お客様に、そして社長に求められる「対応力」とは?(堤工業株式会社 栗原良一氏インタビュー①)~プラスチック加工の専門家として~

「プラスチック加工の専門家」として

堤工業株式会社は1930年に初代栗原三郎氏が栗原製作所として発足。1944年にプラスチック加工を開始し、今日まで「プラスチック加工の専門家」として、プラスチック切削加工を生業としてきた。販路拡大、情報共有、人材育成を中心に社内改革を進めるなかで、堤工業が目指す理想像について、代表取締役の栗原良一氏(以下栗原社長)に話をうかがっていく。第一回は会社の概要や事業内容について取り上げていく。

堤工業株式会社 代表取締役 栗原良一氏

 

プラスチック加工の専門家として、お客様に喜ばれ頼れるパートナーとして

御社の事業内容を教えてください。

栗原氏:プラスチックの切削加工を行っている会社です。創業当初は樹脂ではなく、金属や色々な素材を取り扱っていたと聞いております。そのなかでプラスチック加工と出会い、1944年当時はまだ取り扱っている会社が少なく、そこに商機を見出しプラスチックの分野に専念するようになっていきました。

 

プラスチック加工の分野で、特に強みは何でしょうか?

栗原氏:材料面でしょうか。プラスチックのなかには、ガラス繊維が入っているGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、カーボンが入っているCFRP(炭素繊維強化プラスチック)といった特殊な素材があります。こうした材料は製品を軽量化・強靭化することができるため、様々な産業・製品に使用されています。当社では、近年ニーズが高まっている特殊プラスチックを昔から取り扱っている経緯もあり、一般的な材料から特殊な材料まで幅広く対応することができます。これまで培ってきた知識や経験をもとに、今日まで技術力を高めてきました。実際に、そうした材料面をきっかけとして、お仕事をいただくこともあることから、当社の強みではないかと考えております。

あとは、樹脂加工全般に言えますが、加工によって出た切りくずが粉のように舞うため人体にも機械にも悪影響があり、加工の取り扱いが難しいところがありますが、そうした取り扱いの難しい素材を日々手掛けている実績から、お客様からは「安心して任せられる」とお話をいただくことがあります。

様々なプラスチック加工品

 

ガラスが入った樹脂はどのような分野のお客様が利用されることが多いのでしょうか。

栗原氏:当社の場合は、通信機器や電子機器といった分野のお客様が多いです。当社の売上のなかでも、半分以上を占めています。景況感はお客様によって様々ですが、全体としてはそこまで良くないかなと感じております。

 

御社はお客様からどのように評価されることが多いですか?

栗原氏:「対応力」じゃないですかね。対応力のある会社、と言われます。短納期やコストダウンが厳しい業界ですので、時々当社にもそうした対応を求められることがあります。例えば、納期に関してですが、昔から付き合いのあるお客様に対しては、難しい納期であったとしても社内でできる限り対応しております。少ない人数で回している会社ですので、無理やり入れようと思えば入れられる部分もたくさんあるので、やれる限りの範囲で対応しています。ただ、当社の場合、近隣のお客様が多いので、こちらから直接足を運んでお届けするようにしています。そこで相手の担当者の方とお会いできます。顔と顔を合わせることで色々な話が聞けます。営業とまではいきませんが、お客様とのコミュニケーションを大切にしています。

日々の訪問でお客様と話していて実際にあったことですが、図面を見て、なんでもない部品なのに、高そうな材料を使っているなと思いました。もちろん聞かずに黙って作ればいいのですが、疑問に思いお客様へその材料を使う理由を尋ねた結果、「こういう性能だけあれば大丈夫なので、こちらの材料の方が安くていいのではないでしょうか」と提案することができました。すると、お客様は社内でコストダウンを実現することができ、当社は問題発見や課題解決のきっかけを与えてくれた取引先として、一層強固な関係性を構築することができたのです。そうした手間を惜しまないことを意識するようにしています。

 

注文内容や納期について教えてください。

栗原氏:大半の受注品が10個以下のもので、小ロットでの対応となります。典型的な少量多品種といったところでしょうか。試作品も多いですが、製品自体を受注するケースもあります。メーカーさんのなかには、お客様要望のオーダーメイド品を作るようなものがあるのかそうした依頼の仕事もあり、当社では対応しております。納期は、基本的に一番多いもので、注文が入ってから収めるまでで約1週間ほどです。ただ、ものによっては本当に即日というものもあります。

マシニングセンタによる切削加工の様子


業種   プラスチック切削加工、FRP・エンプラ・熱硬化性樹脂・汎用プラスチックなど樹脂全般

設立年月          昭和28年9月

資本金              10,000,000円

従業員数          8人

代表者              栗原良一

本社所在地      〒144-0056 東京都大田区西六郷3-20-12

電話番号          03-6428-7877

公式HP           https://2-2-3.com/

 

この記事の著者

花村大祐

花村大祐中小企業診断士

愛知県出身。1988年生まれ。工作機械メーカーへ入社後、フィールドセールスとして、セールス・マーケティング・プロモーション・ブランディングと幅広い営業活動に従事。年間400件の顧客訪問から、中小企業特有の課題解決が設備投資だけでは不可能だと気づき、中小企業診断士を取得。現在はベンチャー企業・中小企業向けのコンサルティング支援、現場営業員向けのセールス支援ツール開発&支援、補助金支援に従事。東京都中小企業診断士協会三多摩支部・神奈川県中小企業診断協会所属。

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