製造業のWEBマーケティング⑤「運用して成果を出す」(リアライズ総合研究所 延島隆裕)

製造業のWEBマーケティング⑤「運用して成果を出す」
技術力や自社製品を武器にBtoBの取引先を開拓したい中小製造業向けに、WEBマーケティングを戦略的に活用して事業拡大を実現する方法をお伝えするシリーズ。第4回では、「4.全体像と指標を理解する。」と題し、HPを戦略的に運用する際に必須の考え方をお伝えしました。最終回は「5.運用して成果を出す。」と題し、HPを戦略的に運用して成果につなげる方法をお伝えします。

この方法を実践した会社で、次の日に新規取引先から問い合わせがあり、最終的に商談に進んだケースもありました。この方法とはインターネット広告でした。

この話をすると、「一般消費者向けではあるまいし、法人取引先開拓にインターネット広告?」と懐疑的な反応をされる経営者の方がいらっしゃいますが、BtoBだからこそインターネット広告の効率が良いのです。その理由について、具体的に説明していきます。

 

【BtoBの新規取引先開拓にインターネット広告を活用すべき理由】

1.顕在化したニーズを即座に捉えることができる

企業の購買担当者が取引先を探す場合、多くは既存の取引先に問い合わせるかまたはインターネットで検索する、のいずれかの行動をおこします。特に、インターネットで検索した際に、そのニーズに応えられる取引先の候補として自社が認知されれば、問い合わせを促すことができます。具体的には、GoogleやYahooのキーワード広告(リスティング広告)という方法を利用して、特定のキーワードを検索した見込み客のニーズに応えられる取引先の候補として認知してもらうのです。

検索エンジンでも検索結果の上位に表示されれば同じ効果が得られる可能性はありますが、上位に表示されるかどうかは検索エンジンのロジックに依存し自社ではコントロールできません。一方でキーワード広告は、自社の管理次第でHPへのアクセス数を向上させることができ、BtoBの取引先開拓に適しています。

2.少額の予算で実施できる

顕在化しているニーズにアプローチできる特性を持つキーワード広告は少予算で実施できます。これは広告が表示されてもクリックされなければ費用は発生せず、広告がクリックされて初めて費用が発生する成果報酬型で、無駄な費用が発生しないためです。また、BtoCでは毎日多くの顧客が広告をクリックしその分が費用として課金されますが、BtoBの場合クリック数は週や月の期間で一定数程度と少なく少額に収まります。例えば展示会は1回の出展に何十万円も必要となることがありますが、1ケ月あたり2~5万円の予算で実施できるキーワード広告は取組みやすい施策ではないでしょうか。

3.費用対効果が高い

業種や品目によりますが、BtoBの初回の取引額は数十万円単位であるケースが多いでしょう。また、一度取引が始まると、その後も追加受注や別件での受注にもつながるなどリピート性が見込めるため、累計取引額は数百万円、数千万円単位になる可能性もあります。前述した会社の事例では、数百万円の商談を獲得するのに費やしたキーワード広告費用は5千円でした。このように、わずかな広告費用で大きな売上につなげられる可能性があるため、費用対効果が高いといえます。

では、キーワード広告費用として適正な予算を考えていきましょう。業種や品目によって適正予算は変わりますし、複数品目を扱っている場合は、品目ごとに設定していきます。

まず、過去の取引を振り返り、自社顧客からの受注傾向を掴みましょう。例えば、最初の取引は小さい試作品の依頼から始まり、徐々に受注量が増えていき、安定的に毎月受注できる品目なのか、あるいは、受注頻度は少ないが1回あたり大きな受注量を見込める品目なのか、などです。

次に、1取引先あたりの1年間の受注金額と総利益金額を算出します。そして、その金額を獲得するために費やせる広告宣伝費用を数パターン試算します。

このような手順を踏めば、キーワード広告費用を予算化する判断は比較的容易だと考えますので、一度検討してみてはいかがでしょうか。

第1回~第4回でお伝えしてきたことを実践すれば、営業マンとして機能するHPが完成します。しかし、HPを放置していては、宝の持ち腐れです。見込み客がHPにアクセスすることを成り行きに任せず、営業活動の一環として戦略的にキーワード広告を運用していくことが、目標計画の達成に不可欠です。

5回に渡りお伝えしたWEBマーケティングを戦略的に活用する方法が、御社の事業拡大のお役に立てば幸いです。

この記事の著者

延島隆裕

延島隆裕(株)リアライズ総合研究所 代表取締役 経営コンサルタント 認定経営革新等支援機関 中小企業診断士

船井総合研究所在職時から約15年間、中小企業の経営力向上コンサルティングに従事。特に小売業、製造業においてインターネットマーケティングを活用した売上向上・収益改善の実績多数。新規事業を責任者として立ち上げた経験も活かし、経営者と従業員の双方の目線で、現場で手を動かし成果を生み出す支援には定評がある。プロの気概、現場主義、成果主義がモットー。

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