お客様から駆け込み寺として頼られる会社へ (新越精機株式会社 代表取締役社長 藤塚敏之様 インタビュー①)

創業以来、金型製作で培った切削・研削・放電加工技術

新越精機株式会社は、創業以来、金型製作の技術を磨いてきた会社である。「研削加工」「切削加工」「放電加工」の高い技術力と豊富な経験をベースにした高精度の複合加工を得意としている。培った加工技術により高精度が要求される一品モノの特注部品や短納期の要望にも応えている。本特集では、新越精機株式会社の2代目社長 藤塚敏之氏にお話をうかがった。第一回は、同社の沿革と事業内容について取り上げる。

新越精機株式会社 代表取締役社長 藤塚敏之氏

 

お客様の要望に応える確かな技術力

創業からの沿革について教えてください。

 藤塚氏:当社は、昭和42年に江戸川区西小岩で創業しました。父である現会長がプレス金型の設計製作をすることから始めました。創業して間もなく、工場が火事により全焼するという事件に見舞われてしまいました。しかしながら、大家から日頃の真面目な仕事ぶりを評価され、新しい建物を貸し出してもらうことができました。また、燃えてしまった機械設備は火災保険の保険金でいくつか買い直し、昔の仲間からの協力を得て危機を乗り切ることができました。その後は、高度経済成長に合わせ受注が途切れることなく、納期と品質を守り顧客の信頼を獲得することで業績を順調に伸ばしていきました。従業員数は20名程度まで拡大しました。

 

藤塚社長の幼少時の思い出や入社からの歩みについて教えてください。

藤塚氏:私が子供の頃は、1階が会社、2階が事務所兼食堂兼自宅となっており、住み込みで働いている人もいたので従業員とは家族のように過ごした思い出があります。当時私にお年玉をくれた人が今でも当社で働いており、付き合いの長さをとても実感しています。このように小さい頃からモノづくりが当たり前の環境で育ちました。

大学卒業後は商社に就職しましたが、私が30歳になる手前で父が体調を崩したことがきっかけで当社に入社しました。当初は、モノづくりの経験がなかったため、新潟にあった自社工場で製造のノウハウを学び、その後は営業活動をメインに行っています。営業活動の一環で東京商工会議所主催の受発注商談会や葛飾区の展示会への出展を積極的に展開し、様々なジャンルの仕事を受けるように心がけています。お蔭さまで、長年築き上げたモノづくり技術が評価され、2008年3月に「平成19年度葛飾区優良工場」、2020年10月には葛飾区の町工場から生み出される選りすぐりの製品等に認定される「第14回葛飾ブランド葛飾町工場物語」に認定されました。

 

事業内容を教えてください。

藤塚氏:当社には「研削加工」「切削加工」「放電加工」のすべての加工設備が整っているので、製品ごとに最適な加工方法でお客様へ提供しています。それぞれの加工法のメリット、デメリットを把握したうえで、製品の使用用途を考えて、最適な加工方法で製作できることが強みです。15年位前からは高い精度が要求される特注部品の取り扱いが増えてきており、当社としても力を入れている分野となります。今では、精密プレス金型の設計製作、治具・自動機の製造販売、特注部品製作が当社の3本柱となっています。

材料をセットして長時間加工し続けるような1000個単位の大量生産ではなく、1個1個セットして加工を行う一品ものの受注が多くなっており、1~10個などの少量生産の注文が9割近くを占めています。

治具研削盤

 

これまでの技術の蓄積に関して、強みや大事にしていることは何でしょうか。

藤塚氏:“機械に頼り切りになるのでなく、最適な加工をしたうえで、最後は職人の手で調整し仕上げること”を大事にしています。例えば、治具研削盤では、プログラムで自動製作をするのではなく、ピンゲージを入れて穴径を少しずつ広げ職人の手で穴径を確認しながら加工をしています。製品自体も少し触っただけでも伸びたり縮んだりして数ミクロンの寸法が変わってしまうため、室温管理も徹底しています。職人によるひと手間を加えることで、多岐にわたるお客様の仕上がり精度の要望に応えられていると思います。職人の技術で付加価値を提供できることは当社の強みでありますし、他社との差別化にもつながっていると考えます。

 

特注部品製作について、受注のきっかけや苦心されている点を教えてください。

藤塚氏:お客様から「これを作れますか」と問い合わせをいただくことが多いです。毎回異なるものを作ることになるので、仕事の技術レベルは上がっていきますが、その分手離れも悪くなっています。特に、昔から付き合いのあるお客様だと要求される製品の仕上がりの精度について想定ができますが、新規のお客様だと勝手がわからないため、求められる品質レベルの認識の擦り合わせに時間がかかってしまいます。国内の顧客から受注する特注部品は求められるレベルが高くシビアな案件が多いですが、お客様の要望に合わせて製作できるところが、他社との差別化要素になっていると思います。ただ、当社で苦心して工夫している点がお客様にはなかなか理解されにくく、「海外ならもっと安くできるだろう」と言われることもあります。簡単な作業ではないので、もっと評価していただきたいという気持ちもあります。

金型製造現場


業種   金属加工業

設立年月          昭和44年2月

資本金              1,000万円

従業員数          17人

代表者              藤塚 敏之

本社所在地      東京都葛飾区立石8-54-7

電話番号          03-3696-0561

公式HP           https://www.shinetsuseiki.co.jp/

この記事の著者

鈴木好之

鈴木好之中小企業診断士

2021年中小企業診断士登録。東京都中小企業診断士協会 城北支部所属。台東区中小企業診断士会所属。 大学卒業後、情報通信の会社に入社し、CATVやISPの営業や間接部門など様々な職種を経験し、現在は管理部門に従事。企業内診断士として商店街支援を軸に活動中。趣味の読書は年間100冊読了。

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