- 2024-2-13
- 取材・インタビュー
大変動の時代とともに家業を引き継ぐ
堤工業株式会社は1930年に初代栗原三郎氏が栗原製作所として発足。1944年にプラスチック加工を開始し、今日まで「プラスチック加工の専門家」として、プラスチック切削加工を生業としてきた。販路拡大、情報共有、人材育成を中心に社内改革を進めるなかで、堤工業が目指す理想像について、代表取締役の栗原良一氏(以下栗原社長)に話をうかがっていく。第二回は堤工業の成り立ちと、栗原社長のキャリアと事業承継について取り上げます。
堤工業の成り立ち
御社の成り立ちや、樹脂に注力されていったきっかけなどを教えてください。
栗原氏:先代社長から伝え聞いた話ですが、現在までお付き合いのあるお客様がいまして、現在の所在地に移転する以前は目と鼻の先の位置にありました。そちらのお客様との関係性が大きいのかと思います。そのお客様から樹脂関係の仕事を求められるようになり、徐々に樹脂加工に深くかかわっていきました。お客様が樹脂の材料の研究開発を進める過程で、どんな材料を使ったらどうなるのかといった要望が多々あったそうです。
栗原社長の堤工業での歩み
栗原社長は、これまでどのようなキャリアを積まれ、現在にまで至ったのでしょうか
栗原氏:僕は大学を卒業してすぐ堤工業へ入社しました。ただ、現在の所在地に移転する以前は工場と自宅が隣接していたため、実は中学生くらいから工場に出入りして、実際に作業をしていました。入社後は現場作業ではなく、外回りやお客様への納品を担当することとなり、そちらへ専念しました。
入社前の現場経験はお客様との会話や対応にも活かされているのでしょうか。
栗原氏:そうですね。ずっと加工現場に携わってきましたし、そうした経験が活かされている面はあります。今でも自分で色々と調べるので自然と知識がアップデートされていき、お客様と話しているときにはこういった知識が必要なんじゃないのかなと思うようになりました。
突然の社長就任から始まる社長業
社長に就任してから様々なご苦労があったのではないでしょうか。
栗原氏:父から社長を引き継ぎましたが、色々教わりつつ徐々に引き継いだというわけではありませんでした。2011年当時、父もまだ社長やるつもりだったと思いますが、リーマンショックもあり業績が落ち込んでいて、これからどうしようかなという時期でした。父は技術系の職人なので、いいものを作っていれば大丈夫じゃないかと考えていたようですが、何かしら変えていかなきゃいけないのかなという時期でした。父との話し合いが続くなかで、「そろそろ譲ってあげないと、この子、どこかへいっちゃうんじゃないかな?」という横で見ていた母の一言がひとつのきっかけになり、事業を引き継ぐこととなりました。会社の経営状況も分かっていなくて、最初の給料の支払いをどうしようというレベルから始まりました。その当時は大変でしたね。父は現在もそばにいてくれているので、何かあったら手を差し伸べてくれると思っています。
社長に就任された際の従業員の皆様やお客様からの反応はいかがでしたか。
栗原氏:どうでしょうか。その頃は僕より年上の従業員しかいませんでしたが、一緒に働いている間柄でしたし、いずれ変わるべきものが変わった、とそう思われていたのではないでしょうか。お客様からは概ね好意的な反応が多かったです。顔見知りだったこともあり、色々と言いやすくなるといった側面があったのだと思います。
会社として好転した面も多くあったのではないでしょうか。
栗原氏:私が社長に就任して以降、いくつかの補助金を活用し社内設備の入れ替えを進めました。ちょうど更新の時期だったこともありましたが、社内の生産体制を強化することができました。導入した対応力の良いメーカーさんを中心に選定しました。また、人材面でも採用に力を入れ、若い方に入ってもらうことができました。社内教育も強化し、積極的なコミュニケーションをとれるような取り組みもしています。
先を見据えると、東京という地域でのものづくりに難しさを感じている部分があります。どんどん人を入れて増やしていくぞ、というよりは、今ここで働いてくれている人たちが、この会社で働くことができてよかったと思うような環境を整えてあげることが、大切にすべきことだと考えています。
業種 プラスチック切削加工、FRP・エンプラ・熱硬化性樹脂・汎用プラスチックなど樹脂全般
設立年月 昭和28年9月
資本金 10,000,000円
従業員数 8人
代表者 栗原良一
本社所在地 〒144-0056 東京都大田区西六郷3-20-12
電話番号 03-6428-7877
公式HP https://2-2-3.com/