地域を支える曲げ加工のプロフェッショナル 〜川端製作所 川端修敬社長インタビュー③

川端社長の思う将来像
川端製作所は3代に渡り、曲げ加工で大田区の製造業を支え続けてきた。コロナ禍など激動の時代の中で3代目社長 川端修敬氏が目指す川端製作所の姿とはどのようなものか。3回目は、川端製作所の将来像について伺った。

社長(右)と川端製作所の工場を支える社員


代々続く川端製作所への思い

3代目社長になろうと思ったきっかけを教えてください

川端修敬社長(以下社長):社長になりたいとか使命感などはありませんでしたが、長男なので、会社にいればいつかは社長になるんだろうなと思った程度です。でも、小さい頃から工場で働く祖父の背中を見て、この会社で祖父と一緒に働きたいという思いは強く持っていましたね。

 

3代目社長になった際に、「こんな会社にしたい」という思いなどはありましたか

社長:社長になるときには、「納期通りにより良いものを出す」ことを目指したいと社員と話しました。当時は曲げ加工を専門とする会社が少なかったためこちらが納期を決める状況でしたが、弊社を指名してくださったお客さまの納期に合わせるように変えたいと考えました。お客さまの納期を遵守するにあたっては、全体最適の視点での加工順の効率化が図れていないことが課題でした。そこで、職人が各々加工順を決めるのではなく、お客さまの納期に対して、私が全体の加工順を決め計画を立てることで生産管理体制を強化しました。また、社員の加工技術レベルに差があり、品質を見れば誰が加工したかがわかるような状況だったため、技術力の平準化にも取り組みました。このような取り組みで「納期通りにより良いものを出す」体制を構築しました。

 

理念やモットーなどありましたら教えてください

社長:「やってみよう!」ですね。御託を並べても何も始まりません。もちろん怪我をしないための準備は必要ですが、まずはやってみることが大事ですね。曲げ加工は、材料の種類やわずかな色味の違い、装置の音や振動など、さまざまな情報からどのように加工すればいいかを考えますが、最終的にはやってみて、調整に調整を重ねて形状を作り上げていきます。重要なことは、なぜできたか・できなかったかの理由を突き詰めていくこと、つまりはPDCAサイクルをきちんと回していくことだと考えています。

座右の銘「やってみよう!」について語る川端社長

 

止まらない曲げ加工への情熱

今後やってみたい曲げ加工はありますか
社長:幅広い曲げ加工のうち、当社が受注できる加工は一部で、曲げられないものはまだたくさんあります。お客様からの要望に対応できないこともあるので、少しでも多くのお客様の要望に応えたいですね。設備上の制約はありますが、既存の設備で条件出しをすれば対応できそうな案件もたくさんあります。「こうしたらできるんじゃないか?」と頭の中で考えても実際に検討する時間が取れていないのが現状ですね。一例を挙げると、ニッチなものですが、フランジ曲げで作る螺旋階段をやってみたいですね。

「まだまだ曲げ加工を追求したい」と語る川端社長

 

会社の目指す将来の姿

大田区のネットワークについて教えてください

社長:町工場では1社で完成品を作るというよりも、地域全体で1つの製品を作り上げる体制となっています。「大田区のネットワーク」は連盟会のようなつながりではなく、古くから仕事を通じて作り上げてきた人脈のことを意味します。例えば、曲げ加工以外にも自社で扱っていない加工をしたいと話を受ければ、一緒に方法を考えて自分の人脈から他社を紹介することもあります。紹介先でも対応できなかったら、さらに紹介してもらうなど、人と人の繋がりで仕事を回す、まさに義理人情の世界です。信頼関係があるからこそ成り立っているネットワークになります。

 

川端製作所の将来像について教えてください

社長:自分が小さかった頃、会社を含めて近所がとても元気がありました。漠然とですが、みんなで明るく元気な会社・地域を目指したい思いがあります。自分達が地域貢献の一端を担いたいという思いと、自分達を育ててもらった恩返しに近い感覚です。例えば、技術力を高める努力はしたにも関わらず図面の規格に合致せず納期に間に合わなかった時に、技術力のある近隣の町工場でなんとか追加加工をして使ってもらったことがありました。このように地域に助けられ育てられてきたからこそ、今の川端製作所があると確信しています。


業種   金属加工業

設立年月          1960年2月12日

資本金              300 万円

従業員数          7人

代表者              川端 修敬

本社所在地      東京都大田区南六郷2-4-15

電話番号          03-3739-1211

公式HP           http://www.kawabata-seisakusyo.com

この記事の著者

佐々木剣太

佐々木剣太中小企業診断士

2022年中小企業診断士登録。神奈川県診断士協会所属。精密機器製造業にて、設計・開発プロセスのデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進。趣味の家庭菜園においてもセンシングとAIの構築によるDXを推進中。日々、生産性を高めることを追い求めている。

この著者の最新の記事

関連記事

ページ上部へ戻る