製造業のWEBマーケティング③「自社を理解する」(リアライズ総合研究所 延島隆裕)

製造業のWEBマーケティング③「自社を理解する」

技術力や自社製品を武器にBtoBの取引先を開拓したい中小製造業向けに、WEBマーケティングを戦略的に活用して事業拡大を実現する方法をお伝えするシリーズ。第2回目は「市場を理解する。」をテーマに、3C分析のうちustomer(顧客)とompetitor(競合)を理解するポイントをお伝えしました。客観的な視点で調査を行った結果、顧客と競合の理解が進んだと思います。第3回目は「自社を理解する。」と題し、3C分析のompany(自社)の理解に取り組んでいきます。

 

自社の理解を行う目的は、「顧客に対し、競合と比較して自社の相対的な強みは何か?」を明確にすることです。これを別の言葉で表現すると、「顧客が、競合ではなく、自社を選ぶ理由は何か?」あるいは「自社が顧客に選ばれる理由」の明確化です。注目していただきたいのは、明確にするのは“相対的な”強みであり、主観的な自社の強みではないことです。つまり、自社の強みだと認識していることであっても、顧客の課題解決につながらないことや競合も同様にできることであれば、HPでその強みを謳ったとしても顧客が自社を選ぶ理由としては弱く、HPが「見込み客を連れてくる営業マン」として機能することは困難です。そのため、「顧客のニーズや課題」と「競合の対応状況」を念頭に置きながら、以下の情報を確認していきましょう。

 

・自社の理解に役立つ情報

・自社が属する業種・業界の市場規模と推移、業界動向、直面する課題など

・自社の製品、各製品の売上構成比、技術力、業界内でのシェアなど

・自社の取引先、各取引先の売上構成比、取引先内でのシェアなど

・試作品のリードタイムや対応ルールなど

・製品ごとの最小ロットや納期、受注ルールなど

・経営理念、経営戦略、経営計画など

 

自社が選ばれる理由を明確にする方法は3つあります。

1.競合と比較する方法

上記の情報を基に3C分析を行うと、競合と自社を比較する方法は次の3つに整理されます。

(1)顧客のニーズや課題に対して、自社だけが対応できること

(2)顧客のニーズや課題に対して、自社も競合も対応できること

(3)顧客のニーズや課題に対して、競合だけが対応できること

(1)は、「自社が選ばれる理由」そのものであり、HP上で最も訴求すべき内容です。顧客のニーズを満たし課題を解決できるのは自社だけであることを明確にして、徹底的に情報発信をしていきましょう。自社製品や技術力のアピール、製作事例の紹介なども充実させます。また、独自性を強調するという意味で、会社概要の充実だけでなく、経営理念や代表者のメッセージの掲載も有効です。BtoBを行う会社のHPのアクセス数を分析すると会社情報ページへのアクセス数が上位に入ることが多く、顧客は「何を買うか」だけではなく、「誰から買うか」も重要視することが分かります。自社が何者なのか、何をモットーに事業活動を行っているのか、しっかりと情報発信しましょう。

(2)は、「自社が選ばれる理由」にもなる可能性もありますが、相対的な強みを発揮しにくい内容です。少なくとも、競合のHPでの情報量と質で見劣りしないような情報発信を行いましょう。注意点は、顧客がHPを見た時に内容を把握でき、信頼していただけるという観点で、少なくとも優劣がつかない情報を掲載しましょう。

(3)は、優先順位を下げても良い内容です。これに対応しないと今後の事業運営上致命的になる内容でなければ、今後の対応の検討材料として捉える程度で良いとでしょう。

ここまでで整理した(1)(2)の内容に関して根拠や事例を確認したり、発展的な情報を確認したりするために、次の2つの方法にも取り組みましょう。

 

2.従業員に聞く方法

競合との比較で「自社が選ばれる理由」がぼんやりと見えてきたと思います。次に取り組むのが、従業員に聞く方法です。やり方はシンプルで、「既存取引先が自社に継続的に発注してくれる理由はなぜだろう?」「営業の際は何をアピールしている?」「取引先からどんなお褒めの言葉をもらった?」など、従業員が日々の仕事の中で感じている「自社が選ばれる理由」を明文化していきます。その際は、事実と推測を分けて把握しましょう。

 

3.既存取引先に聞く方法

最後に紹介する既存取引先に聞く方法は、「自社が選ばれる理由」を最も明確にします。「なぜ自社に問い合わせてきたのか?」「なぜ発注してくれたのか?」「なぜ今でも取引を継続してくれているのか?」「自社ならではの特徴は何だと思うか?」など、直接質問してみましょう。といっても、実行できない事業者が多いのではないでしょうか。既存取引先にただ質問するだけなのに、今更聞けないという心理が邪魔をするのでしょうか。筆者の顧問先では定常業務として営業担当者が実行していますが、アンケートを使用する、社内の専用部署から質問するなど、仕組み化するとスムーズに把握できます。競合と比較する方法と従業員に聞く方法で収集できる内容は推測の要素が強くなる傾向にあります。そのため、既存取引先に聞く方法も取り入れ、客観的な事実を収集し、「自社が選ばれる理由」を明確にしていきましょう。

WEBマーケティング戦略の立案方法は経営戦略の立案方法と同様、と前回伝えましたが、3C分析を行うと、どのような情報をHPに掲載しなければいけないのかが、具体的に考察できたと思います。あとは、それに基づき、HPの掲載内容を決定し、制作していくだけです。

次回は、HPを運用する準備です。第4回「全体像と指標を理解する。」を是非ご覧ください。

この記事の著者

延島隆裕

延島隆裕(株)リアライズ総合研究所 代表取締役 経営コンサルタント 認定経営革新等支援機関 中小企業診断士

船井総合研究所在職時から約15年間、中小企業の経営力向上コンサルティングに従事。特に小売業、製造業においてインターネットマーケティングを活用した売上向上・収益改善の実績多数。新規事業を責任者として立ち上げた経験も活かし、経営者と従業員の双方の目線で、現場で手を動かし成果を生み出す支援には定評がある。プロの気概、現場主義、成果主義がモットー。

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