さわる人の心をくすぐる絶妙な手触りと鏡面加工の美しさが技術力の証「#hemo」(株式会社松浦製作所)

さわる人の心をくすぐる絶妙な手触りと鏡面加工の美しさが技術力の証「#hemo」

カーブの手触りが絶妙な気持ちよさ

松浦製作所の匠の一品は「#hemo」である。ステンレス鋼を削り出して絶妙なカーブを表現した逸品である。

もともとは代表取締役の松浦貴之さんが展示会用に設計して温めていた企画である。設計コンセプトは「金属の質感を活かした、触って楽しい謎の物体」。

その設計を従業員の1人が引き継ぎ完成したのが、この「#hemo」である。コロナ禍で少し仕事が落ち着いていた時に展示会用のサンプルとして製作した。

 

材料はSUS304と言われる代表的なステンレス鋼である。家庭用品などに使われることが多く一般の方にも馴染みのある素材だ。

全てが曲面で構成されており大きさは直径40mm、厚さは10mm。加工にあたっては曲面が綺麗につながるようにミクロン単位で刃先を合わせて加工している。美しい加工面は松浦製作所のこだわりだ。初めて削り出した時は熟練の従業員でも緊張したそうだ。

持った時のずしりとしたステンレス鋼の重み。表面を撫でてみるとへこみや曲線の気持ちよさと、切削した後に“あえて”磨き上げない加工跡によるなんとも言えない感触が特徴だ。

 

展示会用に作ってツイッターに掲載したところ、欲しいと言う方がいたのでモニターになっていただいた。モニターの方が、ご自身の娘さんが肌身離さず楽しんでいる様子をツイッターで発信されている。おでこに載せてみたり、新たな使い方を絵に描いて提案してみたり、子供らしい柔軟な創造性で「#hemo」の魅力を堪能している様子がうかがえる。今では「へもちゃん」と名付けて一緒に小学校に通っているそうだ。

モニターの方の様子からテスト品として12個ほど製作したところ、抽選販売になるほどの人気であっという間に完売した。

ユーザーの自由な発想で色々な楽しみ方ができるのが「#hemo」の魅力だ。ただ触っていてもいいし、ペーパーウェイトとして使ってもいい。

お客様からは、無垢のステンレス鋼の削り出しとは贅沢な一品であるとの声も聞かれた。

現在は追加販売に向けて製品の完成度を高めるため改良を行なっている。製品のケースも同じ大田区内のゴムの業者と製作を始めている。

 

松浦製作所は今後の方向性として、個人のお客様が興味を持って手に取って喜んでいただけるもの、個人に密接なものを創り出したいという思いがあり「#hemo」はその第一号と言えるかもしれない。

この記事の著者

重谷亮

重谷亮中小企業診断士

大学卒業後、独立行政法人に勤務。職業能力開発業務を中心に従事し、中小企業の教育訓練体系構築の支援、職業訓練コースの新規開発、運営、民間教育機関による職業訓練運営の支援などを手がけた。

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