開発と販売に共通するお客様満足の追及(槇野産業株式会社)

開発の苦労と開発への強いこだわり

現在、粉砕機の改良版の開発を新規に進めているという。先日、試作機を動かしてみたが思い通りの結果とはならなかったそうだ。ただ、そこで停滞するのではなく、様々な観点で新たに課題や仮説を設定し、具体的にこうすればうまくいくのではないかとプロジェクトチームが毎日試行錯誤しながらやっているという。

そのような毎日の技術者の試行錯誤による開発が、この会社の基盤と感じていたが、笑いながら話した槇野氏のごく自然な次の言葉でさらにそれを強く確信した。「うちの会社の独りよがりにならないように、展示会で頂いたお客様の声を大事にして、お客様のニーズに寄り添えるような機械の開発をしたいですね。」

 

社員の若手採用も着実に行い、技術の研鑽を積んでいる

 

お客様が喜ぶ最終粉砕品への強いこだわり      

完成品の販売は、基本的に受注生産方式をとっているが、欲しいと言われてもすぐには売らないそうだ。第三回の記事でも触れたが、米粉のように米の産地で結果が異なることもあるので、まずはヒアリングして概算見積を出し、テストをして、その後に機械単品ではなくお客様のニーズに合わせた集塵機や投入排出に関わる周辺設備など付属する装置も考えたうえで正式見積もりを出すとのこと。コロナ禍で部品納入が滞り、部品管理や資金繰りが難しい中では一見すると非効率に見えるその販売手法にも、この業界のプロとしての基本姿勢を強く感じた。

 

粉砕機の販売という枠を超えて、お客様と一緒に考えて最終製品である粉砕品を作り出すところが槇野産業の強みだと確信を持った。「お客様は機械が欲しいわけじゃなくて、自分が思ったとおりの粉が欲しいのですよね。我々は機械を販売しているのではなくて、機能を売っています。うちの機械を使ってもらって、最終的には槇野の機械を買ってよかったと喜んでもらえることが至上命題です。最終的に出てきた粉砕品への満足を買ってもらうってことは私たちの歓びでもあります。最終的にそれを販売しているのだと思いますね。」

新規開発だけでなくお客様のニーズにこたえる機器を選定する千葉テスト場

 

マキノ式粉砕機がロングセラーであり続ける秘密は、その長い歴史の中で信頼を得てきたブランド力に加え、時には他社製品であっても、顧客のニーズに合った粉砕品を生み出せる適材適所ならず、「適材適機」を一生懸命に見つけてくる素晴らしい人材だろう。槇野産業が販売しているのは「お客様の満足」であるからこそ、創業から長く愛され粉砕機業界で頼りにされている存在になっている。

この記事の著者

栗秋 幸裕

栗秋 幸裕中小企業診断士

2022年1月中小企業診断士登録,東京都中小企業診断士協会城東支部所属。中央大学経済学部国際経済学科卒業後,大手通信業で約10年間営業を経験した後,本社で事業企画や委託会社運営を経験。2005年から維持しているITコーディネータと両立しITで経営の効率を目指す企業の支援をする企業内診断士として活動中。

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