技術への思いとITで切り拓くウォータージェット加工の未来(米山製作所 インタビュー②)

顧客データベースとデジタル活用の強みが支える営業戦略

米山製作所は提案型加工サービスで、ものづくりを超えた顧客の課題解決を実現している。その取り組みを支えるのは、技術力の源泉となった顧客データベースと、自社開発のITシステム「ヨビダス」である。生成AIやデジタル技術を活用しながら情報発信し、ウォータージェット加工の魅力を世に広めていく営業戦略は、多くの企業の参考になる情報であろう。

 

切断加工された製品の例

 

提案型加工サービスで顧客課題を解決

御社ならではの特徴や強みを教えてください。

米山氏:現場と営業の垣根を越えた「提案型加工サービス」が何よりの強みです。量産品ではなくオーダーメイド品が中心であることもあり、お客様から情報を丁寧に引き出すことを大切にしています。加工だけでなく、その手前の素材選びや設計段階からの相談にも対応しており、お客様の課題解決に貢献しようという意識が強いですね。

 

その強みの源泉は、どこにあるのでしょうか。

米山氏:ウォータージェット加工の黎明期から携わり、お客様からのご依頼で得られた技術やノウハウを蓄積できたことですね。そして、素材特性や加工条件、試験結果をデータベース化しており、加工精度と信頼性の向上に努めるとともに、技術の進化を図っています。CFRP(炭素繊維強化プラスチック)やチタン合金といった、一般的に加工が難しい素材に対応できるのも、そうした取り組みの成果と言えますね。

 

ソフト面の強みが、何よりの競争力なのですね。

米山氏:そうですね。ハード面でいえば、ウォータージェット加工機を4台保有しており、これは業界でもあまり他にないですね。これによって、安定した加工体制を実現しています。表面の剥離や溝加工、バリ取りなども、圧力調整により柔軟に対応可能です。

切断後のバリ取りを行う社員

 

現場を支える自社開発のITシステム

データベース管理に注力されているということですが、どのようなシステムを活用されていますか。

米山氏:弊社では「ヨビダス」という、受注・履歴・作業表示・手順書・見積・売上・在庫と、業務全体を一元管理できるシステムを自社開発しました。iPadでも使用可能なので現場でもリアルタイムに情報共有ができます。受注番号の付け方や履歴管理にも工夫を凝らし、リピート品の対応やトラブルの未然防止に役立てています。ノウハウを個人でなく組織の資産として蓄積しており、営業事務や経理もシステムで一括管理し、少人数でも効率的に運営できる体制を整えています。

 

どのようにして、自社開発に至ったのでしょうか?

米山氏:現在の工場長が若手時代に中心となって、ファイルメーカー(専門的なプログラミングの知識がなくても、自社の業務に合わせたアプリケーションを開発できるプラットフォーム)を使って、1年かけて開発していました。その後、現場のニーズに合わせて改良を重ねていっています。弊社では、装置の軽微な故障は自分たちで直すこともあり、自分の力で何とかするという精神が根付いています。ヨビダスについても、「こんなのができたらいいね」と会話していた程度なのですが、長い時間をかけて粘り強く開発を進めて構築してくれたので、本当に感謝しています。

顧客からの要望事項を落とし込んだ図面(一部モザイク加工)

デジタル活用がつなぐ顧客との関係性

顧客との接点は、どのように生まれるのでしょうか。

米山氏:基本的にはリピートやご紹介が多いのですが、新規開拓の柱はホームページと展示会で、メールマガジンも活用しています。社員一人ひとりの発信力を高めるためにブログの導入も検討しています。弊社は、アーリーアダプター層(新しいものが好きで好奇心が強く、興味を持ったら納得いくまで追求する)を主なターゲットとし、彼らと共に成長してきましたので、情報を発信して弊社のことを知ってもらうことには、力を入れています。

 

営業面では、システムやITをどのように活用されていますか?

米山氏:弊社では、SEO対策(Search Engine Optimization:Googleなどの検索エンジンの検索結果で、自社サイトを上位に表示させるための施策)の重要性が世に広まる前から注力しており、ウォータージェット加工関連の検索結果では必ず1ページ目に表示されていました。その成果もあり、ホームページからの問い合わせは月に15件ほどいただいております。どのような人が弊社のホームページを見に来てくれたか、どの部分を何秒見てページを遷移したかなどの分析も、生成AIを使いながら行っています。

 

生成AIも、積極的に活用されているのですね。

米山氏:そうですね、色々と試しながら使っています。生成AIを使った、展示会用のPR資料や、ウォータージェット加工の紹介をするYouTubeの説明文、Q&Aやマニュアルの自動生成にも取り組んでいます。先日の機械要素技術展では、PR文、説明内容、製品写真のすべてを生成AIで作成しました。生成AIやデジタル技術の活用で業務効率化と情報発信力を強化し、少人数でも高品質なサービスを提供できる体制を整えています。

 

今後、ITやデジタル活用について取り組みたいことはございますか?

米山氏:ウォータージェット加工を知らない方に、Web検索で弊社を見つけてもらう方法を研究しています。例えば、非破壊検査をしたい人がいても、ウォータージェット加工のことを知らなければ弊社にはヒットしません。そこで、「破壊」などのキーワードから、弊社のホームページが検索上位に表示される方法を、生成AIで分析しています。最近は、ランディングページ(広告や検索結果などから訪問者が最初にアクセスする、問い合わせなどの行動を促すために設計されたWebページ)の開発も進めています。まだまだ勉強しながらですが、一人でも多くの人に弊社へアクセスしていただき、ウォータージェット加工の性能や魅力を世に広めたいですね。


業種   ウォータージェット受託加工業

設立年月          1980年(昭和55年)5月1日

資本金              15,750,000円

従業員数          7人

代表者              代表取締役 米山俊臣

本社所在地      〒190-1222 東京都西多摩郡瑞穂町箱根ヶ崎東松原24-10

電話番号          042-556-2358

公式HP           https://www.yoneyama.co.jp/

この記事の著者

安井伸太郎

安井伸太郎中小企業診断士

ハウスメーカーにて財務と経営企画を経験した後、転職。現在は専門商社の経営管理部門にて、中期経営計画策定、管理会計、IR活動、投資案件推進等の業務を担当。自己研鑽の一環で中小企業診断士を目指し、2024年度試験に合格。中小企業診断士の勉強会等で知見の拡大や能力開発に取り組みつつ、自分に合った活動方針を模索している。

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