高度な技術と豊富な経験で常にお客様の期待を超え続ける(王大工業株式会社インタビュー②)

会社の危機を救った展示会営業

第一回では、王大工業株式会社の歴史と現在の業務内容、ものづくりへのこだわりについて紹介しました。第二回では、営業面での取り組みについて、営業体制や方針、展示会営業、新規顧客の開拓について詳しく紹介します。

営業活動の軸は展示会への出展と新規顧客の開拓

―営業体制についてお聞かせください。

中村氏:営業業務は基本的に私一人で全てやっています。普段の問い合わせ対応に加え、展示会への出展準備や当日の対応も行っています。さらに2024年からは新規顧客の獲得に向けた営業活動にも積極的に取り組み始めました。従業員には加工作業に集中して欲しいので、営業活動は私一人が一手に引き受けています。ただし、受注時に図面がなく、お客様の要望やイメージをもとに加工する必要がある場合には、担当する従業員を交えてお打合せの機会を頂いています。加工するのは彼らなので、私から伝え聞くよりもお客様のご意見を直接伺うのが良いでしょう。

―営業に対するこだわりを教えてください。

中村氏:お客様からの問い合わせにただ対応するだけではなく、こちらから積極的にアプローチをかけていく“攻め”の営業を心がけています。大事なことは、ひとりでも多くのお客様に当社を知ってもらうことです。そして商談で重要なのはタイミングであると思っています。たとえご縁のありそうなお客様であってもタイミングが合わなければすぐに受注につながるわけではありません。何度も積極的にお声掛けさせて頂きます。いつか当社がお客様にとって必要になった時、思い出していただけるのではないかと考えています。これまでの経験から、そうした「いざ」という時に頼っていただける企業として、お客様の選択肢の一つであり続けたいと思っています。

工場の中には多種多様の加工機材が配置されている

会社の分岐点となった展示会への出展

―展示会にはいつから出展していますか。出展のきっかけを教えてください。

中村氏:大田区などが主催する年1回の展示会に8年前から毎年出展しています。当時は思うように売上が伸びず、とにかく何か新しいことを始めないといけないという危機感がきっかけでした。展示会への出展に備えて工場のレイアウトも刷新しましたよ。

―展示会ではどのようなことを工夫されていますか?

中村氏:当社の製品は機械部品などが多いため、一般の方にはその魅力を伝えるのが難しいことがあります。そのため同じ業界の方に、当社はいったいどのような加工ができるのか、当社の製品に触れて知っていただきたいのです。特に技術の高さが伝わるように展示の仕方を工夫しています。具体的には、カメラの絞りに使われている当社の加工部品を展示し、それを光学系のお客様が当社のブースに来て手に取ると、当社が光学系の部品が得意であることが一目で伝わります。細かな説明は一切必要ありません。これが当社の展示会営業のやり方です。

―御社の製品にとって展示会への出展はとても相性がよい営業方法なのですね。実際に展示会に出展することで売上に影響はありましたか?

中村氏:展示会への出展が業績回復の契機となったといっても過言ではありません。8年前から毎年徐々にですが売上が向上しており、その成果を実感しています。一時期コロナ禍によって落ち込みはしたものの、その後業績も回復し2023年は過去10年間で最高の業績でした!

展示会営業の様子

さらなる業績向上を狙って新規顧客の開拓へ

―2024年から新規顧客開拓の営業を始められたようですが、なぜこのタイミングで始めたのですか?

中村氏:2023年の業績はおかげさまで好調でしたが、2024年は市場環境の変化や不確定要素もあり、このままでは厳しい状況に直面する可能性があると感じていました。特に、既存のお客様だけに頼るのではなく、新しいお客様を開拓する必要性を強く意識したのです。実は8年前に展示会への出展を始めた際も、新たな可能性を広げるために動き出した経緯があります。今回もそれと同じように、「今が動くべきタイミング」だと考え、積極的に新規顧客への営業を開始しました。

―具体的にどのように新規顧客にアプローチしているのですか?

中村氏:まず闇雲に声をかけるのではなく、どの業種にアプローチするかを考えます。今、注目しているのは食品関係です。食品加工機を販売している会社なのですが、関連する展示会に実際に足を運んで営業しています。実績として既に複数の企業様から注文を頂いています!それ以外の分野では、世の中の状況から半導体関係の会社や設計会社にも注目していますね。設計会社は図面起こしまでは自分たちでやりますが、その先の加工となると工場を持っていないので外注することになります。そういったところにビジネスチャンスがあるのではないかと考えています。業種別に検索エンジンを使ってご縁のありそうな会社を探しアプロ―チしています。

―初めてのお客様とお会いする際には、どのようなお話をされるのですか?

中村氏:新規営業を行うときは決めごとを作ってやっています。初めての時はまずご挨拶。それから相手が当社に何を求めているのか、情報収集ですね。品質なのか、価格なのか、それとも納期を重視しているのか、ホームページでは把握できないことを中心にお話を伺います。図面の話は相手から触れない限り、こちらから持ち出すことはありません。そして面談後も継続的にコンタクトを取りながら、将来的に仕事につながる機会をうかがっています。

展示会営業や新規顧客開拓についてお話される中村専務

(撮影:保科彰治)


会社名    王大工業株式会社
業種       精密機械加工
設立年月          1973年2月
資本金              1000万円
従業員数          6人(2024年11月現在)
代表取締役      中村みさ子
本社所在地      〒143-0014 東京都大田区大森中1-5-8
電話番号          03-3762-7515(代表)
公式HP           http://ohdai.co.jp

この記事の著者

杉本剛

杉本剛中小企業診断士

2021年中小企業診断士登録。東京都在住。薬剤師、製薬会社勤務。自社製品の成長戦略の策定や新薬開発におけるプロジェクトマネジメント業務に従事。趣味は旅行と野球観戦。

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