こだわりの金属加工仕上げ技術(株式会社上田製作所)

脇役的なパーツにもデザイン性を求めるニーズに応える

自動車メーカーの一次サプライヤーとして70年以上の歴史を持ち、金属加工を主力事業のひとつとする株式会社上田製作所。大手メーカーからの難しい要望や高いレベルの品質管理に応えることで蓄積された技術とノウハウは、容易に真似をすることのできない同社の重要な経営資源である。ここでは、同社の金属加工技術の高さを示す製品を紹介する。

写真の製品は、国内バイクメーカーが海外向けに展開するフラッグシップ車に装着するエンジンガードである。用途としては、バイクが転倒した際に代わりに衝撃を受け止めてエンジンを保護するためのものであることから、はじめから「傷つき、壊れるためにある」部品とも言える。そのため、通常は単なる円筒形の形状をしているものが大半である。

ところが、ある時バイクメーカーから「フラッグシップ車なので、エンジンガードにもデザイン性を取り入れたい」という要望を受けた。写真からわかるように、円筒形のデザインとは程遠い、曲線的で複雑なデザインである。

複雑なデザインが施されたバイクのエンジンカバー

 

複雑な曲面を一回で仕上げる高い技術

この部品は、他社によってアルミのプレス機で鍛造されたものが納入され、最終的な仕上げ工程を上田製作所が担当した。メーカーからは「天面の曲線をつなぎ目や段差なく、きれいに仕上げて欲しい」との要望を受けた。

テストを繰り返し行ったが、天面の仕上げを複数回に分けて行うと、どうしてもつなぎ目や段差が出てしまう。この課題を解決するためには、加工を途中で止めることなく、複雑な曲面であっても一回の工程で仕上げる必要があった。

また、鍛造されて納入された部品は、それぞれ微妙に寸法が異なっていることも加工の難易度を上昇させた。

そこで、まず同社は加工時に部品を保持する「治具」を専用設計から着手することにした。デザイナーから3Dデータを受け取り、何度もの試作の結果、特殊な形状を安定して保持することができる治具を完成させ、なおかつこの治具に適した加工方法の検証に多くの時間を費やし、ようやく天面を顧客の要望通りに仕上げる工法を完成させた。

裏面から見ても複雑なデザインであることがわかる

 

難しい要望に応えることで社内の技術も向上する

この製品は一例だが、金属加工を長年主力事業として行ってきた同社でも対応が難しい依頼を受けることは少なくない。そのようなときでも、「できない」ではなく「どうすればできるか」を考え、試行錯誤を繰り返し、時には大田区でともに切磋琢磨する他社の力も借りながら解決を目指す。

そうすることによって新たに獲得した技術の蓄積がこれまでの同社の実績と信頼そのものであり、今後のさらなる成長の原動力となることであろう。

この記事の著者

玉川 信

玉川 信

2021年中小企業診断士登録。会社員として営業職を経験した後、現在はコインパーキング運営会社を経営。自らが中小企業経営者であることから、経営者でなければわからないお悩みやご苦労に寄り添った経営支援をモットーとする。

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