確固たる技術でビジネスモデルを開拓する「STEPONpitto」(株式会社玉川パイプ)

商品企画から製造、広報宣伝、販売までを自社でチャレンジ

STEPONpitto(ステップオン・ピット)は足元のサイズが15cm×8cmというスマホサイズを実現した、コンパクトな足踏み式消毒液スタンドだ。2021年4月にクラウドファンディングを開始し、その後、自社でECサイトを立ち上げて販売を続けている。

https://tamagawa-product.myshopify.com/

パイプ構造による足踏み式消毒液スタンドSTEPONシリーズの第1弾は、2020年6月に発売された「STEPON@(ステップオン・アット)」。コロナ禍における社会的ニーズと株式会社玉川パイプの引抜鋼管の技術がマッチした製品だ。他の足踏み式はワイヤーで引っ張って消毒液ポンプを動かすため、ワイヤーが切れるというトラブルが起きるが、STEPONシリーズはパイプがスライドする構造となっている。テレビ局で使うマイクスタンドのパイプを製造していた技術が生かされている。

 

STEPON@は大田区を中心とした16社による協業で部品作りと表面処理を行っているのに対して、STEPONpittoは、ほぼ自社での内製を実現させた。また、省スペースでスタイリッシュなデザインの商品企画から、クラウドファンディング、ECサイト、SNSでの広告宣伝まで、一連のマーケティングの流れを試験的に自社で行っている。市場開拓と内製化を目指す株式会社玉川パイプにとって、画期的なBtoC商品なのである。

 

社員の発案から始まって、最初は地域貢献のために公共機関に寄贈しようと製作したSTEPONシリーズは、消費者のニーズをつかみ、同社のビジネスの可能性を広げた。エンドユーザーの声を聞き、商品に求められるものを汲み取ることが可能となった。自社の利益率を高めると同時に大田区の「仲間まわし」を今後も有効なものとしていくために、株式会社玉川パイプと大田区町工場にとって、エポックメイキングとなった一品である。

 

教室とカフェの設置例(「匠の一品」ページの全て写真提供=株式会社玉川パイプ)

この記事の著者

宮田昌尚

宮田昌尚中小企業診断士

熊本県出身。早稲田大学政経学部卒業後、メディア企業に入社。出版部門の広告営業や企画運営等を長年担当し、CSR推進部門で各種事業の推進に携わった。現在はグループ会社に勤務。中小企業診断士として、信念をもった経営者の取材・執筆を多く行っている。

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