変革は充実した人生のために~株式会社城南村田 青沼社長インタビュー【第3回(最終回)】

充実した人生のために

城南村田は卸売事業を起点に、M&Aで大きく事業領域を変化させてきた。変化に終わりはなく、社員一人一人が充実を感じられる仕事の在り方の模索を続けている。青沼 隆宏代表に今後の展望を伺った。

株式会社城南村田 青沼代表と社員のみなさま

 

拠点を北海道に移し、新たな形を模索

札幌のスズキ工業所のM&Aをした狙いを教えてください。

東京蒲田本社の建物が老朽化して、いずれ建て替えが必要という話が前々からありました。ただ、建て替え中の一時操業先や資金面などの課題があり、なかなか話が前に進まなかった。本社の立地は駅に近くて利便性が良く、以前は頻繁にお客さんが来ていたので、あまり本社から離れない場所で探していましたが、移転先が見つかりませんでした。そうするうちに新型コロナウイルス感染症の影響で打ち合わせはオンラインが当たり前になりました。そこで蒲田周辺にこだわる必要がなくなったため、地方で移転先を検討しはじめました。とは言っても、地方移転で職人の全員が移住できるわけではありません。現地で1から採用するのは大変です。人材面の対応をどうするか考えていたところ、そもそも当社はM&Aで成長してきた経験がある企業だと気づき、M&Aで候補を探しました。それで群馬県館林市と北海道札幌市の企業が選択肢に挙がりました。両社を比較して館林市は札幌市と移動時間がさほど変わらないこと、スズキ工業所の決算書に誠実さを感じたことから札幌市に決めました。

東京と札幌は、今後どのような役割分担になるのでしょうか。

現在、札幌の事業所では場所を整理してスペースを作っているところです。そこに蒲田にある設備の一部を移設します。職人も一部は移住します。東京は設計、試作、成形で、札幌では金型を作ります。そうすると、東京は工場に使う面積を減らせるので、蒲田本社は操業しながらの建て替えが可能になります。建て替え完了後の工場は、一部は自分たちで使いますが、大田区には企業間連携を目的に、自社の工場に貸工場を併設させる「工場アパート」という助成制度がありますので、使わないスペースは「工場アパート」として貸し出します。

設計に関しては場所を選ばずに出来ますので、札幌での採用もあり得ると思っています。札幌で暮らしたいと考えていても、3か月や半年の研修なら東京に行ってみたいという人もいるかもしれません。そうすると本人の意向にも沿えるし、地域の雇用で社会にも貢献できて理想的かなと思います。

真空成型金型の表面を磨き整える研磨作業

モノづくりが好きな人が入りたい会社に

人材採用について教えてください。

未経験で入社し、最初から当社が手掛ける真空成型トレーの金型を作りたいという人はまずいません。そもそも真空成型トレーを知らない人の方が多いですね。スズキ工業所が手掛けている農機具向けのプレス部品を作りたい人がいるかというと多分いない。もっとニッチなもので言うと、先日、漁師さんが使う八尺という漁具の製作を受注しました。3.5メートルもある大きな熊手のようなものを船で曳いて海底を引っかき、ホタテを掘り起こすための漁具です。これを作りたいという人も多分いない。
でも私がそうでしたが、ものづくりが好きな人はいます。そうしたものづくりが好きな人が当社の仕事を見ると、八尺も作っているし、真空成型の金型も、ソフビ人形(写真1)も、実用性のないリアル餃子トレー(写真2)や京急蒲田駅の模型も作っていて、面白そうじゃないですか。ここなら色々なものを作れるかもしれない、面白そうだなと思われる会社になってものづくりが好きな人たちが集まってくれば、さらに良いものづくりが出来る企業になると思います。それは品質にも影響して、お客さんからの評価にもつながります。ものづくりが好きな人が力を発揮できる場づくりが大事ですね。

写真1:青沼代表が原作者に直接交渉して実現した「こびとづかん」ソフビ人形

写真2:自社オンラインショップで販売している「“餃子の街蒲田御三家”超リアル餃子トレー」

将来は牧場経営?この先に目指すもの

この先のビジョンや取り組みたいことはありますか。

最後は牧場を経営したいです。それぞれの事業は出来るだけ若い人に任せ、私は牧場経営をやりたいです。

牧場とは驚きです。

牧場のM&Aをして会社の定年退職者を引き受ける一部門にするイメージですね。そこに川か池を作って私は好きな釣りをする。管理釣り場としてお客様を迎えても良い。定年を迎えた人は、そういう生活も良いと思うなら我々の牧場に移住してもらって働くのも良いと思います。牧場で仲間もいて住む場所があり、食事もあって、やることもあって。充実して楽しいと思いますよ。出来れば年寄りだけでなく子供たちも夏休み等の際に1週間・2週間単位でステイ出来るような施設に出来たら面白いと思います。

事業を任せていく若手の育成についてはいかがでしょうか。

東京は若い社員が育ってきていますが、北海道はこれからですね。20代、30代の若手がいません。ただ、北海道の方が人を育てやすい環境だと思います。東京は短期間で転職する人が多い環境なので、なかなかじっくりと人を育てるのが難しい。一方、北海道は定着する可能性が高くて時間をかけて育てることができます。生活コストが低くて、トータルの満足度を上げられる利点もあります。SNSによる情報発信など、外部の人材で出来ることは外部専門家を活用していきますが、当社でしか出来ないコアの強みはしっかり社内で持つ必要があるので、時間をかけて社員の育成を進めていきます。

3Dスキャンやレーザー加工など新技術も積極的に取り入れている

 

これからも大きな変化を遂げていきそうですね。

人生の貴重な時間を使って仕事をしていますので、人生をすり減らすのではなく、会社として社会に貢献できる場づくりと社員一人一人の幸せにつながる環境を同時に実現できる、人生の充実を感じてもらえる環境を追い求めていきます。


【企業情報】
業種   真空成型トレーを主とした金型・パッケージ製造業

設立年月          1965年6月1日

資本金              4,000万円

従業員数          14人

代表者              青沼 隆宏

本社所在地      東京都大田区蒲田本町1丁目9番7号

電話番号          03-5744-3555

公式HP          https://www.jonan-murata.jp/

この記事の著者

岡本崇志

岡本崇志

演出、CGディレクター、プロデューサーとして映像分野で長年活動。CM、アニメ、企業VP、展示会映像、プラネタリウム、VR映像にて演出、制作、プロモーションを経験。 現在は、経営コンサルタントとして映像・写真などビジュアルをを用いた販売促進、マーケティング支援、補助金支援などを行っている。

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