプラットフォームは、Instagram、Twitter、Facebook、Youtube、などなど、多数あります。それらを全て欠かさず見て回る方は少数派です。多くは、ふだん使い慣れたプラットフォームだけを見ている方がほとんどです。InstagramやYoutubeに写真や動画を投稿したら、TwitterやFacebook、自社Webサイトにもリンクを貼ってお知らせしましょう。使いまわしで手を抜いていると思われるのでは、という心配は無用です。せっかく作ったものは、何重にも活用していきましょう。クラウドの名刺管理ツールにも近況を報告するSNS機能を持つものがあります。名刺交換した方に定期的に発信して、自社を思い出してもらえるためおすすめです。

 

動画を1本だけ公開して、多くの視聴者数を集めることはまずありません。1本だけでは点でしかなく、広いインターネットで見つけてもらうことは容易ではありません。多数の発信を網のように繋ぎ、面で展開することで視聴者が流入しはじめます。有名なユーチューバーも、最初の1本で突然注目を集めたわけではありません。地道に数を積み重ねたからこそ視聴者が集まります。SNSや動画投稿サイトで発信してきた数の厚みがあって初めて継続的に観てもらえます。

トピックを細かく分けて、シリーズ動画とすることも有効です。シリーズ動画は「再生リスト」機能でまとめましょう。また発信する数や頻度を維持するためには、動画にこだわりすぎず、写真や文字などの比較的手間が少ない方法の組み合わせも有効です。

 

まとめ

動画発信を始めるにあたって、完璧を目指す必要はありません。あまり気負いすぎず、まずは作って発信してみましょう。続けるうちに自社の魅力や視聴者が求めているトピックが見えてくるものです。続けるためには出来るだけ楽に作ることが大切です。毎回大変な思いをしていると更新ペースが落ちていきます。情報が古くなっても作りなおしが辛くなり、次第に放置してしまいます。なるべく気軽に発信できるスタイルを見つけていきましょう。

皆さまの魅力が伝わる動画発信で、視聴者との良い関係が築かれることを願っています。

この記事の著者

岡本崇志

岡本崇志合同会社オスカーワークス 代表社員 中小企業診断士

演出、CGディレクター、プロデューサーとして映像分野で長年活動。CM、アニメ、企業VP、展示会映像、プラネタリウム、VR映像にて演出、制作、プロモーションを経験。 現在は、経営コンサルタントとして映像・写真などビジュアルをを用いた販売促進、マーケティング支援、補助金支援などを行っている。

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