お客様に、そして社長に求められる「対応力」とは?(堤工業株式会社 栗原良一氏インタビュー③)~プラスチック加工の専門家として~

キーポイントは情報共有!円滑に回る会社を目指して

堤工業株式会社は1930年に初代栗原三郎氏が栗原製作所として発足。1944年にプラスチック加工を開始し、今日まで「プラスチック加工の専門家」として、プラスチック切削加工を生業としてきた。販路拡大、情報共有、人材育成を中心に社内改革を進めるなかで、堤工業が目指す理想像について、代表取締役の栗原良一氏(以下栗原社長)に話をうかがっていく。第三回は今後の展望と新たな取り組み、社内改革についてうかがいました。

堤工業株式会社 代表取締役 栗原良一氏

人手不足に、社内改革で対応

様々な業界でテーマとしてあがる「人手不足」について、注力されている取り組みはございますか。

栗原氏:現在は仕事量が落ち着いている時期なので、社内教育を意識しています。社内のコミュニケーションをより密に取るようにしています。以前までは自分がやるぞ!やるぞ!と前のめりになってしまう傾向にありましたが、それを少しずつ減らして、現場や従業員が色々な意見をあげる機会を作るよう環境を整備しています。

具体的には、隔週に1回定期的に現場作業者の3名を集めてミーティングをしています。最初は大田区のデジタル化支援プログラムの一環として取り組みはじめました。そこで話題にあがっているのが原価管理です。ものづくりは、工具を使ったり材料を使ったり、色々とお金がかかるので、そこを現場主導で見える化するため、現在は工具の原価管理に向けた取り組みを進めています。次は材料をやってみたいと考えています。

 

情報の可視化、共有化ですね。技術伝承といった面ではいかがでしょうか。

栗原氏:現在、社内の新人は32歳、工場長は59歳。年の差があると思われるかもしれませんが、それくらいの歳の差があった方が教えやすい部分もあります。今の若い子は飲み込みも早く、新しい技術や取り組みにも積極的です。補助金を活用して3D CADの導入検討していた際に、新人に「覚える気があるんだったら入れるよ」と話をしたら、真剣に考えてくれて、それで「やってみます」と言ってくれたので導入しました。社内には3D CADの知見が一切なかったので、外部講習へ通ってもらって、そこで学んだ知見で、実際に社内で動かしてもらっています。

これまで製作された樹脂加工品

 

販路拡大に向けた新たな一手

今後の展望として、狙っている分野や、それに向けた取り組みがあれば、お聞かせいただけますか。

栗原氏:社内のミーティングで出た案は、航空宇宙関係の分野です。航空機分野ではFRPが積極的に採用されていて当社が強みとしている分野なので、それを活かした進出を検討しています。

今はお客様から図面をもらって部品を作るだけなので、どの機械のどこの部分に使われているか分からないことが多いのが実情です。自分たちが作った部品がどこに使用されているというのが少しでも見えるようにしたいですね。今はB to Bの仕事を主に手掛けていますが、B to Cの分野で誰かに使ってもらえるものを作れたらいいなという話も出ています。使用者の声をダイレクトに聞けるような、そんなものづくりをしたいです。

 

大田のお土産100選にも選ばれた「小梅つつみ」もそうした取り組みの一環でしょうか?

栗原氏:そうですね。樹脂ならではの特長を活かしたB to C向けの製品です。当社の樹脂加工技術を活かし、はめあいだけで作られています。この取り組みも最初のきっかけは知り合いからのお声がけだったのです。そうした社外の人との交流も、新しいビジネスのきっかけになるので大切にしています。今もいくつかの外部連携プロジェクトを実施しています。打ち合わせの要所は自分が出席していますが、実際にものを作る現場の人間が社外の方と話す機会を増やし、自分たちの技術って意外とすごいんだなと実感してほしいです。

大田のお土産100選『小梅つつみ』

 

 

営業面では、どのような取り組みをされていますか?

2年前に横浜のテクニカルショウヨコハマと東京の新価値創造展へ出展し、展示会営業への取り組みを実施しました。新しいお客様と繋がることはできましたが受注につながる数は少なかったです。この経験から、当社規模で展示会へ出展し続けるのは負担が大きいと考え、今はテレアポ代行を利用しています。お客様とのタッチポイントだけ作ってもらって、実際の商談に自分が出ていくというスタイルです。まだ1年半程度の取り組みですが、手ごたえを感じています。

 

生産面における今後の課題と、解決に向けてどのような取り組みをされていますか。

一番のキーポイントは情報共有です。まず工具情報の共有から始め、次に材料情報も共有化していきます。その次は加工データの共有化です。CADソフトの統一化に伴い、今までバラバラだった加工方法も共通化していくつもりです。例えば、自分はこの加工が得意だよという技術やノウハウについて、ミーティングで個々人の作業内容をお互いが確認できるようにしていき、徐々に加工ノウハウを共通化させていこうと考えています。

他にも、お客様一社ずつに加工担当者をつけることを検討しています。今は全ての窓口が自分になっていますが、直接お客様と話せた方が加工担当者もより責任を持って仕事ができることと、自分が間に入るとかえって話がずれてしまう部分もあると思ったからです。加工担当者も責任を持ってよりいいものを作れるでしょうし、お客様も自分よりも気軽に問い合わせしてもらえる。お互いにとってメリットが大きいですし、より密な関係性を構築できるのではと考えています。

 

最後に、会社の目指す方向性をお聞かせいただければと思います。

まずは会社のなかのコミュニケーションを円滑に回るようにしたいです。そうするとさらに多くのことに対応できるようになると思います。ものづくりの現場には気難しい人や、あまり口が達者でない人も多いですが、仕事は一人ではできないので、そのままではいけない。コミュニケーションを円滑にし、僕を介して従業員をお客様と繋げていく。ここをいかにスムーズにしていくかが今後の勝負かなと思っています。


業種   プラスチック切削加工、FRP・エンプラ・熱硬化性樹脂・汎用プラスチックなど樹脂全般

設立年月          昭和28年9月

資本金              10,000,000円

従業員数          8人

代表者              栗原良一

本社所在地      〒144-0056 東京都大田区西六郷3-20-12

電話番号          03-6428-7877

公式HP           https://2-2-3.com/

この記事の著者

花村大祐

花村大祐中小企業診断士

愛知県出身。1988年生まれ。工作機械メーカーへ入社後、フィールドセールスとして、セールス・マーケティング・プロモーション・ブランディングと幅広い営業活動に従事。年間400件の顧客訪問から、中小企業特有の課題解決が設備投資だけでは不可能だと気づき、中小企業診断士を取得。現在はベンチャー企業・中小企業向けのコンサルティング支援、現場営業員向けのセールス支援ツール開発&支援、補助金支援に従事。東京都中小企業診断士協会三多摩支部・神奈川県中小企業診断協会所属。

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