変革は充実した人生のために~株式会社城南村田 青沼社長インタビュー【第1回】

積極的な情報発信と社外人材を活用した仕組み作り

株式会社城南村田 代表取締役社長:青沼 隆宏 氏

城南村田は、チョコレートやクッキーなどギフト用お菓子のパッケージにおける真空成型トレーの金型および成形で高い技術力を持つ企業である。自社情報やユニークなオリジナル商品などをSNSや自社オンラインショップで積極的に情報発信している。独自性の高い取り組みを指揮する青沼 隆宏代表に話を伺った。

繊細なアナログ技術が強力な武器になる

真空成型トレーの金型製作、製品製造で高い技術力をお持ちですが、現在の事業についてお聞かせください。

 真空成型とはシート状のプラスチックを加熱し、金型との間を真空にして密着させることで形を作る技術です。コンビニの看板から、スーパーで売られるお惣菜用のトレー、車のバンパーなど、多岐にわたる商品の製造に広く使われています。当社は、デパートやテーマパークで販売されるギフト用のお菓子を入れるトレーを得意としています。菓子メーカーが作っているクッキーやチョコなどの商品を要望に合わせて配置し、商品が魅力的に見えるトレーを製作します。50年以上の歴史で培った2万点を超えるトレーの作製経験に裏打ちされた確かな技術で、複雑な形状にも迅速に対応できる強みがあります。

木型師が顧客の要望に応じて型を作成

 

お菓子を組み合わせて美しく魅せるトレー

お菓子用トレーの試作型はCADではなく木型師が手彫りで作られるそうですね。

CADを利用した設計から切削で試作型の作成も行いますが、弊社の特色は木型師の手彫りによる試作型の作成です。木型は表現力の豊かさとレスポンスの早さが魅力です。複雑で繊細な曲線を多用した形状の金型はCADでは表現が難しく、とても図面で引けるものではありません。またCADはデータ上で見るだけですが、個体差が大きいクッキーやチョコも木型なら現物を入れながら検証して削って形を作っていけます。修正する場合、CADだとデータに戻って複雑な設計データを修正し、マシニングセンタで再度出力を繰り返す必要がありますが、木型ならその場で削ったりパテで埋めたりと木型師の達人技で修正も自由自在です。

積極的な情報発信で見えてきたもの

SNSやブログなどで積極的に情報発信されている狙いを教えてください。

今の時代にある会社として、100年前や、100年後でもなく、今だから出来ることは積極的にやりたいという想いがあります。人々の主要な情報源となっているインターネットに我々自身が情報を流せる選択肢がある時代にいるのに、流さないという選択肢はないですね。情報発信は、あるタイミングで突然やりたいと思っても出来ません。発信し続けたノウハウなどの蓄積があって出来るようになるので、練習も含めて日々発信することが大事です。そうした考えをずっと持ち続けていたところ、社外に協力者が得られたのをきっかけに始めました。

SNSだと写真の反応が良いですね。私は釣りが好きですが、最近では琵琶湖のブラックバス釣りの記事が目を引く写真の力もあって反応が良かった。これはブラックバス好きのグループ内で拡散されました。また、その反応を超えたのが当社のオンラインショップ「面白半分商店」で販売している「京急蒲田を“迷宮蒲田”にしない立体案内図」の記事です。これは動画の面白さでSNS上に広く拡散されました。反響が大きかったこれら2つの記事は、それぞれ拡散された場所や届いた相手は全く違いました。

大きな反響があった琵琶湖のブラックバス。60cmを超える大物だ

複雑な京急蒲田駅を透明アクリルで再現した「京急蒲田を“迷宮蒲田”にしない立体案内図」

情報発信の経験から分かってきたことはありますか。

情報発信を続けてきた経験を踏まえ、今後はどういうスタンスで発信するかを整理した方が良いのではないかと考えています。例えばこれまではSNSでBtoC寄りの発信をしていましたが、当社の事業で顧客が多いBtoB向けの発信もメディアを使い分けて発信すべきか検討しています。同じSNSで様々な情報を雑多に発信している状態では、顧客が当社に対して確立したイメージを持てないのではないかという心配があります。発信するメッセージで将来の顧客が決まってしまう可能性があるので、発信するイメージには気を付けないといけません。将来当社の顧客になりうる客層を想定するというのは一番難しいところです。
これらは情報発信を続けてきたからこそ見えてきたものです。現在は試行を続けながらPDCAを回しています。

 

展示会への出展についてはいかがですか。

展示会は不特定多数に届くSNS等とは真逆で、ターゲット顧客は出展する展示会により絞られていて明確です。先日出展した展示会は光学機器の専門展でした。出展社は光学レンズメーカー、製造機器メーカーが中心で、そこに出展している包装資材メーカーは当社だけです。当社はレンズ用運搬トレー専門メーカーとして出展のスタンスを明確にしました。

出展してみて分かったのは展示会の来場者ではなく出展社が当社の顧客になりうる会社だということです。立ち寄っていただいたメーカーはとても反応が良かったですね。それぞれに課題を持って相談してきていただいて、当社が想定していなかったニーズも見えてきました。以前に出展した展示会では来場者に向けたストーリーを考えていましたが、我々はメインの商材を作っているわけではなく包装資材なので、それを目的に来場する人は多くありません。一方で、他の出展社は将来の潜在顧客です。機器メーカーなどの出展社に向けた発信が当社には向いていると思います。

外部専門家活用と仕組みづくり

情報発信では外部の専門家を活用されていますが、その狙いを教えてください。

社内の人間だけで会社の運営をせず、外部の人材を活用するお試しの意味があります。最近、北海道札幌市にあるスズキ工業所のM&Aをしましたが、同社の事業はプレス金型・加工と鉄工です。当社とはものづくり企業という点では同じですが、製品も顧客も全く違います。今後も事業領域を変化させていくと、新しい技術や取り扱う設備がさらに増えてくるはずで、それをどう活かして企画し、製品を出していくかを、今の社内だけで考えていくのはまず無理です。そのため、社外の人材が参加して運営ができる仕組み作りを目指しています。

一方で、新たな商品開発の取り組みの際に外部専門家が参加していることやその企画内容が社員によく伝わっていなかった反省点がありました。外部専門家を活用しつつ、社内SNS等を通じて社員を巻き込んでいくことも今後の課題です。


【企業情報】
業種   真空成型トレーを主とした金型・パッケージ製造業

設立年月          1965年6月1日

資本金              4,000万円

従業員数          14人

代表者              青沼 隆宏

本社所在地      東京都大田区蒲田本町1丁目9番7号

電話番号          03-5744-3555

公式HP          https://www.jonan-murata.jp/


 

この記事の著者

岡本崇志

岡本崇志

演出、CGディレクター、プロデューサーとして映像分野で長年活動。CM、アニメ、企業VP、展示会映像、プラネタリウム、VR映像にて演出、制作、プロモーションを経験。 現在は、経営コンサルタントとして映像・写真などビジュアルをを用いた販売促進、マーケティング支援、補助金支援などを行っている。

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