- 2025-2-18
- 取材・インタビュー
『すべてに真摯であること』を掲げて、幅広い業界での受注を目指す
東京都大田区、雑色駅から徒歩で15分に立地する株式会社ハタダ.の本社工場を訪問しました。同社は1955年の創業以来、多様な顧客のニーズに合わせて、ゴム製品の金型設計から配合設計、製造の一貫生産を行うトータルゴムメーカーです。
第三回目の今回は、株式会社ハタダ.の展示会出展など営業面の取り組みや今後の展望などについてうかがいました。
展示会はテーマ特化型のものを選んで、継続的に出展
どのくらいの頻度で、展示会には出展されているのでしょうか?
畑田氏:多い時は年6回ほど出たこともありますけども、今年は2回ですかね。昔はなんでもかんでも出てたんですよ。展示会もいろいろたくさんあり、それこそ町の発明家のような方が出られるものもあります。うちには向いていないものもある。いまは費用対効果の観点でかなり吟味して出展しています。テーマ特化型のものがいいですね。そうすると、ゴム屋さんを狙って来てくれる方もいらっしゃいます。
展示会から受注につながるポイントについて教えてください。
畑田氏:比較的高い確率で仕事をいただいているので、展示会への取り組みについて質問されるケースはあります。うちの展示会のブースが特別よいかと聞かれると、私はそうではないと思います。担当者なりに工夫してやっているのでしょうけど、私が見た限り特段特別なブースではありません。たまたま、うちはニッチなゴムという素材を扱っているので、マテリアル自体がラッキーだったのかなと。あとは、継続的に出展するのは必要ですね。これだという展示会には毎年出ています。
どのような流れで実際の受注に至っているのでしょうか?
菊田氏:展示会の時にだいたい感触は分かるんです。気に入っていただけたお客様は、こちらから声をかけなくても先方から依頼をしてこられます。展示会の場で「こういうのを作ってくれませんか?」っていう話があって、その場で図面やサンプルをいただくこともありますし、サンプルを持ってこられて「これを作ってくれませんか」という場合もあります。
何よりも強い『すべてに真摯であること』への思い
どのようなスタンスで営業活動に取り組んでいらっしゃいますか?
畑田氏:私はみんなには『すべてに真摯であること』と言っています。真摯であることが一番、どんな営業よりも強いことだと思っています。

『すべてに真摯であること』を大きく記載した同社のパンフレット

『すべてに真摯であること』への思いを力強く語る畑田氏
他に力を入れて取り組んでいるポイントなどありましたら教えてください。
畑田氏:実はうちの売りの一つは、品質保証なんですよ。従業員の半分は品質に関わるスタッフです。ISO9001をとっているので、検査員の資格認定や教育、ランク付け、目の検査なんかもやっています。海外の協力工場で作った製品も、すべてここで検査しています。「お金をかけすぎだ」という意見もありますし、「高い」といわれることもありますが、それがお客様に要求されていることもでもあるので、しょうがないね、と思っています。だいたいは、ご説明をして工場見学をしていただくと納得してもらえますね。

検査課による検査の様子
裾野を広げて、隠れた顧客からの受注を狙う
今後どのような業界をターゲットにしていきたいと考えていますか?
畑田氏:ゴム部品は、あまり表に出ないんですよ。自動車でもタイヤとかワイバーブレードとかは目に見えるところにもありますが、例えば、車の中を開ければここに使われているな、とか、パソコンを開けると、ああ、こんなところにあったとというようなものはあるんですけども、分からない部分も非常に多い。ですので、業界をあまり絞り込まずにやっていきたいと思っています。こんな業界でこういうところにこうゴムを使ってるんだというのは、こちらからは分かりづらいので、できるだけ裾野を広げていきたい。今の顧客に対してももちろん営業をしていくのですが、それ以外でも、我々が気づかないようなところの顧客を増やしていきたいと思っています。
直近で、印象に残っている事例などがありましたら教えてください。
畑田氏:ここ1、2年の中で面白い話っていうのは、日産が女優の伊藤かずえさんが30年乗り続けているシーマをフルレストアしたんですよ(伊藤かずえさんのシーマ レストアの取り組み)。実はその窓枠にうちも絡んでいます。べろべろになった状態の窓枠を持ってきて「これを作ってほしい」といわれて作りました。日産の本社でのレストア完成品のお披露目には行けなかったのですが、後日、伊藤かずえさんからは「本当にありがとうございました」というメッセージが送られてきました。
他にもホンダN360のエンジン回りの部品を見せられ「作ってくれないか?」という依頼がありました。どちらの例も、当然図面はないので、それを図面化し、品物にしました。昔はガソリン周りの部品にはNBRというゴム材が使われていたのですが、いまは水素が添加されたHNBRというゴム材を使います。当社としてはそのまま再現するのではなくプラスアルファをしたかったので、今回はHNBRを使いました。「これで車が壊れるまで、大丈夫ですよ」と伝えてあります。こんなふうに素材の技術を持っているので、付加価値をつけることができます。
ホンダN360はどのようにして受注に至ったのですか?
畑田氏:ホンダN360はいまだに同好会があって、そのリーダーの方が当社のホームページを見て、図面がなくてもやってくれるようだ、ということで選ばれたようです。図面がなくてもスケッチでもなんでもいい、という点がヒットしたようです。ホームページからは年に何回かお問い合わせいただきます。たくさんあるわけではないですが、ヒットする場合はゼロでもなく、こういった仕事がくる場合があります。
今後、どのようにしていきたいと考えていますか?
畑田氏:今後は女性の採用に力を入れていきたいです。今、技術に1名いらっしゃいます。彼女はもともと他のゴム屋にいて、最初はパートで応募してきてくださいました。話を聞いて、スキルを持っていることが分かって、こちらからお願いして社員になってもらいました。その部分をずっと統括している男性がいるのですが、その彼が、もうすべてを彼女にお任せしていますから、と言うくらい信頼しています。そういったスタッフを、これから増やしていきたいな、と思っています。
業種 ゴム製品製造業(精密工業用ゴム製品製造)
設立年月 1955年4月
資本金 1,000万円
従業員数 45人
代表者 畑田芳則
本社所在地 東京都大田区南六郷2丁目38番18号
電話番号 03-5710-2818
公式HP https://www.ha-ta-da.co.jp/