ドラム缶部品製造で培った品質を強みにゴム製造へ挑戦!~人を大切にする経営を貫く~(みずほ金属インタビュー①)

お客様からの厳しい品質や低価格の要求に応えてきた強みの源泉

東京都葛飾区、堀切菖蒲園駅から徒歩で約10分に立地するミズホ金属株式会社の工場を訪問しました。当社は、各種ドラム缶部品の製造・販売および建築資材、電化製品、精密機械などに使用されるゴム製品のメーカーです。第一回目の今回は、ミズホ金属株式会社の経営理念・ビジョン、事業、強みについてお話を伺いました。

 

100年以上の歴史あるドラム缶が世界の社会インフラを支える

現在の御社の事業についてお伺いできますでしょうか。

岡田氏:ミズホ金属(以下、当社)は、ドラム缶部品の製造・販売に加えて、ゴム製品の製造をしています。

2024年度の売上高は過去最高となる約6.8億円となり、コロナ禍以降、5期連続の増収です。また、当社が扱うドラム缶は、私たちの生活に欠かせないもので、油・薬品・塗料・インク・飲料・食品・産業廃棄物などいろいろなものの保管や移動の際に使用されています。ドラム缶がなければ経済や流通に大きな影響を及ぼすこととなり、当社が世界の社会インフラを支えているとも言えます。

 

御社が手掛けるドラム缶の生産量はどのくらいでしょうか。

岡田氏:年間生産数として約2,400万本になり、東京ドームで言うと、約21個分に相当します。また、ドラム缶は100年以上の歴史があり、大きさは通常200L缶が世界共通となり、大人が1人で動かせる最大の容器と言われています。

ミズホ金属株式会社 代表取締役 岡田真一氏

 

 

日本一いい会社を目指し、なくてはならない会社になる

御社の経営理念ついてお聞かせください。

岡田氏:もっとも大切しているのは「共に働く仲間と家族」です。なぜなら、人生において共有する時間が一番長く、一番近くにいて、一番愛さなければならない存在だからです。その仲間と家族を最優先に、事業に関わるお客様や取引先に感謝し、取引先と力を合わせながらお客様の喜びや感動を創造していきたい。そして、この崇高な仕事を通じて、社会に貢献してきたい。

 

共に働く仲間と家族を最優先に考えられているのですね。それでは、そのもっとも大切にされている従業員の方々とは日頃からどのように接していらっしゃいますか。

岡田氏:常日頃から「人として正しいことを貫くこと」と言っています。つまり、自分や自分の企業にとって都合が良いか悪いかではなく、人として良いか悪いかの基準で行動するのです。例えば、素直で正直でいる、嘘をつかない、人をだまさない、欲張らないなど小さい頃に小学校で教わったことです。この基本的な考え方が、当社の社是であり、従業員一人ひとりの人間性を日々磨き続けているのです。

 

日頃から従業員の人間性を大切にされている様子が伝わりました。続いて、これら経営理念や社是を踏まえどのような経営ビジョンをお持ちでしょうか。

岡田氏:夢は、日本一いい会社、誰からも「いい会社だね」と言われる会社を目指し、人に頼られる存在であり続けることです。そのために、全従業員が当社の理念のもと、価値観を共有し、使命感に燃えて熱き心で仕事をし、社会から必要とされなければなりません。また、事業の2本柱として、ドラム缶部品の製造・販売で売上高7億円以上、ゴム製品製造で売上高5億円以上を2026年までに目指します。そのために、従業員一人ひとりが経営に参画できる環境を作り、受け身でなく自ら主体的に物事を考えて、率先して行動を起こせる人材を育てていきたい。

 

なるほど、高い目標を掲げられて、夢に向かって事業を推進されているのですね。ここで言う、従業員一人ひとりが経営に参画するとは具体的にはどのようなことでしょうか。

岡田氏:従業員が当社の経営状況を数字で見られることです。具体的には、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書の財務三表を読めるようになることです。当時、債務超過が続いた厳しい経営状況下において、いままで伏せてきたB/SやP/Lを従業員に説明した際、「この苦しい状況を隠さずにもっと早く教えて欲しかった」と従業員から思いもよらぬ言葉をもらいました。そして、これを契機に従業員が一枚岩となり、過去に債務超過で約10年かかっていた解消期間を、今回の2回目の債務超過(過去の約1.3倍の金額)では約1年で解消することができて、従業員が経営に参画することの大切さを身をもって感じました。

 

経営理念・ビジョンを笑顔で語られる 岡田真一氏

 

中小・零細企業は、儲からない誰もやりたくない仕事に活路を見出す

御社の強みついて教えてください。

岡田氏:当社の強みはドラム缶業界で培った「高品質製造」です。また、ドラム缶部品は求められる品質が厳しく、価格が非常に安いため、新規参入がほぼないんです。この儲からない誰もやりたくない仕事を儲かるようにするために人一倍努力してきました。例えば、ドラム缶の部品不良が原因で、そこに入っている危険物や毒物が少しでも漏れてしまったら大きな問題となるため、品質に関しては一切の妥協が許されません。なので、ミリ単位の品質基準で製造・出荷できることが当社の強みで、今後、この強みを活かして、ゴム業界など他業界への進出を図っていきたい。

 

ゴム業界に進出してみた率直な感想はいかがでしょうか。

岡田氏:これまでのドラム缶業界での厳しい品質基準が根づいていたので、ゴム業界で品質に困ることはなかったです。また、廃業するゴム製造会社が増えており、外部環境の機会になっている。今後、殺菌ゴム開発など新規業界への参入に向けて、お客様が期待される品質を少しでも上回れるものを提供し続けるために、常に問題意識を持ち、「この品質で本当によいのか?」と自問自答しながら、終わりなき品質の向上に努めていきたい。

高品質製造を実現する福島スマートファクトリーの様子 (ミズホ金属株式会社から提供)


業種   ドラム缶部品の製造・販売およびゴム製品の製造

設立年月          1979年8月

資本金              1,000万円

従業員数          30人

代表者              岡田 真一

本社所在地      東京都葛飾区堀切1-25-9

電話番号          03-6657-6400

公式HP           http://mizuho-k.co.jp/

この記事の著者

秋田謙作

秋田謙作中小企業診断士

2022年5月中小企業診断士登録。東京都在住。現在は大手通信会社の管理職としてデータ分析・生成AIなどDX関連や組織人事業務などに従事。趣味はドライブ、テニス、ランニング。

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