- 2026-3-10
- 取材・インタビュー
第二回は、田中プレス工業株式会社様の大野氏、木原氏より、同社社長の田中雅敏様の「何年経っても同じモノづくりができる体制」に対する想いや思想についてお話いただき、現場の人材育成と技術継承のリアルに迫ります。
神奈川県の模範的中小企業として
―御社はかながわ中小企業モデル工場に指定されていますね。指定されるに至った経緯を教えてください。
木原氏:かながわ中小企業モデル工場は、神奈川のモノづくりを支える企業として県知事から指定されるものです。当社は平成10年から指定され続けているところには、当社のモノづくりに対する姿勢や取り組みが、他の中小企業の模範になり得るということを神奈川県から認められていることを意味します。これは、長年培ってきた技術やノウハウなどモノづくりに対する当社の姿勢が広く世の中に認められている証拠だと胸を張って言えますし、顧客や取引先などのステークホルダーの皆さんから当社への信頼に確実につながっており、他社と比べる際の強みになっています。

入念に品質管理されている田中プレス工業のプレス加工品
現場を支える人々
―不良品発生やトラブル対応などの課題にどう取り組まれていますか。
木原氏:やはり人によるところが大きいですね。田中社長は「何年経っても同じモノづくりができる体制こそが大切」という考え方を社員に伝え、製品不良の防止や業務や作業の効率向上に必要なデータを自ら解析し、改善策を検討して報告書や資料にまとめています。さらに、関係する現場の社員を会議室に集めてその資料を使って解説したり、全社員が集まる月末の定例会で、社長がテーマを決めて勉強会を開いたりしています。社員にとっては、これが将来起こりうる問題に対応するための着眼点を養うことになっています。
普段より田中社長は、「発生した問題に直面したことのない人や経験の浅い人でも、問題発生を防げるような体制を作らなければならない」と話しており、それが社員によく浸透して、安全品質やロスの改善意識につながっているのだと思います。過去、多くの企業がそうであったように、当社も経営不振に陥ることがありました。それでもここまで生き残って来たというのは、やはり社員一人一人に真摯にモノづくりをする姿勢が根付いているからだと思います。浪速節のように聞こえますが、モノづくりの会社には、そのような個々人の姿勢は大切なことだと思います。そして、社員がモノづくりに自信を持てるよう、方法を示せるトップがいるというのが当社の強みであろうと思います。田中社長の社員教育に対する熱意と、自分が培ってきたものを伝え残したいという想いに応えられるよう、我々社員もしっかりとしたモノづくりをやっていきたいと思います。
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田中社長の想いと熱意について語る大野部長(右)と木原主任(左)
技術継承の現場にあるリアル
―製造現場にいる社員の方の年齢構成や人材育成の状況について教えてください。
木原氏:社員は31名で。そのほかに役員が3名ですので合計34名になります。平均年齢は47歳で、20代から70代まで在籍していて、平均勤続年数は16年です。 離職率は割と低い方で、ほとんどが中途採用です。当社の場合、ある程度製造業に携った経験がある人を中途採用する方が、世代交代の受け皿ができることにもなり会社に定着しやすいようです。年齢層で分類すると、20代は2名、大半が30代と40代で、次のボリューム層は60代と70代です。ですから、スピード感を持って技術継承をやっていかければならないフェーズに入っています。経験豊かな人がいる安心感がある一方で、新陳代謝も必要だと思っています。
大野氏:人材育成の施策の1つとして、当社は社員に計画的に研修を受けさせています。例えば、入社時研修、そのあと、3年目、 5年目でそれぞれ職位に必要な研修を受けてもらい、主任や係長になったら職長教育を受けてもらうといったプログラムになっています。
木原氏:当社は社員の資格取得を強く推奨しています。例えば、技能士の取得には、会社として費用補助をしています。時には社員の方から「自分が携る仕事に関係する〇〇の資格取得に、会社として支援してほしい」と言ってくるなど、社員が自発的に資格を見つけてきて受講を希望する場合もあります。
―OJTでしか伝えられない、個々の現場での技術継承の状況についてはいかがでしょうか。
木原氏:現場での手作業による微調整みたいなところは、感覚的な部分が非常に大きい割合を占めます。なかなか手取り足取り教えるというのも難しいのが実情です。例えば、若手の加工オペレーターが、いくら設備を微調整しても思うように形状が出ないような場面では、経験豊かな上長に相談し、一緒に調整するということはあります。結局、そういうことを繰り返しながら、「体で覚えていく」ということになります。
大野氏:「一を聞いて十を知る」人もいれば、十分に説明を聞きたい人もいます。相手の特性を見極めながら後進の指導を行ってほしいと常に現場には伝えています。つまり、教える側も考えながら指導する必要があるということです。それが指導する側にもよい刺激にもなり、よい経験の蓄積になるからです。
―せっかく技術継承した人が離職すると大打撃ですね。どのようにして人材を惹きつけていますか。
木原氏:今どきの方法ではないかもしれないですが、不定期で親睦会をやっています。会社が費用を負担する会社主催の親睦会なので社員全員が集まり、社員同士のコミュニケーションが深まっています。地元のお店で美味しいものを食べられることもあって、出席率は高いです。
それから当社では、全社員を食堂に集めて食事を振る舞うイベントがいくつかあります。例えば、土用の丑の日に合わせて「うなぎ弁当」を食べたり、クリスマスにケーキやチキンを食べたりといったことです。そうすると、社員は「この会社はいいところだな、入って正しかったな」と思ってくれるかもしれませんし、こういったことを社員が家に帰って話すと、その家族も安心感を覚えると思います。働いていると、いろいろと大変なことや不満に思うこともあると思います。「だけど、やっぱりこの会社っていいよね、ここで働いていたいよね」と思ってもらえるような環境を作ることが第一歩だと思っています。

社員の憩いの場であるとともに結束の場でもある社員食堂
会社名:田中プレス工業株式会社
業種 金属加工、金型設計・製作、測定解析
設立年月 1959年7月
資本金 4,000万円
従業員数 34人
代表者 田中雅敏
本社所在地 神奈川県相模原市緑区西橋本4-2-2
電話番号 042-772-1351
公式HP http://www.tanaka-press.co.jp/

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