- 2023-7-25
- 匠
注目はベントネックタイプNP-03パター
異色のパター事業だが、意外にもパターのブランド名は決めていない。会社のロゴである「NP」がそのままフェース側に彫ってあり、03、05、07とタイプの番号だけがついているのがユニークだ。この番号は試作何本目なのかを表している。遠藤氏自身、本当は「下町パター」などブランド名をつけた方が良いとは思いつつも「僕にはブランド名を考える力がないですからね」と遠藤氏は笑う。
遠藤氏は、最近月に1回ほどゴルフに行く。パターを作る前は年に2~3回行く程度だったが、最近はゴルフのお誘いが増えるようになった。その際は愛機のNP-03パターを連れてラウンドする。本当は思い入れのある1号機で回りたいのだが、何しろNP-03は良い音がするのでNP-03パターでコースを回る。NP-03パターは、グラスに氷を落とすような高打音を奏でる。珍しい音にひきつけられて「それが欲しい」と、プレー同伴者に言われることも増えてきたという。
ベントネックタイプのNP-03以外にも、センターシャフトタイプのNP-05、マレットタイプのNP-06パターの合計3種類がある。パターは現在受注生産だから、現物を見たい場合は3週間無料貸し出しサービスを活用しても良いだろう。その打感と打音をラウンドで体験してみることが可能だ。
パター製作は社長自ら対応
顧客とのやり取りだけではなく、パターの削りだしも遠藤氏自ら行っている。素材は金属加工業の目利きからステンレスの一つであるSUS303にたどり着いた。気になるパターの値段だが、通常は10万円超えだ。今現在GOLF EXPOでは03、05タイプを9万9,000円(税込)、06タイプを15万4,000円(税込)で出している。06が少し高いのはマレットタイプで削る量が多いからである。1~1.5ヶ月の間、顧客と打ち合わせて社長自ら削るため、これでは採算に合っていない。趣味としても悪い趣味だと遠藤氏は言う。「仕事を絡めてパター事業をやっているから、ほんと従業員に申し訳ない」と苦笑した。
パターの情報発信としてLINEの公式アカウントを始めた。これも360度回転写真を提案した、Google担当者のアドバイスがきっかけだった。Google担当者とは今でも付き合いがある。
将来的にパター事業が軌道に乗れば、従業員にもパター製作をしてもらいたいと思っている。今は顧客との接点が無く顧客の喜ぶ顔が見えない従業員に対して、お客様の喜ぶ顔を見てもらいたいという社長のやさしさが見えてくる。