- 2024-10-1
- 取材・インタビュー
~実演で魅せる技術力—「SMAP」が生み出す顧客との信頼関係~
進化し続ける現場—東洋研磨材工業の今
東京都港区三田にある東洋研磨材工業株式会社の本社ビルを訪問しました。麻布十番駅から徒歩3~5分の都心に位置するこのビルの1階にはショールームがあり、10台程の研磨機が展示されています。多くは同社の主力商品である研磨機「SMAP」で、その研磨機で仕上げたサンプルも展示され、訪問者が実際の仕上がりを確認できます。一角には打ち合わせコーナーが設けられ、ここで大内社長と技術研究部のスタッフの方にインタビューを行いました。
鏡面ショットマシン「SMAP」の技術的魅力とその誕生秘話
東洋研磨材工業の主力製品である鏡面ショットマシン「SMAP」の展開状況等について教えていただけますか。
大内氏:おかげさまで、「SMAP」は現在も当社の主力製品で、多くのお客様にご愛顧いただいております。その汎用性の高さから、さまざまな現場で活用されています。展示会で製品をご覧いただいたお客様がその性能を実感し、即購入を決定されることも少なくありません。小型機から使用を開始され、その効果に満足され大型機の購入へ進むケースが増えています。製品販売に加えSMAP専用の研磨メディアも好調で、品質の高さと多様な選択肢が評価され多くのリピーターに支持されています。
「SMAP」が誕生した背景や、その技術的な特徴について詳しく教えてください。
大内氏:「SMAP」は当社の鏡面加工機で、この機械を用いた鏡面ラップ処理や鏡面研磨加工を「SMAP処理」と呼んでいます。歯科用の精密研磨技術を工業用に転用し、細かい仕上げが求められる歯科分野のノウハウを活用しています。開発当時の技術長がこの技術に着目し、工業用途向けに改良を重ねたことで現在の「SMAP」が生まれました。「SMAP」は研磨材を均一に搬送し短時間でムラのない仕上がりを実現します。さらに、「SMAP」の最大の特徴は乾式を採用していることです。湿式研磨加工では水分を使用するため廃水処理や乾燥工程が必要ですが、「SMAP」は乾式であるためこれらの工程が不要です。これにより、作業効率が高く環境への負荷も低減することができるため、作業環境もクリーンに保てます。
素材を包み込むクッション性—「SMAP」が実現する繊細な研磨技術
ショールームで「SMAP」の実演を見せていただきました。財布から取り出した10円玉を技術研究部の齋藤氏に渡すと、その場で実演が始まります。齋藤氏がフットスイッチを入れると、それまで静かだった「SMAP」がモーター音と共に稼働し始めます。ただ、その音は控えめで決してうるさくはありません。10円玉を装置に入れ、透明な保護窓を閉め、装置組み付けの手袋でメディアに当てながら研磨を進めると、元のくすんだ10円玉がわずか1〜2分で新品同様に磨き上げられました。この短時間での研磨効果は「SMAP」の高い技術力を実感させるものでした。
実際に「SMAPメディア」に触れてみると、その独特な感触に驚かされます。研磨材と言えば、一般的に硬い粒子を連想しますが、このメディアはまるで発泡スチロールの粉のように柔らかく、しっとりとした手触りがありました。これは「SMAP」の技術の特徴なのでしょうか。
大内氏:そうなんです。「SMAP」の特徴の一つとして、このクッション性が挙げられます。このクッション性により、素材を傷つけず、丁寧に研磨することが可能です。特に精密な機械部品やデリケートな素材の研磨において大きな利点です。多くの顧客が、その仕上がりの均一性や質感に満足くださっており、実際に手に取っていただくとその違いが実感できると思います。私たちは常にお客様の声を大切にし、そのフィードバックをもとに「SMAP」の技術改良を続けています。こうして進化した技術を他の製品開発にも役立てており、当社全体の技術力向上に貢献しています。
展示会で築く信頼と成果—リアルな体験が支える営業戦略
展示会での反響や営業戦略について教えてください。特にリアルな体験が重要であると聞いていますが、その効果はどうですか。
大内氏:2001年、横浜で初めて「SMAP」を展示会に出展した際のことは、今でも鮮明に覚えています。金型業者の方が会場で実際に試用し、すぐに購入を決められました。展示会では製品の効果を直接感じていただけるため、高い販促効果があります。「SMAP」は、実際に触れて動かしてみることでその真価を理解していただけるのです。このリアルな体験があるからこそ、お客様は購入を決めやすくなります。近年はWEB展示会も増えていますが、工業系の製品、特に「SMAP」のようなものは、WEB展示会では限界があると感じています。実際に作業者の方々がその場で製品を触れてみたり、動かしてみたりしないと、その良さは伝わりません。オンライン展示会やYouTube動画で広く情報を届けられるメリットはありますが、リアルなデモの効果にはかないません。展示会にお越しになるお客様は、特定の課題やニーズを持って来場されることが多く、製品がそのニーズにマッチすれば、効果的な商談の場となります。我々にとって展示会は重要な営業の場です。
展示会への出展を続けるための工夫や戦略について教えていただけますか。
大内氏:当社では、展示会の出展費用を抑えつつ、効率的に多くの展示会に出展できるスキームを確立しています。これにより、少ない予算で最大限の効果を得られるようにしています。地方の展示会にも積極的に参加し、地元企業と協力して新たなビジネスチャンスを生み出しています。展示会での出展者同士の交流が、新たなビジネスの芽を育むことも少なくありません。「SMAP」の導入が簡単で、固定のための設備が不要であることも展示会での即決につながっています。手軽に導入できることはお客様にとって大きな魅力です。また、無料で試用していただけることが、反響をさらに高めています。これが展示会を通じた営業戦略の中核です。
業種 研磨材の販売、鏡面ショットマシン「SMAP」シリーズなどの開発・製造
設立年月 1948年11月
資本金 24,000,000円
従業員数 27人
代表者 大内達平
本社所在地 〒108-0073 東京都港区三田1丁目2番22号
電話番号 03-3453-2351
公式HP https://toyo-kenmazai-kogyo.jp/