町工場発のオリジナル商品と金属加工でお客様へ貢献(有限会社ミツミ製作所 代表取締役社長 山田賢一様 インタビュー①)

危機感から始めた新事業
有限会社ミツミ製作所は葛飾区立石の町工場で設計・表面処理・組立も行うCNC自動旋盤を使った金属加工業である。部品加工のみならず、個人向けのオリジナル商品であるコマやけん玉にもファンが多く、町工場発の製品として葛飾ブランドの認定も受けている。本記事では全三回で代表取締役社長の山田賢一氏に話を伺っていく。第一回では、山田氏が事業承継後、オリジナル商品の製作へ業容を拡大した経緯について取り上げる。

有限会社ミツミ製作所 代表取締役社長 山田賢一氏

リーマンショックの危機感から始めたオリジナル商品

御社は金属切削加工が中心ですが、オリジナル商品も製作するようになった経緯について教えてください。

山田氏:最初に作ったオリジナル商品はキセルでした。きっかけはリーマンショックです。2009年頃、それまで継続的に頂いていたお客様からの注文が途絶え手待ちの時間が増えてしまいました。暗中模索する中、喫煙具屋さんと知り合い、最初は葉巻用のカッターを製作する加工の依頼をいただき、無事納品しました。当時私は専務として営業を行っており、1年に1、2回はお客様を訪問しご挨拶していました。その喫煙具屋さんへもお正月のご挨拶で納品後も顔を出すうちに、キセルを当社で製造できたらそこで販売してくれるという話になり、設計を始めました。喫煙者の私の希望で、キセルにフィルターを付けるのに加え、分解して掃除しやすくするなど工夫をしました。

 

周囲の評価はいかがでしたか。

山田氏:最初の評判はよくなかったですね。キセルの見た目が地味で売れゆきを危ぶむ声もありました。リーマンショックで景気が悪く世の中の人の気持ちが閉鎖的で、社内外も新しいことに挑戦する雰囲気がありませんでした。それでもめげずに2年をかけて改良を重ね、当初は地味だった見た目もアルマイトやメッキを使用することで「映える」ようになり、手ごたえを感じてきました。こだわりのあまり製品としてお客様に販売するには高価になったのですが、私としてはどうしても市場に出して答え合わせをしたかったので、無理を通して喫煙具屋さんを通じ自社のオリジナル商品として売り出す事ができました。

開発当初のキセル試作品

開発したキセル「葛飾煙舞」

 

発売開始後の当時の評判はどうでしたか。

山田氏:販売開始後すぐに反響がありました。1か月後にはテレビ番組から下町の町工場で作った製品として取材の申し入れがあり、雑誌社からも紹介したいと依頼がありました。テレビ取材は実現しませんでしたが、雑誌に大きく取り上げられました。商工会議所からは葛飾ブランドを取得してはとアドバイスを頂いたり、展示会にも誘って頂きました。リーマンショックで従来の注文が減って困っていた中、このキセルで得た社内外の評判をきっかけに、違うステージが見えてきました。このキセルは当社にとってターニングポイントであり、スタートだったと思いますね。

発売してすぐに話題になったというのは驚きですね。

山田氏:よく1か月でテレビや雑誌社がこのキセルを調べたと感心しましたね。インターネットで発信して宣伝していたのもよかったかもしれません。私はインターネット黎明期からの利用者だったので操作に詳しいため、昨今のようにSNSが身近になる前からインターネットやSNSを活用したPRを行っていました。その効果もあり、今で言うインフルエンサーのような方が真っ先に買って、当時のSNSで評価を書いてくれました。ニッチな分野で費用を抑えたマーケティングをして、ブランディングできたのは一つの財産だと思いますね。

 

展示会では印象に残る商品を

その後、どのように他の商品に派生していったのでしょうか。

山田氏:キセルの販売がきっかけで積極的に展示会に出展するようになりました。それ以前も機械要素技術展などに出展していましたが、加工部品を並べてもお客様は集まりません。展示会の目的のひとつは仕事につなげることですが、その前にブランディングをしてお客様に当社や当社の製品を覚えてもらうこと、それがなければ始まらないと思っていました。展示会で名前が知られていない企業がひしめく中から抜け出るには、印象に残ることが大事だと考えました。当時は自転車の部品を加工していたので、自転車本体も展示したりしましたね。そうすると、自転車が趣味なんていう来場者もいて、話が弾むきっかけになるのですね。キセルに続いてけん玉、ヨーヨー、そしてハンドスピナーというように、毎年出展する製品を変えていくと、次は何かなと期待したり楽しみにしてもらえるようになりました。展示会で出会ってビジネスになり、今でも代理店さんやOEM先として一緒に仕事をしてくれる方もいます。途絶えないようにつなげていくうちに様々な取引先が出来た感じですね。

展示会出展の様子


業種   金属加工業

設立年月          1990年8月2日

資本金              3,000,000円

従業員数          6人

代表者              山田 賢一

本社所在地      東京都葛飾区立石2-28-14

電話番号          03-3691-7370

公式HP           https://mitsumi-seisakusyo.co.jp/

この記事の著者

鈴木俊治

鈴木俊治中小企業診断士

2022年中小企業診断士登録。埼玉県中小企業診断協会所属。早稲田大学法学部卒業後、鉄鋼メーカーにて海外営業等を経験。現在は医療機器メーカーでマーケティング職に従事するとともに、企業内診断士として支援活動を行なっている。

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