ばね技術を極め「お客様に必要とされる会社」であり続ける(小松ばね工業 小松万希子氏インタビュー②)

新しいばねの用途開発を目指して

小松ばね工業株式会社の発祥は1941(昭和16)年、現在の本社(東京都大田区)において小松謙一氏が、ばね工場「小松製作所」を創立しました。

創業当初は、主にカメラシャッタ用の精密ばねを製造。その後各業界の要望に応えて、光学機器・医療機器・時計・電気機器・通信機器・OA機器・家電・自動車部品・宝飾品・文具・その他に徐々に販路を拡大していきました。また、技術も伸ばしつつ着実な発展を遂げてきたばねメーカーです。

第二回はばね事業の最前線について伺いました。

小松ばね工業株式会社本社にて代表取締役社長 小松万希子氏

 

新規顧客開拓、新用途開発へのたゆまぬ挑戦

―高い技術力を活かした営業活動とはどういうものでしょうか。

小松氏:国内、海外での展示会へ積極的に出展して弊社の知名度の向上や、高い技術力を紹介しています。展示会に出展して、製品を紹介することが販促につながると考えているからです。

展示会には開発・設計技術者および商社のバイヤーさんなどプロフェッショナルな方々が来場されます。弊社の製品の一部でもご覧いただくことで、要求されている製品のヒントになるかもしれません。ただ、展示会への出展がすぐに受注にはつながらないので、地道に努力を続けています。

展示会には年間5回くらい出ています。毎年同じ展示会に出展することもありますし、目先を変えて新しい展示会に出展することもあります。

年によってお客様の反響は変わりますし、展示会への出展が必ず受注に繋がる方程式のようなものはないと感じています。名刺交換したお客様にアフターフォローしても反応が鈍いこともあれば、数年後に「あの時の展示会でお世話になった会社ですが」と連絡をいただくこともあるので一回一回の出会いを大切にしています。

特に、私が社長になってからは海外市場の開拓に力を入れています。ドイツ開催の展示会にも継続して出展していますが、取引条件や為替リスクなどハードルの高さを感じます。しかし新規開拓できる可能性はゼロではないので続けていきたいと思います。

新規顧客開拓の際、小松ばね工業を選んでいただくために特に次の点を意識して行動しています。①お客様と対話しつつ製品を作り込んでいくという点、②試作から量産に移行しても安定した品質の製品を継続して納品できる工程能力の向上、③ご希望の納期通り製品を提供できる対応能力、④お客様の困りごと解決のために、プラスアルファのご提案ができる力(VA提案力)という点です。

出展し続けるのは、やはり小松ばね工業を知ってもらうというPR効果は他に代えがたいからです。

 

―2023年にHP(ホームページ)リニューアルされたと聞きました。

小松氏:開発や設計の方、購買の方が「こういうばねが欲しい、必要」と検索したときに、弊社を見つけアクセスしてもらいやすいHPにしました。

 

―ばねの素材はどのように決めていますか。

小松氏:お客様から材料を指定される場合が多いですが、時には相談されることもあります。そういう場合にはお客様の要望に応え、ばねとして機能できる材料のご提案をしています。繰り返しますが、お客様視点のプラスアルファの提案力が弊社の大きな強みです。

 

―2020年から新型コロナウィルスによる感染症が拡大しましたが、その影響はどうでしたか。

小松氏:新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、グローバルに物流が滞った際にはやはり影響がでました。しかし、2020年秋ぐらいからは物流も正常化し、業績への悪影響も限定的に留まり、2021年には持ち直しました。お客様や業界別には持ち直したところと、途上のところなどまだら模様ですが、取引先が多様ですとリスク分散にはなります。

 

―今後の市場動向をどう予想されますか。

小松氏:ばねはメカニカルな機能部品なので、将来的に急激に需要が減少するものではないと考えていますが、最終製品が電子化されると一部淘汰される部品も出てくると懸念しています。

弊社の歴史を振り返ると、カメラシャッタやトランシーバーのアンテナ用、二輪のキャブレター、PCのキーボード、折り畳み式の携帯電話のヒンジなどにばねが使われていました。その後、技術革新とともにそれらの需要は減少、市場ニーズが変化しました。スマホのSDカード挿入部にも以前のタイプはばねが使われていましたが、最近の機種には使われていませんね。

このため、ばねが使われる新しい市場は常に見つけ続けないといけません。一方、自動車のEV化などの進展によっては、新しいばねの市場としての可能性に大いに注目しています。新しいばねが必要になったとき、すぐに声がかかるように展示会に出展し、存在感のある会社にしないといけません。そのために、常にアンテナを高くして、お客様情報の収集や市場動向の調査に努めています。

出展期間:2023年6月21日(水)~23日(金) 展示会名:機械要素技術展 出展場所:東京都江東区

 

出展期間:2023年11月13日(月)~16日(木) 展示会名:COMPAMED 出展場所:ドイツ デュッセルドルフ

 

出展期間:2023年11月29日(水)~12月1日(金) 展示会名:高精度・難加工技術展 出展場所:東京都江東区


業種   あらゆる分野で使用される精密線ばね:コイルばね(圧縮、引張)、トーションばね、

ワイヤフォーミング加工

設立年月          1941年5月創業、1952年12月設立

資本金              100,000,000円

従業員数          80人

代表者              小松万希子

本社所在地      〒143-0013 東京都大田区大森南5丁目3番18号

電話番号          03-3743-0231

公式HP           https://www.komatsubane.com/

この記事の著者

窪田恭之

窪田恭之中小企業診断士

大阪府出身。1960年生まれ。1983年早稲田大学商学部卒業後、(株)ブリヂストンへ入社。一貫してタイヤ以外のゴム商材を扱う化工品(かこうひん)部門に所属し、工業用ゴム製品の販売促進・企画に携わる。その後事業企画や部門人事を担当。2023年5月に中小企業診断士登録し、現在は千葉県中小企業診断士協会に所属。専門家派遣や商工会の相談窓口として企業様の支援活動や研究活動を行っている。趣味は、ランニング、スキューバダイビング、スキー、ガーデニング。

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