期待を超える技術力~展示用カメラレンズ絞りに見る精密加工の精華~(王大工業株式会社)

フライス盤、旋盤を駆使して美しい精密機械部品を製造

王大工業株式会社は大田区大森中に本社、工場を有する精密機械部品加工会社です。汎用旋盤・フライス盤からマシニングセンタまで多種多様な工作機械を揃え、従業員の高い技術力と大田区のネットワークを活かして、お客様の多様な要望に高品質、短納期で応え続けています。同社の優れた経営と、人や地域に配慮した取り組みが評価され、1997年と2016年には「大田区優工場」に認定されました。

同社が加工する部品の多くは、精密機械を構成する一つの部品であるため、日常生活で直接目にする機会はほとんどありません。そのため、直接製品を手に取って確かめることができる展示会営業に力を入れています。ここでは、そんな同社の高い技術力を集約した美しい匠の一品として、展示用に作成した絞りを備えたカメラレンズを紹介します。

展示用カメラレンズが語る王大工業の精密加工技術

一般的にカメラレンズの絞りの色は黒です。しかし、展示サンプルを全て黒くしてしまうと、あたかも一つの材料から削って作成したという印象を与えかねません。そこで、このサンプルが複数のパーツから構成されているということを分かってもらうため、サンプルを構成する部品毎にあえて色分けしています。先端の金色部分は真鍮、それ以外の色はアルミで表面はアルマイト加工が施されています。アルマイト加工は大田区のネットワークを活かして協力会社に外注しています。

本品は同社のフライス盤、汎用旋盤、マシニングセンタを用いて加工されており、同社の保有する工作機材で技術を集約した一品といえるものです。一番の特長はふたつの鏡筒部品がスムーズに回転するところです。これは各部品を図面通り正確に加工することで実現しています。シンプルに聞こえますが、複数のパーツから構成されているため、連動する部品に加工誤差が生じてしまうと、スムーズな回転は実現しません。

細かな仕様も一目瞭然

展示会で本品を展示したところ、Cマウントと呼ばれる光学機器ねじ規格から、鏡筒内の螺旋面(ヘリコイド)まで、その技術が一目で光学系のお客様に伝わったといいます。また、実際にその機構を動かすことで、部品同士がスムーズに連動する様子が確認でき、加工精度の高さが実感できます。まさに「百聞は一見に如かず」であり、現物に触れて動かすことで、技術力のすべてが伝わるのです。
ものづくりが大好きな従業員達は、お客様のご注文に対して「お客様からの要望以上のもので納品する」ことで、今日も強みである技術を磨き続けています。

展示用に作成したカメラレンズの絞り

鏡筒内の螺旋面(ヘリコイド)

(撮影:保科彰治)

この記事の著者

杉本剛

杉本剛中小企業診断士

2021年中小企業診断士登録。東京都在住。薬剤師、製薬会社勤務。自社製品の成長戦略の策定や新薬開発におけるプロジェクトマネジメント業務に従事。趣味は旅行と野球観戦。

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