高い安全性と品質を実現し全世界の航空機に搭載 「ボーイング787用ウインドシェード」(株式会社ハタダ.)

技術・品質の両輪で顧客ニーズに応えるトータルゴムメーカー

株式会社ハタダ.は、1955年創業のゴム精密部品製造業です。同社の強みは、金型設計・制作からゴムの配合設計、成形までの一貫生産体制をもつことです。これにより同社では1週間という短納期対応や、製品情報を外部に共有せずに試作ができるなど、様々な顧客価値を提供しています。

導電ゴムやカラーゴムを含む1000種以上のゴム材配合があります。同社のゴム素材全般への深い知見は、金属材料などの異素材とゴムの接着やゴム素材の切削加工といった技術にも反映されています。同社はトータルゴムメーカーとして、お客様の機能・用途・形状への要求、多種多様なニーズに総合的に応えています。

ゴムには弾性があり、画像検査が非常に難しい素材です。非常に小さいサイズのものもあり、ゴム製品の品質を担保するためには、高いレベルの品質管理が必要です。同社では2009年9月には航空・宇宙分野の品質マネジメントシステム規格であるJIS Q 9100を取得しました。これに基づき、検査作業標準・限度見本等を整備し、海外協力工場での生産品も同社にて全数検査を行うなど、品質の面でも高い信頼性を実現しています。

今回の匠の一品では、同社の強みの集大成である「ボーイング787用ウインドシェード」を紹介します。


ゴムならではの性質がいきる ボーイング787用ウインドシェード

2012年に生産が始まった航空機部品。その中でも同社にとって初めての自社製品であり、全世界の飛行機に搭載されている一品が、「ボーイング787用ウインドシェード」です。日本国内のエアラインに採用された後、ボーイング社からサービスレターによる787ユーザーへの紹介を受け、現在では世界14か国15エアラインで採用されています。

ボーイング787の窓のシェードは電気式です。このため故障時にはシェードの開閉ができず、機内に太陽光が差し込み明るくなってしまいます。「ボーイング787用ウインドシェード」は、そんな時にも後付けで遮光を可能にする製品として開発しました。

一見するとただの黒いゴム板のような「ボーイング787用ウインドシェード」ですが、材質の特殊シリコンゴムは難燃性で、火気を嫌う航空機には最適な素材です。同社では、この特殊シリコンゴムを1mmの厚みに成形することで、軽量性と完全遮光性の両立を実現しました。

この製品のもう一つのポイントが自己粘着性です。シェードは使用するときに窓に張り付ける必要がありますが、この「ボーイング787用ウインドシェード」は単品で窓に貼りついて飛行中もはがれません。貼り付け時に器具や接着剤なども不要ですので、使わないときには簡単に手ではがすことができます。

高い安全性、品質が要求される航空機分野において、「ボーイング787用ウインドシェード」という最終製品が採用に至り、さらにはそれが全世界展開されるまでになったのは、同社の高い開発力、技術力、品質力の現れといえるでしょう。

「ボーイング787用ウインドシェード」

 

「ボーイング787用ウインドシェードの使用時の様子」

 

この記事の著者

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豊田ようこ中小企業診断士

茨城県中小企業診断士協会所属。現在はメーカーの品質保証職としてISO9001の再構築や社内教育などに従事。趣味は読書と日本舞踊。

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