しわ・捻れの少ない高精度なフランジ曲げ加工(有限会社 川端製作所)

フランジ曲げとは
3世代にわたって大田区内での曲げ加工に対するニーズに応え続けてきた川端製作所。川端製作所の得意とするフランジ曲げについて紹介する。販売されている鋼材は一般的にまっすぐであり、曲がっていない。そのため、曲線形状を有する製品を造る工程では曲げ加工が必須で、製品の形状図面通りに鋼材を曲げることが求められる。その中でも難易度が高いのがフランジ曲げである。フランジ曲げとは、鋼材の幅の広い面を曲げる加工方法で、幅広い面の平面度を維持したまま円形状に加工することが求められる。

スプリングバックを予測したフランジ曲げ加工

 

「彼らは基本的に曲がろうとしない」

川端修敬社長(以下社長)はそう語った。金属は曲がらないようにするため、力を加えるとどこかに逃げようとする。そのため、どこに逃げるかを予測して押さえ込むことで、しわ、捻れの少ないフランジ曲げができるようになる。また、金属を加工した際に蓄積される歪みは加工後に解放されることで形状がわずかに元に戻ってしまう。この現象を「スプリングバック」という。フランジ曲げでは、幅広な鋼材を曲げるため、内径と外径差が大きいことからスプリングバックが大きくなる。また、狙いよりも小さな径に加工してしまうと、元に戻すことが難しい。そのため、スプリングバックによる形状の変化を読むということは失敗の許されない高度な技術が求められる。川端製作所ではスプリングバックを考慮した高精度なフランジ曲げを行なっている。

フランジ曲げ加工品

 

曲がらないのは職人の心意気。

この言葉は川端製作所のホームページより拝借した。社長は「曲げ加工の領域の中では、自分達ができるものはまだまだ狭く、限られた範囲でしかない。曲げられるものを少しでも増やしていきたい。」と語った。川端製作所の曲げ加工の創始者である祖父の背中を見て育った社長は、コロナ禍での売上減少や町工場の減少などの課題に直面しながらも、曲げ加工に対する情熱を絶やさない。まさに曲がらない職人の心意気である。

この記事の著者

佐々木剣太

佐々木剣太中小企業診断士

2022年中小企業診断士登録。神奈川県診断士協会所属。精密機器製造業にて、設計・開発プロセスのデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進。趣味の家庭菜園においてもセンシングとAIの構築によるDXを推進中。日々、生産性を高めることを追い求めている。

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