うちの会社にDXって関係あるの?(ひまわり経営コンサルティング 内山 崇行)

うちの会社にDXって関係あるの?

中小企業の経営者や幹部の方とお話をしていると、こんなことを聞かれることがあります。

『「DX」という言葉をよく聞くんだけど、うちみたいに従業員が10人くらいの小さい会社に DX なんて関係あるの?』

あります、あります、当然あります。

今日はその DX という言葉について少し考えてみたいと思います。

そもそも DX って何?

そもそもの話ですが 、DX とは何でしょうか?実はこの問いに答えられる方は、意外と少ないです。

 

Wikipedia の定義を見てみましょう。

『デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation:DX)とは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。』

 

分かったような、分からないような・・・。「Digital Transformation」 って、どこにも「X」なんて入ってないのに「DX」ですしね・・・。

 

ざっくり言うと「デジタル技術をうまく使うことで、会社も生活もハッピーになる」といったところでしょうか。

 

ただ、これだと話が進めにくいので、今回は「会社がデジタル化を進めてよりよくなる」という観点からもう少し細分化していきたいと思います。

 

デジタル化の3段階

デジタル化を進めていく上での3段階を見てみましょう。

 

a.デジタイゼーション

b.デジタライゼーション

c.デジタルトランスフォーメーション

 

何となく聞いたことがあるかもしれないこれらの言葉を明確にしてみましょう。

 

デジタイゼーションは、情報のデジタル化。アナログなものをデジタルにすることです。

 

デジタライゼーションは、業務フローやプロセスをデジタル化することです。

 

デジタルトランスフォーメーションは、製品やサービスをデジタル化により変えていくことです。

 

どうでしょう。少しスッキリしてきましたね。より分かりやすいように、音楽を例にとって説明します。

 

まず、デジタイゼーションは、テープやレコードなどアナログのメディアで聞いていた音楽を、 MD や CD などデジタルデータに変換することにあたります。当初は「音楽が無機質になる」なんて言われたりもしましたが、すっかり慣れちゃいましたね。

 

次に、デジタライゼーションは、 MD や CD などで提供されていた音楽を、音楽データとしてダウンロードして購入する流れに変わったことです。iPodが流行り始めたことでしょうか。音楽を作ってから、利用者に届けるまでの商品提供のプロセスが変わりました。

 

最後に、デジタルトランスフォーメーションは、データの販売形式をさらに進化させ、配信サービスで音楽を提供するモデルに変えるということですね。一曲いくらという販売形態から、月額〇〇円で聴き放題というようにサービスの提供形態が変わり、ビジネスのポイントが大きく変わりました。

 

このうちデジタイゼーションを「DX」と捉えている方も多いのではないかと感じますが、上記の3段階に照らし合わせると、違いを分かってもらえるかと思います。

 

まず、何から始めるか?

さて、定義が分かったところで、「うちの会社のデジタル化ってどう進めて行けばいいんだ?」という疑問にお答えしたいと思います。

「システムを導入する」と言うのも間違いではありませんが、「お金をかけないデジタル化」という観点でお伝えしたいと思います。

単純に言うと、まずは「紙」を極力減らし「データ化」するということです。紙ではなく、データでやり取りしましょうとか、紙で管理しているものをPDFファイル化しましょう、とかそういうことです。それが出来たら次は、どの会社にも存在するあるソフトを使うことをお勧めします。

それは「Excel」です。「Excel」を使い倒すのです。具体的には「Excelの表にデータを整理する」ということです。

Excelを使っていない会社はいといっても過言ではないほど、ほとんどの会社がExcelを使用しています。そして、Excelは最も簡単に使えるデータの集合体、「データベース」です。顧客の情報、部品の一覧、材料別の在庫、等々、紙で管理しているものがあったらExcelに情報を入力します。そうすると、社内で共有したり、遠隔でも確認できたり、後から分析したりできますね。データ量が増えてきて、Excelでの管理が難しくなったら、初めてシステム化を考えてもよいかと思います。Excelにデータが格納されていれば、システム化した時のデータ移行もスムーズにできます。

 

最後に

デジタル化というと「システムを導入して」とか、「ITツールを導入して」という話にどうしてもなりがちです。それも決して間違いではありませんが、ITツールは目的ではなく手段です。やりたいことや、やるべきことがある上でそれを実現する手段がITツールです。もしかしたら業務フローを見直したり、Excelを使い倒すことで十分に用が足りる場合もあります。そんな風に視野を広げてみてくださいね。

この記事の著者

内山崇行

内山崇行ひまわり経営コンサルティング 代表 中小企業診断士

神奈川県厚木市在住。IT企業にてシステムエンジニア・プロジェクトマネージャを約20年務めたのち、経営コンサルタントに転身。事業計画作成、財務改善、事業再生など「経営者のタッグパートナー」として経営者と共に戦っている。最近はIT企業と力を合わせ「中小企業が世界と戦うためのデジタル化」という点に特に力を入れ、他のコンサルタントとは異なる独自の取組を行っている。

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