願うは社員の幸せ。本業は金属加工業、そして異色のゴルフパター製作①(株式会社ニュープラン 代表取締役 遠藤 宏 様)

事業は父から受け継ぎ、ニュープランの名は兄から受け継いだ

大田区仲六郷にある株式会社ニュープランは試作品加工を主力とする金属加工企業だ。1999年に創業し、短納期とアルミワイヤーカットを強みに売り上げを伸ばしてきた。コロナ禍の苦境のなかユニークな新事業パター(ゴルフクラブ)の製作を始めた。
本特集では、株式会社ニュープランの2代目社長である遠藤宏氏にお話を伺った。第一回目は、会社の変遷や遠藤氏自身の哲学を取り上げる。

株式会社ニュープラン代表取締役 遠藤宏氏

 

ニュープランの誕生と事業承継

会社名「ニュープラン」の由来について教えてください

遠藤氏:僕はこの会社の2代目で、会社名は初代社長である兄が決めたものです。話は遡りますが、僕が高校を卒業してホテルマンとして2年半ほど仕事をしていたときに、トーシン工業という町工場を経営していた父から「跡継ぎとして戻ってきて欲しい」と言われ、そのまま後継ぎとしてトーシン工業に入社しました。父は男の子どもが2人いるのにこのまま会社が無くなってしまうのは寂しく、僕を跡継ぎとしたのだと思います。僕がトーシン工業に入社してから何年か経ったとき、当時板前をしていた兄も板前を辞めてトーシン工業で働くようになりました。しかしトーシン工業は僕が後継ぎだったものですから、兄はニュープランという別会社を起こして初代社長になりました。ニュープランという会社名の由来についてはっきりとは聞いていませんが、多岐にわたる事業を行いたいという考えで、“製作所”という和名ではなく横文字を使い、「何か新しいことをやる」という意味を持たせ、ありそうでない会社名としてニュープランとつけたようです。ニュープランは、商社のような業務を行っていました。
僕がトーシン工業の2代目候補となってからは、兄のニュープランと取引を行うなど、二社は協力体制にありました。ところが、徐々にトーシン工業の事業の見通しが悪化し、この危機をどう切り抜けようかとコンサルタントに相談した結論、トーシン工業の事業をニュープランに全部移して、僕が継ぐはずだったトーシン工業を畳むことになりました。そこで中身はトーシン工業でありながらニュープランの会社名が残ったわけです。当初は兄が社長、僕は専務という体制でやっていたのですが、兄に色々な事情ができ僕が2代目社長に就任しました。

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掲げた目標は従業員の幸せ

社長になるときに、掲げた目標や決意はあったのでしょうか

遠藤氏:僕の幸せではなくて従業員の幸せが目標ですね。会社のみんなが潤ってほしい、幸せになってほしいと思っています。会社は何のためにあるのか、誰のためにあるのかというと、そこで働いている人達のためにあると僕は思っています。

 

なぜ従業員の幸せを願うようになったのですか。きっかけがあれば教えてください

遠藤氏:当前のことだと思っていましたが、もしかしたら父が反面教師となったのかもしれません。父は会社は自分の物という考えで、何事も自分だけで決めていました。兄も父に近い考えを持っていました。会社の問題解決をする場面で、僕は父に「みんなの意見を取り入れる場を設け意見を聞き入れてほしい」とお願いしたのですが、聞き入れられませんでした。なぜそうしなかったのか不思議でした。それがきっかけの1つかもしれませんね。

社長はたしかに責任を負っていますが、従業員がいなかったら会社は成り立たちません。お金を持って行くのは従業員だけど、お金を持って来るのも従業員です。以前勤務したホテル会社の「人が資産」という思想も影響しているかもしれません。会社から「お前がいなくなっても良い」と扱われたら、そんな会社にはいたくないと思いますよ。「言われた通りやればいい!」なんて冷たい感じで言う会社には何の魅力も感じません。

僕自身にそのような魅力があるかは自信がありませんが、この思いは持ち続けたいと思っています。

 

従業員とのコミュニケーションはどのようにとっていますか

遠藤氏:暑気払いと忘年会を開いています。コロナ禍前は、会社負担でお店へ行き社員と飲みニケーションをしていました。酒があまり飲めない社員がいたので、毎月など頻繁に誘うのは気が引けましたが、年2回なら良いかと会社の行事として強制的に行っています(笑)。自由参加で急に誘うこともあります。僕は、「飲めそうだ」とよく言われますがさほど量は飲めず、飲んだら眠くなるので、起きているのが大変なんですよ(笑)。

 

ニュープランの今後について

お子さんは後継ぎとして考えていますか

遠藤氏:子供は長女、長男、次男と3人いるのですが、今は全く後継ぎとして考えていません。子供が継ぎたいと言えば考えるかもしれませんが、僕からは継いでくれとは言いません。

将来のニュープランさんが、こうなったら良いなという姿があれば教えてください

遠藤氏:みんなが幸せになったらいいなと思っています。欲を言えば、自社ビルや自社工場を持てれば良いなというのはありますよ。今は全くの夢ですが、何が起きるか分かりません。今作っているパターが爆発的に売れたらできるかもしれないとか、夢が実現することを妄想するのは楽しいですよね。

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業種   金属加工業

設立年月          1999年6月1日

資本金              10,000,000円

従業員数          7人

代表者              遠藤 宏

本社所在地      東京都大田区仲六郷3-28-5

電話番号          03-3734-8611

公式HP           https://newplan1999.com/

この記事の著者

牛屋広和

牛屋広和中小企業診断士

大卒業後、建設会社にて民間建築の営業を担当。AI分野などの幅広い知識を習得し、常に最新のトレンドや技術動向に敏感になることを心がけている。2021年には中小企業診断士としての登録。自身の成長と共に顧客に貢献し、最善のアドバイス提供することを目指している。1歳の娘の子育て中。

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