顧客が満足する粉砕品を提供することを喜びとする粉砕機メーカー(槇野産業株式会社 槇野社長インタビュー①)

「まずはやってみる」を生み出す社風

葛飾区東四つ木にある槇野産業株式会社は粉砕機メーカーでありながら、顧客が理想とする粉という最終製品を顧客とともに考えながら提供する課題解決型に近い企業である。本特集では槇野産業株式会社の4代目社長 槇野雄平氏にお話を伺った。第一回目の今回は、会社の歴史と「まずはやってみる」という文化を生み出す社風について伺った。
創業以来の主力機械マキノ式粉砕機のパンフレットを持つ槇野社長
会社の歴史と特徴について

1926年創業から間もなく100年を迎えられますが、会社の歴史や特徴について教えてください。

槇野氏:曽祖父の槇野義一郎が槇野鉄工所として飼料系の粉砕機の事業を始めました。東京大空襲であらゆるものが焼けてしまい、戦後は穀物も少なかったので、粟やひえ等で蒸しパンのようなものを作って食べていたそうです。そういう穀物を粉砕する機械として槇野産業の機械は使われていたそうです。食糧分野の国家事業に採用されマキノ式粉砕機を増産することになりましたが、中小企業ですから資材も少ないし、三菱重工業株式会社、株式会社神戸製鋼所、三機工業株式会社などの大手企業に図面を公開し、粉砕機を作ってもらいました。そのような経緯で日本国内にこの粉砕機が普及しました。

槇野産業では「衝撃式」と言う粉砕方法を採用しています。物を叩いて砕く方法です。他には切断や破砕などいろいろな粉砕方法がありますが、それらと違い衝撃式は叩いて砕けるものであれば応用できますので、いろいろな食品に扱える万能粉砕機であり、飼料以外にも取引先が広がっていきました。

 

ちょっと便利なユニークな会社

「ちょっと便利なユニークな会社」をモットーとしているそうですが、「まずはやる」という企業文化はどのように生まれているのでしょうか?

槇野氏:お客様からは、我々も知らないような先端技術に使われるカタカナの名前の原料を粉砕したいというような案件も入ってきます。「新事業で、こういう原料に使えないかと考えているのですが…」と化学やフィルムメーカー等から相談を受けたりもします。でも悩むより、「一回粉砕機でテストしてみましょう」と言っています。社員も最初から決して「無理じゃないですか」とは言わないで、たくさん用意している機械の中からお客様のニーズに合う粉を作り出せる機械を探します。だから知らない原料を聞いても、「とりあえずうちにやらせてください」と言って実践しているうちに、そのようなスタイルが自然と出来上がったのでしょうね。

 

すぐにテストができる環境があるということでしょうか。

槇野氏:そうです。うちで取り扱う機械は全て千葉工場に用意しています。毎月の営業日にはほぼびっしりテスト計画があるような感じですね。

 

どれくらいまで細かくなるものなのでしょうか?

槇野氏:例えばイクシードミルという機械では、原料にもよりますが最小で20ミクロンくらいまで、一時間で数十キロから百キロ程度の粉砕が可能です。ディスクが1分間で1万2千回転して、まるで飛行機のエンジンが回っているようなキーンという音がします。

微粉砕が可能なイクシードミルと槇野社長

 

お客様の原料によっては難しいものも出てくると思いますが、どのように解決なさっているのですか?

槇野氏:衝撃式粉砕では、油分が多いとか、水分が混ざっているとか、ゴムのような素材等、粉砕できないものもあります。しかし、それらに対応できるように、提携会社の機械もご紹介するようにしています。会長が社長の時代から使い始めた本社のモットーである「ちょっと便利なユニークな会社」という言葉の通りに、槇野産業に聞いたら何でも相談に応えてくれると思ってもらえるように、自社のウィークポイントを埋めています。

 

長く使われているマキノ式粉砕機の秘密

90年以上前に開発されたマキノ式粉砕機が長い間、御社の主力製品であり続けているのはどうしてですか?

槇野氏:技術的な話になりますが、マキノ式粉砕機はもともとCIシリーズから始まりました。部品が結構多かったので部品を減らし、粉砕の機能はもちろん維持しつつもお客様が使いやすいように改良して、機能やランニングコストもお客様に喜んでもらえることを追求してきた結果、今のマキノ式粉砕機になってDDシリーズが生まれました。しかしDDシリーズではできないものもあるので、いまだに原料によってはCIシリーズの方を売る場合もあります。ですから昔の技術が残り続けているのです。

 

御社の技術が長く求められてきた秘密というのはどこにあるとお考えですか?

槇野氏:長く続いている会社なので名前を知られているという事は確かにあると思います。過去にいろんな粉砕サンプルを作っていますので、豊富なテストデータを保持しています。それを見ると、お客様から相談された際に、ちょっと調べると結果の数値・イメージをすぐに数字で出せるのです。それが信頼を生み、長くうちに任せてくれる要因の一つだと思います。

展示会でも活躍した様々な分野の粉砕サンプル

 

葛飾の町工場とのつながりで大切にされていることはありますか?

槇野氏;地元の葛飾区内で有志の経営者の勉強会グループに所属していたり、信用金庫の若手経営者の勉強会などには属していますが、仕事の売り買いなどは考えておりません。様々な相談、話が出来る仲間として関わっています。時々、仲間からの相談事で槇野産業を知っているからと機器の相談から納入に至ったことも数件はあります。


業種   粉砕機メーカー

設立年月          1943年6月8日(株式会社改組)

資本金              20,000,000円

従業員数          31人

代表者              槇野雄平

本社所在地      東京都葛飾区東四つ木2丁目11番8号

電話番号          03-3691-8441

公式HP  https://www.mkn.co.jp/

 

この記事の著者

栗秋 幸裕

栗秋 幸裕中小企業診断士

2022年1月中小企業診断士登録,東京都中小企業診断士協会城東支部所属。中央大学経済学部国際経済学科卒業後,大手通信業で約10年間営業を経験した後,本社で事業企画や委託会社運営を経験。2005年から維持しているITコーディネータと両立しITで経営の効率を目指す企業の支援をする企業内診断士として活動中。

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