コロナ禍でも有効な「新規顧客開拓の基本」

中小企業への新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により日本の2020年4~6月期の国内総生産(GDP)は27.8%減と戦後最大の落ち込みとなりました。そして、多くの小規模・中小企業は売上及び収益が大幅に減少し、資金繰りが悪化。そのため、政府系金融機関や民間の金融機関からコロナ対策融資などにより資金を補填し経営を継続している状況です。このように先行きが不透明ななか、各企業が従来通りの「待ちの営業スタイル」でいると企業の存続確率は低くなってしまいます。

そこで今回はコロナ禍及びwithコロナ時代でも収益を向上させるための新規顧客開拓の基本についてお伝えします。

新規顧客開拓を始める前にやるべきこと

皆さんの新規顧客開拓の目的が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による売上や収益の減少の回復ということであれば、最優先すべきは新規顧客開拓ではなく、取りこぼしている営業先(既存顧客)のフォローです。何故ならば新規開拓は、労力がかかり、短期的には成果が上がりづらいからです。

①既存顧客の深耕営業(横展開)は本当に充分なのか?

②休眠顧客を掘り起こすことはできないか?

③過去に出展した展示会の名刺のフォローはできないか?

などを冷静に考え行動し、既存ルートを掘り起こした後、新規顧客開拓を検討するようにしましょう。

新規顧客開拓の種類

新規顧客開拓の手法には様々な種類があります。下図がその一例です。これらの手法は大きく分けて「プッシュ型営業」と「プル型営業」があります。

まず、プッシュ型営業は、「押す営業」という意味で、起点は「営業マン」です。テレアポや飛び込み営業など、会社や営業マンが自らお客様にアプローチを掛けていく営業手法のことを指します。

プル型営業は、「引く営業」という意味で、起点は「顧客」です。Webサイトやリスティング広告など、顧客から会社や営業マンへの問い合わせや相談から営業がスタートする営業手法のことを言います。

営業はこの「プッシュ型営業」と「プル型営業」という2つに分かれ、新規顧客を成功させるには、この2つをうまく組み合わせる必要があることを押さえておきましょう。

新規顧客開拓時に押さえるべきポイント

次に、新規顧客開拓時に押さえるポイントについてです。ポイントは2つあります。

1つ目は「効果的な新規顧客手法は各企業で異なる。」です。新規顧客開拓を初めて行う経営者の皆さまは、どの新規顧客手法から始めたらよいか分からないかもしれません。そのような時に、例えばもともと付き合いのあるB社から「○○展に出展したら、株式会社△△の開発部の方が来ていて引き合いがあり効果的だった。」とか、C社から「当社のメイン商品のリスティング広告を定期的にあげたところ、多くの問い合わせが来て受注に結び付いた。」などと言われらどうでしょう。その新規開拓手法をついついやりたくなってしまうのではいでしょうか。でも実はそれが落とし穴なのです。B社、C社はターゲット顧客や取扱い商品も異なるため、効果的な新規顧客開拓手法が異なるのも当然で、その手法を自社がしても効果が出るとは限りません。新規顧客開拓の手法は十社十様と思ってください。自社にとって効果的な新規顧客開拓手法を見つけることが大切です。

2つ目は「新規開拓が軌道に乗るまでは中長期的にPDCAを回す」です。下図に新規顧客開拓の大まかな流れを示します。始めに“plan(計画)”段階として「ターゲット顧客の検討」、「開拓手法の検討」、「スケジューリング」、続いて“Do(実行)”段階の「新規顧客開拓の実施」、“Check(確認)”段階の「効果測定」があり、「初回訪問」という流れになります。そして“Action(改善)”を実施してPDCAを回し、中長期的に効果を高めていくことが重要になります。 特に法人営業の新規顧客開拓はすぐに成果に結び付くことは稀で、商品・サービスにもよりますが、新規顧客開拓の開始から初受注まで、通常は数か月から年単位の期間を要します。


行動に移すことが大切

以上が新規顧客開拓の基本となります。いかがでしたでしょうか?

コロナウィルスの影響がいつまで続くのかは誰にもわかりません。そしてコロナウィルスのせいにしても誰も助けてくれません。「自ら明るい未来を切り開く!」という気持ちが大切です。そして次にやらなければならないこと。それは「行動に移すこと。」です。「既存顧客の掘り起こし」が先か「新規顧客開拓」が先かの営業活動の優先順位を冷静になって検討し、能動的な営業活動を心掛け、そして行動に移しましょう。

この記事の著者

川崎 悟

川崎 悟合同会社セールス・トータルサポーターズ 認定経営革新等支援機関 代表社員

神奈川県横浜市出身。東京電機大学大学院 機械システム工学科修了。 上場企業のエンジニアから中小企業(水処理機器の商社)の営業マンに転身。「顧客ゼロ・ノウハウゼロ」から新規顧客開拓により売上高3億2000万円(営業所全体の売上高の約70%)を獲得しトップ営業マンになった実績を持つ。現在は、経営コンサルタントとして中小企業を中心とした営業戦略支援、技術営業支援などを行っている。

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