高精度な大型エンジニアリングプラスチック部品(ケィディケィ株式会社)

エンジニアリングプラスチックの精度にこだわる

ケィディケィ株式会社は、生活必需品の製造や包装等を行う装置や半導体装置、搬送機等に使用されるエンジニアリングプラスチック部品に特化した企業である。同社は、時代の流れや競合の動きを日々観察しながら、自社が競争優位を発揮できる領域を定めてきた。

一般的に、プラスチックには硬いものや柔らかいもの、切屑が切れるものや、つながるもの等、様々な特徴がある。加えて、プラスチックは熱で変形しやすく寸法が安定しないため、扱いがとても難しい分野だ。そういった分野であるが故に、昔は「プラスチックは寸法が出せなくて当然」とお客様が思い込んでいたくらいである。

そこで、同社は、お客様の求める品質に徹底的にこだわり、図面に合致したエンジニアリングプラスチック部品を提供することを自社の競争優位に定め、日々努力を重ねながら成長を遂げてきた。

高精度のエンジニアリングプラスチック部品のサンプル

 

高精度を実現する「いい機械」と「いい職人」

同社が定めた競争優位を実現するためには「いい機械」と「いい職人」が欠かせない。旋盤型の複合機、マシニング型の複合機、3次元測定機器等の機械設備に総額約1億円の大型投資を行い、また工場内をプラスチック樹脂に適した温度・湿度に保つことで環境を整えている。
そして「いい職人」づくりにも力を入れている。風通しの良い職場環境の中で、自発的なチャレンジを促しながら多能工化に向けた育成・指導を行っている。同社の取り組みは数々の表彰を受けており、周囲からも高い評価を得ている。

 

時代の流れを読んだ大型の高精度エンジニアリングプラスチック部品

同社の真骨頂は高精度エンジニアリングプラスチック部品に留まらない。例えば、精密であるが故に最初は小型だった液晶テレビが、技術の進歩とともに大型化した時代の流れを敏感にキャッチし、半導体装置でも1回で取れる半導体チップを増やすため大型化のニーズが出てくると考えた。その先読みが的中し、今では多くの半導体装置メーカーから受注を受けている。

小型のエンジニアリングプラスチックで高精度の製品を作ることは、他業社の微細加工会社でも比較的容易だが、高精度の大型製品を作ることは難しい。まさに、時代を先読みし、日々努力をして生み出される高精度な大型エンジニアリングプラスチック部品は匠の一品である。

精度を出すのが難しい大型のエンジニアリングプラスチック部品(粗加工段階)


今後も、お客様との信頼関係を築きながら日々の努力を欠かさない同社は、時代時代のニーズに合致した製品を生み出していくことであろう。

この記事の著者

豊田崇文

豊田崇文中小企業診断士

東京大学卒業後、食品飲料メーカーの経営企画部門にて中期経営計画の策定や組織再編、M&A、子会社支援等、幅広い業務に携わる。将来は地方創生の支援を行い日本中の笑顔を増やしていきたい。2022年中小企業診断士登録。

この著者の最新の記事

関連記事

ページ上部へ戻る