熔断加工のみで作ったパズル(株式会社丸和鋼材店)

誤差1mmの精密熔断技術

精密溶断加工技術で高品質を求めるお客様の要望を実現してきた株式会社丸和鋼材店。熔断加工のみで作ったパズルは、当社の熔断技術力をより広く知ってもらう方法はないかと、社長が考案した一品である。一般の熔断加工は5㎜程度の誤差があり、どうしても切断面にバリやゆがみなどが残ってしまう。一般の熔断加工では、切断面のバリやゆがみが組み合わせ部分に引っ掛かる。逆に切断面のバリやゆがみが組み合わせ部分を研磨してしまうと、組み合わせ部分のすき間が大きいパズルができる。精度1mmでバリやゆがみの無い熔断をする技術力があればこそ、適切な幅のすき間で組み合わせることが可能なパズルができる。

溶断のみで制作したパズル

 

正しく直角で切る熔断技術

加えてこのパズルはかなり厚みをもっている。表面に対して正しく90度の角度で真っ直ぐ切り込む必要がある。1度でも角度がずれると、今度は垂直の組み合わせ面でゆがみが生じ、分解も組み合わせることも、かなり難しくなるだろう。東京スカイツリーに使用された技術があるからこそ、厚みがあっても引っ掛からないパズルが作れる。このパズルの見た目は非常にシンプルだ。しかしながら、このパズルには株式会社丸和鋼材店の誤差1mmの精密熔断技術、追加工を発生させない熔断、正しく直角に熔断できる技術のすべてが詰まっている。

隙間なく、上下滑らかに動くパズル

 

精密熔断技術を継承する

株式会社丸和鋼材店は、昨年3代目の社長が就任した。前社長の行っている立体加工はどこも引き受け手がなかったお客様の依頼を製品の形で実現している。一般の熔断を行っている同業他社では断られて困っているお客様の駆け込み寺のような存在となっている。しかしながら、難易度の高い精密熔断技術を引き継いでいくのは簡単ではない。鋼材の選択、条件出し、準備、段取りのいずれも職人のセンスが求められる難しい作業だ。練習すれば誰もが継承できるものではなく、入社したばかりの若い作業員に期待がかかる。株式会社丸和鋼材店は、困っているお客様の要望に応え続けられる大田区の町工場として、精密熔断技術を継承していくことが求められている。

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埼玉県生まれ。大学卒業後、製造業に約30年勤務。主に現場管理や品質管理などの製造にかかわる業務に従事。業務経験を活かして製造分野で中小企業をサポートしたいと考え、資格取得を決意。2020年5月中小企業診断士登録し、東京都中小企業診断士協会に所属。趣味は旅行。

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