生産性を向上できる現場だけが持つ3つの要件について(株式会社 事成す 西本文雄)

生産性を向上できる現場だけが持つ3つの要件について

あなたの職場は思い通りの進化を遂げてられていますか?私はこれまで600社を超える会社を支援してきました。驚くくらい業績が上がる会社がある一方で、有効な手立てでも変わらない会社、挑戦をやればやるほど元気がなくなる会社など、多くの会社の変遷に立ち会ってきました。このような経験を振り返り、生産性を飛躍的に向上する現場だけが持つ特徴があることに気づき、今回はごあいさつ代わりにその特徴をご紹介します。

【支援現場で出会った小規模製造業のポテンシャル】

私が中小製造業を支援し始めて5年が経過した頃に出会った、生産性を向上されたある金属切削加工メーカーの事例をお示ししたいと思います。

その会社は売上高約2億円で従業員12名の小さな工場で、私がその工場にお伺いした際は、皆さまの挨拶も元気で活気を感じ、また加工への集中度も高そうな現場でした。

社長に話を伺うと、以前は主要取引先を一社に絞り技術を磨いたそうですが、リーマンショック時に受注量がゼロになったため、大きく方向転換し多くの業種の試作品加工を高精度・短納期で制作することを中心とする事業展開を目指してきたとのことでした。営業活動は簡単ではなかったようですが、顧客の認知も進み、注文を受けきれないほどの引き合いが来ているようです。

このように、到達すべきゴールイメージがないと、努力や成長は継続できないものです。そのゴールイメージは同業種では似たり寄ったりになってしまうことが多いのですが、この会社は独自のイメージをしっかり持っていたようでした。

なぜそのような独自のイメージを持つようになったのかを伺うと、受注がなくなった時にイヤと言うほど従業員と一緒に研修やセミナーに参加して知識をかき集め、どうすればよいかを徹底的に話合ったそうです。そうやってみんなの意見を擦り合わせた結果、加工技術が必要ではあるが、受注単価を高く設定できる方向に舵を切ることに決めたのだとか。

この社長の判断の良かったところは、従業員と一緒に解決策を考えたことにあります。以前は「俺についてこい!」型リーダーがお手本でしたが、複雑性が増す現代の事業環境では、考えるヒトの数と対話機会の掛け算により事業戦略の確度と自信を育てる手段が有効です。

 

【この会社が成長をはじめたきっかけとは?】

私はこの会社への支援として、定期的な改善を習慣化できるよう、研修形式で3S活動を学び直していただき、従業員各自が改善計画を立て次の研修で実績発表を繰り返すことを提案しました。その方法に慣れてきた段階で、全員で他社工場を見学する機会を設定しました。

訪問先は同業種でしたが、難削材を扱う超精密加工で、しかも設備は工具の自動切換装置を導入し夜間の無人稼働も実現するなど、従業員の方たちは自社とのレベルの差に度肝を抜かれた様子でした。彼らはここでライバルと出会い、力の差をまざまざと見せつけられたわけです。

それからというもの、従業員の方々は研修機会を活かしてグングン改善力が高まり、3年後にはIE手法を使いこなして半期で数十万円規模の改善を継続するなど、飛躍的に生産性向上を図るチームへと進化しました。これは飛躍的な成長速度だったと今でも思い出します。この会社がこのように大幅な成長ができた背景に、我々が学ぶべきヒントがあります。

 

【生産性を飛躍的に向上させる3つの要件】

この会社は分かりやすい例としてお示ししましたが、同じ研修を実施しても成果の出方はさまざまです。この会社は、前述した『生産性を飛躍的に向上できる現場だけが持つ特徴』をお持ちだったことで、このような結果につながったのだと考えます。皆さまにはそれを3つの要件としてお伝えしたいと思います。

生産性を飛躍的に向上させる3つの要件

要件1:ゴールイメージが明確である

要件2:従業員と意思疎通ができている

要件3:ライバルを具体的に設定している

それぞれもう少し詳しく解説を加えましょう。

[要件1:ゴールイメージが明確である]

やはりチームというのは、どのゴールを狙うのかが明らかであればあるほど、結束力を高めることができます。サッカーでメンバーがそれぞれの考えでそれぞれが違う位置にゴールを置いていたら、試合になりません。逆に『あの山に全員で登る!』と明らかであれば、備えるべき能力・体力や準備すべきアイテムもおのずと目標に合ったものを全員が選びます。ゴールが明確であること。これがひとつ目の要件です。

[要件2:従業員と意思疎通ができている]

 

ゴールが決まっていても従業員に伝わっていない現場は実に多いです。リーダーが勝手に決めたことは自分ゴトとして捉えられず、ただの指示・命令に従うだけでは機転を効かせた力強いプレーは期待しにくいですよね。そのため、会社の将来や現場の問題点について話し合う場づくりは従業員がゴールを理解するためにとても重要であり、専門知識の習得や思考力、分析力を鍛えるそのような機会を増やすことで意思疎通を高められます。

[要件3:ライバルを具体的に設定している]

最後はライバルを具体的に設定していることです。将来のゴールや問題認識はどうしても目に見えません。ですので気づく訓練はとても重要ですが、具体的なライバルを観察できれば、やるべきことが明確になります。その前提として必要なのが、ゴール達成を狙う姿勢と強い問題意識を持っていることです。これがなければ、ご紹介した会社の従業員の方もライバルをライバルとも思わずショックも受けなかったと思います。

さて、いかがだったでしょうか?現場の方々の意識を成長させ、生産性向上につなげたいのであれば、この3つの要件を強化することは有効です。また、私は皆様の職場の発展のお手伝いをできることを願っています。もし第三者の立場からサポートが必要な場合には、お気軽にご相談ください。

 

すべては御社の発展のために

すべてはあなたの笑顔のために

この記事の著者

西本 文雄

西本 文雄株式会社 事成す 代表取締役

はじめまして!私は起業から12年にわたり中小製造業の経営および改善の支援をさせていただいている西本文雄と申します。この度、機会をいただいて生産性向上や効率化ノウハウなど、これをご覧いただいているあなたの職場を良くするためのお役立ち情報をお届けしてまいります。ぜひ読み終わるまでのお時間まで、どうぞよろしくお付き合い下さい。すべては御社の発展のために、すべてはあなたの笑顔のために。

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