偏心軸クランクシャフト(株式会社極東精機)

治具を内製することが出来る強み

極東精機製作所の技術が凝縮された偏心軸クランクシャフト。70年以上前に初代社長の鈴木福男氏が創業時に考案したアイデアが磨かれ続けて実現した一品である。

通常のNC旋盤加工では真円形状のワークしか切削加工できない。これはワークに通っている軸が二本以上あると切削加工時の回転運動で軸がブレて暴れてしまうためである。しかし、極東精機製作所には蛇のように激しくうねった偏心ワークを扱うことができる高度な加工技術がある。

偏心軸を正攻法で加工をしようとすると、軸Aを中心に加工する旋盤、軸Bを中心に加工する旋盤、と複数台の機械が必要になるが、極東精機製作所は1台の機械でそれを完結させることが出来る。これが製品の低コスト化を可能にしている。その加工に用いる治具の形状や使用方法が技術のコアのノウハウにあたる。クランクシャフトの形状の種類は100以上にものぼるが、それらに対応する治具は自社で内製することが可能だ。他社に情報を出さずに、競争優位性を保ちながら自由にカスタマイズすることができるのは極東精機製作所の大きな強みである

他社では替えの効かない技術

極東精機製作所のように、加工難度の高い異形材を加工できる技術をもつ会社は決して多くない。

ある顧客からこの偏心軸クランクシャフトの問い合わせを受け、見積りを提示した。その顧客は、希望価格に合致しなかったため、代替となる金属加工業者を全国津々浦々探しに行ったようだ。しかしながら、加工業者を見つけられなかったのだろう。最終的には、再度同社に依頼が入る事になった。このエピソードから、極東精機製作所の技術に希少性があることが窺える。

この記事の著者

山崎勇典

山崎勇典中小企業診断士

1992年生まれ。埼玉県出身。大学卒業後、化学メーカーにて機能性材料の営業職に従事。 現在は海外の電子デバイス市場を対象にしたマーケティング活動に携わる。

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