- 2025-11-18
- 取材・インタビュー
先代から受け継いだ思いを胸に、さらなる挑戦へ
文系出身の米山社長は、技術習得に苦労しながらも父の思いを受け継ぎウォータージェット加工の事業を承継した。米山製作所の今を支えるのは、先代が語り、現社長が言葉に紡いだ経営理念。地域との連携やIT活用、人材育成にも力を入れる企業の姿と、今後の展望について伺った。

インタビューに応じる米山俊臣社長
同じ信念がつないだ、先代からの事業承継
先代からの事業承継は、どのように進められましたか?
米山氏:文系出身の私がものづくりの世界に入ったきっかけは、父から「事業を継いでほしい」と言われたことです。技術面は父から直接指導を受けるほか、若手社員がウォータージェット加工の理論をまとめたり実務面でもフォローしてくれて、周囲の支えのお蔭で習得できました。サラリーマン時代の営業経験も活かしながら、お客様との信頼関係を築いてきました。
事業承継の過程で、苦労されたことはございますか?
米山氏:私の技術への理解の不足や、親子間の価値観の違いなど、壁は多くありました。父も私もわがままな性格ですから(笑)。仕事が進まないほどの対立もありましたが、時には家族が間に入って関係を繋いでくれましたね。父が大事にしていた、「お客様のためにどうするか」、「ウォータージェット加工で社会にどう貢献するか」という根底の価値観には私も共感しており、深いところでは通じ合っていたように思います。そして、社員との対話や現場経験を通じて、少しずつ経営者としての視点を養ってきました。
受け継いだ思いは経営理念へ
「利他」「進化・向上」「一所懸命」という経営理念は、いつ生まれたものでしょうか。
米山氏:父が社長だった頃、まだ経営理念として明文化はされていませんでしたが、月曜朝のミーティングで繰り返し発言していました。私の代になってから、社員にも分かりやすく伝わるように経営理念を文章にまとめました。さらに、「プラス思考」を理念に加えるほか、「家庭と仕事の両立」「地球環境への配慮」「ウォータージェットの可能性に挑戦する」といったミッションも言語化して体系化しました。作っただけで埃を被ったような状態にならないよう、今でも朝礼の時には、繰り返し言葉にするようにしていますね。
いま、経営理念はどのように息づいていると感じられますか?
米山氏:経営理念がしっかりしていれば、社員全員が同じ方向を向けますが、そこがずれると迷走する可能性もあります。弊社では、社員一人ひとりが自分の役割を理解し、改善を続ける姿勢が会社の成長につながっていると感じています。朝礼や勉強会を通じて経営理念を共有することで、社員同士が意見を交わしながら、より良い仕事の仕方を見つけるプロセスが生まれています。お客様対応にも活かされており、「言われたことだけでなく、課題解決の提案をする」姿勢が信頼獲得につながっていると感じています。

ウォータージェット加工をする様子
地域とともに生きる企業の姿
地域社会とはどのような関わりを持たれていますか?
米山氏:地域の小学校と連携し、若い世代が技術に触れる機会の提供や、キャリア開発支援に取り組んでいます。ここ瑞穂町の小学校では、地元の名産品や産業を知るバスツアー形式の学習プログラムで、狭山茶の畑や牧場、弊社のような町工場を巡っており、弊社は年間5回ほど工場見学を受け入れています。ものづくりの魅力を次世代に伝えることは、重要な使命だと考えているので、これからも続けていきたいですね。
多摩地域に所在することには、事業における優位性があるのでしょうか。
米山氏:多摩地域にはものづくり企業が多く、ネットワークも活発です。弊社での加工が難しい案件は他社に紹介したり、逆に紹介していただいたりと、相互補完の関係が築かれています。弊社はウォータージェット加工専業ですので、ネジ一つ立てることも難しく、隣の工場に依頼したこともあります(笑)。展示会や勉強会を通じて地域企業との交流を深めるほか、中小企業支援制度や協会との連携も積極的に行っています。政策の活用や情報交換を通じて、地域全体の技術力向上に貢献したいですね。
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精密なデザインも可能なウォータージェット加工(株式会社米山製作所HPより)
技術にこだわり、これからも顧客とともに歩き続ける
いま抱えられている、技術面の課題はございますか?
米山氏:課題のひとつは、3次元加工への対応です。既に3次元加工機を導入している企業もあり、弊社も3次元データを閲覧できるソフトは導入済みですが、精度面や制御可能性の不安から、慎重な姿勢を取っています。もうひとつの課題として、弊社では水を噴射する圧力が最大320MPaの機械を使用していますが、今は最大650MPa以上の機械が主流です。余力を持って運転する方が加工精度は向上しますし、加工できる対象物の範囲も広がるので、いずれ買い替える必要はあると感じています。
人材育成の方針は、どのように考えておられるのでしょうか。
米山氏:スキルアップという点では、若手社員を展示会や勉強会に積極的に送り出し、現場の視野を広げる機会を作ることは、意識していますね。今後は、社員にブログを書いてもらうなど、社員個人のブランド化に取り組むことで、お客様との関係性強化や信頼感の醸成など、他社との差別化にもつなげていきたいですね。
これからの事業の方針について教えてください。
米山氏:ウォータージェット加工の可能性を広げて、より多くのお客様に貢献できるよう進化を続けることは、弊社の使命だと思っています。「素材機能を壊さない」「何でも切れる」という特性をどう進化させるか、常に社内で検討しています。お客様の業界や製品は違っても、その課題は共通しているので、全方位で営業活動を行うようにしています。
最後に、今後の展望について教えてください。
米山氏:むやみに事業を拡大していくよりも、今のお客様に確実に喜んでもらうことに、真摯に向き合っていきたいですね。ウォータージェット加工が新しい技術に取って代わられる可能性もありますし、市場の急拡大までは見込みがたいのが、正直なところです。それでも、ウォータージェット加工の検索数は増えており、切る・削るという仕事は、これからも決して無くなりません。社会や地域に貢献しながら、社員の生活も豊かにしつつ、これまでと変わらず事業に取り組んでいきます。
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本社工場の外観(株式会社米山製作所提供)
業種 ウォータージェット受託加工業
設立年月 1980年(昭和55年)5月1日
資本金 15,750,000円
従業員数 7人
代表者 代表取締役 米山俊臣
本社所在地 〒190-1222 東京都西多摩郡瑞穂町箱根ヶ崎東松原24-10
電話番号 042-556-2358
公式HP https://www.yoneyama.co.jp/

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