- 2025-3-25
- 匠
高品質・低コスト・短納期を実現する板鍛造加工
佐藤金属工業株式会社は大阪府堺市に本社と工場を有する金属プレス部品メーカーです。高剛性・高性能なプレス機を複数所有しており、一枚の板材から複雑な形状をつくりだす板鍛造加工(順送加工)を得意としています。比較的分厚い材料の加工が出来るという点が他社との差別化になっています。1㎜~3㎜ぐらいの板材の加工ができる会社は多くありますが、それ以上の厚さの材料を加工できる企業は希少です。金型設計のノウハウ、その厚みを加工するノウハウに加えて、専用機械も必要になります。
同社が製造する金属プレス部品は一見すると、切削や研削などの機械加工や、カシメ・溶接・組み立てなど、複数の工程を経て作られたものに見えます。しかし実際は、一枚の板材をプレス機に投入して、後は金型の設計通りにプレス機の中で加工が完了する順送加工によって生産されています。また、他の工法から板鍛造加工に転換することで、材料組織を傷めずに高品質な部品を、低コストかつ短納期で生産することができます。
ここでは、そんな同社の高い技術力を集約した美しい匠の一品として、展示用に作成した金属プレス部品を紹介します。
精密せん断―平滑なせん断面
通常プレス加工をすると、断面にダレ(変形)が生じることが一般的です。しかし、佐藤金属工業が手掛ける金属プレス部品は、直角に近いシャープなエッジを実現しています。断面が通常よりも光沢のある仕上がりになっており、一般的なプレス加工ではここまでの光沢は得られません。また、組み込む部品に決まった寸法が求められる場合、平滑なせん断面を確保することで、高い精度での組み付けが可能になります。
三次元成形―材料の高さを自在に調整
プレス機の中で板材の高さを自在に調整して、三次元の複雑な形状を作り出すことができます。例えば、3㎜の板材を投入して、部分的に増肉することで3.5㎜、4㎜、5㎜といった具合に板材以上の高さを出します。溶接で高さを出す場合、材料に熱が加わるため局部的に弱いところができてしまいますが、一枚板では他のところから材料を流動させることによって、材料組織を傷めずに高さを出すことができ、強度のある信頼性の高い部品をつくることができます。

板材の厚さ以上の高さを出したプレス部品
試作品で技術の可能性を追求
プレス加工の技術の可能性を追求するため、試作品を作ることがあります。どこまで高さを出せるかを試すため、5㎜の板材から9㎜の高さを出すことに挑戦してみたり、雑誌で見た複雑な形状の部品を板鍛造加工で再現してみたりと、アイデアとちょっとした遊び心が新しい製品開発につながっています。

様々な形状のプレス部品