日々の努力で「ブランド」を磨き続ける(ケィディケィ株式会社 代表取締役 佐藤武志様 インタビュー③)

お客様との信頼関係を大切にしながらブランドを磨く
ケィディケィ株式会社は、生活必需品の製造や包装等を行う装置や半導体装置、搬送機等に使用されるエンジニアリングプラスチック部品に特化した企業である。設立50年以上の実績を持ち、最新の⾼機能・⾼精密マシンを駆使して、経験と確かな技術⼒でお客様の求める品質・コスト・納期に対応することで高い評価を得ている。本特集では、同社がいかにして独自のブランドを築き、磨き上げているのか、代表取締役の佐藤武志氏に話をうかがっていく。第三回は、お客様や社員への向き合い方と今後の展望について取り上げる。

ケィディケィ株式会社 代表取締役 佐藤武志氏

 

お客様との信頼関係を大切に

営業販路開拓はどのように行われていますか?

佐藤氏:新規顧客開拓は私が担うことが多いですが、この10年程はHPやWebを通じてお客様から相談いただける仕組みづくりに取り組んでいます。色々とやってみて感じたのは、当社のような小さい会社の代わりとなる企業はいくらでもある中でわざわざこちら側から営業に伺うと、最初は条件の悪い相談が多くなります。それよりもWebツールを活用し、お客様が困った時に相談に乗れるような受け皿を持っておくことが効率的だと考えています。ただ、実際はリピートでお付き合いいただいているお客様が多いのが実情です。

 

リピートのお客様との関係づくりで工夫されている点はありますか?

佐藤氏:技術力をアピールすることも大切ですが、お客様としてもできるかどうか分からないような難しい仕事の依頼が来た時は、やはりお客様と相談しながら「こうやってみよう、ああやってみよう」と一緒に考えることが重要だと思うのです。当社単独で何かやろうとしても難しいですし、一方的な依頼に対応する形だと負荷がかかってしまいます。当社の技術やブランドは、普段からお付き合いしているお客様の協力があり、課題に直面した際には、工具屋や機械屋等のパートナー企業とも相談をしながら共に経験や苦労を積み、みんなで作り上げてきたものだと感じます。
人間関係のように、一方が相手に対して必要以上に気を使っていても長続きしないですし、お互いに信頼関係があって初めて長く続く関係を構築できるのだと思います。

 

数々の受賞歴と人づくり

若手への技術継承の取り組みについて教えてください。

佐藤氏:大田区の実務指導者と若手技術者の優れた取り組みを表彰する「大田の工匠 技術・技能継承」を受賞しました。公開されている受賞者紹介動画中で、指導者が「現状に満足することなく日々成長を遂げてほしい」と言っている通り、一度取り組んだことで満足するのではなく「今度は状況やタイミングに応じてこうやってみよう」と自ら考えてチャレンジする精神を大切にしています。なぜなら、技術は日々進歩していきます。何年やろうと終わりはありません。そのことから社訓に日々努力をうたっています。

 

他にも大田区「優工場」等、様々な認定や受賞をされています。反響はいかがでしたか?

佐藤氏:1つはお客様からの反響がありました。初めてのお客様のところを訪問するときに「ケィディケィさんは様々な賞を受賞されていて、すごいですね!」と言われることがあります。そういう点では、話がまとまりやすく、効果的に働いていると思います。
もう1つは、従業員のモチベーション向上に効果がありました。最初は大田区の「優工場」という認定制度があることを教えてもらい、2007年に認定を受けました。これがきっかけで、もっと上を目指そうと思い、様々な取り組みを行いながら賞にもチャレンジしてきました。他には「大田の工匠 Next Generation」という賞も現場の従業員が受賞しています。最近加わったベトナム人の従業員についても外国人労働者の受け入れという切り口でやりようがあると思いますし、なるべく従業員皆が受賞できるようにしたいと考えています。皆で取り組んでいけばそれぞれのモチベーションが上がりますからね。

数々の受賞歴:応接室には様々な受賞実績が掲示されている

 

大田区は様々な環境が整っていると感じました。

そうだと思います。2年前にも大田区「優工場 まちに優しい部門賞」を受賞しました。
大田区は中小企業の支援や様々な賞等に力を入れているので、とてもありがたいです。また、大田区には業種ごとの交流会や異業種交流会が存在します。過去には私も異業種交流会に参加させてもらいました。そこでは、当時あまり事例がなかった有限責任事業組合(LLP)への参加やものづくり分科会の立ち上げ等を経験できました。本当に多くのことを勉強させていただき、大田区に育ててもらったという気持ちがあります。今後は、大田区のために貢献できるように更に頑張っていきたいと思っています。

 

一日一日の努力を大切に

将来に向けた展望をお聞かせください。

佐藤氏:幸いにも既存のお客様から多くの要望を頂きますが、全て受けきれない現状があります。また、お客様が満足するような品質や量にまだまだ対応しきれていないので、そういったことを解決していくことが現状の課題です。更に、生産量を上げていくために、人材育成もテーマになりますね。
最近では、売上や利益も安定し周囲と同じような賃金水準で募集をかけています。ようやく、人材を獲得できるように変わってきたと感じています。
将来の展望として、どこか土地が安い地域で戦うことを考えたこともあるのですが、当社は今まで30年近く大田区で育ててもらった工場であり、大田区でやっているからこそいい結果が得られているのかなと思っています。この土地でいかに1時間でも多く機械を回して生産量を上げられるかに取り組みたいと思います。最終的には24時間動き続ける工場にまで成長させられたらと思います。現在も、そのための技術の確立と人財育成をテーマとして取り組んでいます。早期に実現できるよう願いを込めて、一日一日努力をしていくことが大切だと考えています。

笑顔で将来のことを語る佐藤氏


業種   エンジニアリングプラスチック(高機能樹脂)部品の製造販売

設立年月          1971年6月

資本金              1,000万円

従業員数          7人

代表者              佐藤 武志

本社所在地      東京都大田区大森西4-4-23

電話番号          03-3763-9201

公式HP           https://www.kdk1971.co.jp/

この記事の著者

豊田崇文

豊田崇文中小企業診断士

東京大学卒業後、食品飲料メーカーの経営企画部門にて中期経営計画の策定や組織再編、M&A、子会社支援等、幅広い業務に携わる。将来は地方創生の支援を行い日本中の笑顔を増やしていきたい。2022年中小企業診断士登録。

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