生産性が格段に上がる営業会議とは(ワタナベコンサルティング 渡辺日菜子)

生産性が格段に上がる営業会議とは
“理想的な営業会議”と聞いて、どのようなイメージをもたれるでしょうか?

その会議での立場や役割で違うイメージを持たれるかもしれません。営業職を管轄する上司の立場の方にとっては、「活発な意見が出る」とか「積極的な提案が出てくる」ことが理想かもしれません。しかし、現場の営業職の方にとっては「責められない」や「すぐに終わる」、そもそも「会議なんてしなくて良い」という意見も出るかもしれません。

世間一般の方は営業会議にあまり良いイメージを持っていません。それでも今、コミュニケーションの一つとして営業会議は重要です。このコラムでは、営業会議を有意義に進めるための意識や手順をお伝えします。できるところから実践してみてください

 

1.営業会議の目的は何か?

営業会議を惰性で続けていませんか?定期的な会議は、つい目的を忘れてしまうものです。営業担当者の売上進捗を確認し、全体の売上や利益の予定を見るだけであれば、個別に確認すれば良いことです。それでも時間を作り、チームで集まることの良さは何かを考えてみましょう。

 

2.営業会議ができること

営業会議は様々な意義があります。代表的な5つの具体的な意義を示します。

 

●「現状確認の場」

 現状の売上数字や予算に対する進捗などを、皆で確認・共有をします。多くの会社で行われています。

 

●「合意形成の場」

 物事を判断する時に十分に考えを伝え合い、リスクとベネフィットを把握し、不安や不満を解消して納得の上で進めるために行います。新規プロジェクト の立ち上げ時などにも有効です。

 

●「着想の場」

 新製品の開発や新規事業を行う際、様々なアイデアを出し合います。1回あたりの時間を決めて、複数回にわたって開催することもお勧めです。他者の意見に誘発されて、新たな気付きが生まれることもあります。特にこの場合は参加者にアイデアを持ち寄ってほしい旨を予告しておくと良いでしょう。

 

●「役割意識の場」

 司会者が一方的に話をしていると、意識が他人事になってしまいます。参加者を傍観者にせず、会議に参画してもらうことが重要です。営業会議の意義や目的を認識して各々が会議での役割意識を持つために、例えば、会議で出た意見や合意事項を、司会者やリーダーは率先垂範し、また各自が行動に移していることを確認しましょう。

 

●「教育の場」

 営業会議を通じて成長を促すことを目指します。人が成長するには、“気付き⇒実践”を繰り返すことが重要ですが、一人で継続することは難しいため、各自の行動を促すために活用します。具体的には、次の行動を決意表明することや、失敗を次に活かす方法を参加者がアドバイスする等、自信に繋げることが出来れば、本人も会社も成長していきます。

 

3.良い営業会議にするための手順

ここでは、目的を明確にした上で望ましい営業会議の手順をお伝えします。

①準備
 まずは議題にふさわしい参加者、時間設定、リアルかオンラインか等の方法を検討します。内容や会社によっても最適解は異なるため、自社にとって良い方法を模索します。参加者へ事前に伝達しておいた方が良い情報を整理し、参加者が会議に意識を向けられるタイミングでその情報を伝えます。会議の目的は事前に伝えましょう。

②会議
 司会者は、会議の目的を最初に確認します。論点が逸れないよう、参加者全員が認識できるホワイトボードやパワーポイントなどに目的を記載し、参加者全員が認識できる状態にしておくことをお勧めします。また、参加者の方が話をしやすいように、まずは司会者の方が良い雰囲気づくりを意識しましょう。例えば、なかなか意見が出せない方には、フランクに意見を出せる議題を選び、司会者から発言を促すなど意見を求めてみましょう。今後の参画意識が高まりやすくなります。

③事後フォロー
 参加出来ない方のために、会議の記録を取ります。会議の振り返りにもなるので、合意事項や課題などが明確になります。また、会議の場では発言が出来ない方には、個別聞いてみるのも一つです。他の人の意見に押されて、思っていても話せない方は案外多くいます。普段のコミュニケーションにもつながるので、営業会議を完璧に進めようとするよりも、営業会議はきっかけであり、コミュニケーションの一つと捉えて、まずはやってみてはいかがでしょうか。

 

4.最後に

外部環境が著しく変化している今、会社の考え方や営業会議の在り方も変化が求められています。すべてを完璧にするのは難しいかもしれませんが、まずは明確な「目的」を持って会議を開催するだけでも大きな変化がありまです。営業会議の意義をし、皆様方の生産性向上につながるような営業会議が行われますことを心より祈念しております。

この記事の著者

渡辺日菜子

渡辺日菜子ワタナベコンサルティング代表/中小企業診断士

大阪府出身。保育士資格保有。医療介護用品製造業で営業職に6年従事後、中小企業診断士として香川県にて独立。現在は、福岡県を拠点に活動中。企業特性に合わせた営業研修やコミュニケーション研修などを企画し、30社以上で導入。心理学を学び、「営業職の教育」について研究し続けている。

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