特色インキ自動計量装置「レインボー」(株式会社 芝橋)

特色インキ自動計量装置

特色インキとは、プロセスカラー(基本4色の組み合わせによって作る色)では表現できない色を表現するために色を調合して作るインキのことである。主に、印刷物の色が企業イメージや商品イメージに直結するような印刷(例えば、化粧品・お菓子・お土産・薬のパッケージなど)に使用する付加価値の高い分野である。印刷業界では、コロナ禍において需要が減った部分と増えた部分の差が激しい。内食や宅配が増えて包装紙や段ボール箱などの印刷需要が増え、このような分野では特色インキの需要が増えている。

インキ自動計量装置を導入することにより、以前は熟練職人の経験と技術で表現していた色を数値化して正確に再現することが可能になる。調合時間短縮による印刷機の稼働率向上、調合の繰り返しによるインキ大量使用や廃棄の防止・保管スペースの節約など、印刷工場にもたらすメリットは大きい。顧客へのメリットが最大化できるよう、同社では使用するインキの種類や使用量に合わせて、様々なオプションをつけて対応している。柔らかいインキに対しては攪拌装置や循環装置を設けるなど、印刷の用途に合わせた独自性の高い設計も同社の特徴である。

特色インキ自動計量装置 計量器部

 

 

どのように色を出すのか

まず、色彩計を使用し光の反射率を用いてカラーサンプルを測定し、コンピューターカラーマッチング(CCM)システムにて各色の配合率を読み取る。CCMと自動計量装置を接続することで、その読み取った配合に合わせた高い精度(標準機だと±0.05グラム~±0.2グラム)でシリンダーがインキカートリッジに圧力を与えインキを吐出する。同社では、調合したインキを確認するためのオフセットインキ用試験展色装置やUVインキ用のUV照射装置を製作している。見た目には同じ色でも、インキの配合率が違えば太陽光や蛍光灯などの光の反射率によって違う色に見えてしまう。

このように、熟練職人が調合を何度も繰り返して作成していたインキを高精度で作成することができ、その配合率を装置が記憶することで再現性も高めることができる。

オフセットインキ用試験展色装置

 

 

時代に合わせて発展する

1905年に創業し長い歴史を持つ企業ではある同社は、時代の流れに合わせて事業を変換させ発展してきた。時代の先を見据える経営者のDNAは渡辺大社長にも脈々と受け継がれている。

今後、同社がどのような技術を獲得し、新たな事業の柱を築いていくのか。株式会社芝橋は、同社の次世代を担う人材と共に、大田区のものづくりをさらに大きく発展させていくであろう。

この記事の著者

石川直紀

石川直紀中小企業診断士

2022年中小企業診断士登録。インフラ系建設会社にて経営企画部門を担当。全体戦略を組織へ展開し、健全に企業を成長させられる人材になることが目標。

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