「町工場から企業に」 新たな加工技術に挑戦し続ける(株式会社丸善 インタビュー③)

若手の躍動と技術革新で築く、進化し続けるものづくり現場

プレス加工技術をコアに、溶接・アッセンブリ加工から磨きまですべて一貫製造できる技術力の高さと広さを武器に、トラック部品を中心とした金属部品を製造・販売する株式会社丸善。第二回では、コア技術のプレス加工と徹底した品質管理について伺いました。

第三回では、同社の成長を支える若手班長を中心とした風通しのよい組織風土と、更なる成長に向けた“艤装”などの新しい分野への挑戦について、代表取締役の中澤憲一氏と常務取締役の藤田一郎氏に伺います。

アットホームな組織風土で、班長に若手を抜擢も

- 御社の組織風土を教えてください。

藤田氏:アットホームで風通しの良い会社だと思っています。最近では、組織風土を変えるために若返りを促進し、世代が変わりつつあります。製造の4グループの班長にも若手を登用し、各従業員の方から班長に対して、話しやすい環境を構築しています。各班長とは月1回の定例ミーティングを開催し、様々な情報共有、問題等の確認、対処法の指南を実施しています。

中澤氏:数年前に若手を何名も中途採用した時期がありました。数年を経て技術を習得した際に、このうちの2名を班長に抜擢しました。熟練作業員には、若手を成長させたいから手助けしてほしいとお願いしたところ、特に反発なく、みんながついてきてくれました。そういった点からも、アットホームな会社かなと感じています。

 

- なぜ組織風土を変えたかったのでしょうか。

中澤氏:入社したときは私が一番年下で、年配の方が多くご結婚されている方ばかりの会社でした。いい方ばかりでしたが、若くしたいという思いがありました。若い方に入社いただいて、長年働いて結婚して家庭を築いてほしいというのが自分の夢だったこともあります。実際に、結婚したり家族が増えたりする方がいらしたので、すごく嬉しかったです。

 

- 人材育成の取り組みを教えてください。

中澤氏:班長を対象に外部講師をお呼びして、月に1度アカデミーを開催しています。内容は責任者の精神や見方などで、既に相当な回数を開催しています。従業員に対しては、資格取得も推進しています。フォークリフトやクレーンなど、配置転換があったときに使用する資格は、こちらから選任して声掛けをしています。一方で、面談などで従業員の方からキャリアアップを目的に取得したいという希望もあります。

月に一回、班長を対象にWebで外部講師の研修が行われる会議室

 

- 働きやすい職場を作るうえで、どのような取り組みをされていますか。

中澤氏:昔は有給休暇が取りづらいような風土でしたが、ワークライフバランスを大切にしてほしいとの想いがありました。そのような中、社会保険労務士から紹介のあった労働時間改善推進企業の認証を取得しました。取得にあたり、就業規則を整え、従業員全員を集めて社会保険労務士から改めて就業規則を説明してもらいました。そのうえで、有給をしっかりとって欲しいと周知しました。その後、有給の取得率はすごく増えたので、以前よりも有給を取りやすくなったと思います。そのかわり、15人で旅行に行くという時があったので、全員で一気に取らないでくれとお願いしました(笑)。

 

培った加工技術がつなぐ、新たな仕事の“縁”

- 営業面での取り組みを教えてください。

藤田氏:既存のお客様に対する深耕営業と、新規開拓営業の両面から取り組んでいます。深耕営業では、お客様が抱えている課題等の情報をもとに、解決するための提案を積極的に行っています。例えば、手作業で製造している製品があった場合、ある程度の数が見込めるのであれば、金型化して製造し、お客様としてもコストを抑えられる形にしませんかといった提案をします。先の話に出た艤装作業もお客様と積極的に関わる中で、チャンスをいただいた案件です。もともと、ボディーメーカーさんが請け負う事業の一環でした。アフターサービス事業は量産と比較すると少量ではありますが、新たな分野へ挑戦することで更なる会社の成長を目指し、私たちが業務を請け負わせていただきました。

艤装されるトラックのドンガラボディー

 

- 艤装はこれまでの業務と大きく違いますが、どのように業務をスタートされたのでしょうか。

藤田氏:業務を引継ぎにあたっては準備に相当な時間を要しました。引継ぎの際に手順書がなく、ノウハウはすべて1人の作業者の頭に入っていると言われました(苦笑)。現在は技術を習得しつつ、マニュアル化を進めてノウハウを蓄積しています。

中澤氏:車両は国内向けも輸出品もあり、様々な種類の車両があります。艤装に必要な部品はメーカーさんから弊社に納入されますが、各車両に部品点数は約500個、在庫としては1000種類以上の部品になり、メーカーさんから大量に部品が納品され、仕分けをして一つ一つ在庫管理をすることが大変ですね。

ドンガラボディーのドア裏側。動作確認をしながら、多くの部品が取り付けられる。


- 新規開拓営業はどのように取り組まれていますか。

藤田氏:新規分野に関しては、展示会やホームページからの問い合わせが多くありますが、地域に所属する工業部会の企業様からのニーズやつながりから、お仕事に結びつくこともあります。

中澤氏:新規分野では従来のプレスや溶接だけでは、対応できない案件が結構あります。プレス、溶接、マシニング、塗装、ステンレスの磨きなどの様々な加工に取り組んでいるからこそ、こういう加工もできませんか?と色々なお仕事をいただけています。

ステンレスの磨きを行う作業員の様子。

 

トラック部品をコアに、培ったノウハウを他業種へ展開

- 現在のトラック関連市況を踏まえ、御社はどのように取り組まれていますか。

中澤氏:グローバルでトラック市場は年間100万台で推移し、代表メーカー四社がシェアを占めています。弊社では、このうちの一社をメインでお取引していますが、近年は各メーカーさんの強み・弱みに以前よりも差が出てきています。今後は様々なメーカーさんとお取引させていただく分散化に少しずつ動いています。ただし、リーマンショックやコロナ禍では、トラック関係に依存する体制では売り上げが大きく影響を受けましたので、反射板や道路公団系、装飾関係などのトラック関係以外にも力を入れています。以前は、“トラック関係の仕事は全てうちに”という考えでしたが、今では一つの母体として考え、今まで培ったノウハウを色んな業種に展開できる企業に成長していきたいですね。

 

- 最後に、御社の将来の企業像を教えてください。

中澤氏:売上面では” 10億の壁”がありますので、そこを目指していきたいです。それだけに限らず、製造業である限り、色々なことに挑戦していける企業でありたいと考えています。今後も、パイプなどもそうですが、特殊加工に挑戦しつつ、新たな技術を習得しながら、お客様に信頼いただける企業であり続けたいと思っています。


業種   プレス加工、溶接組立、鈑金加工等の金属製品製造業

設立年月          1946年12月

資本金              1500万円

従業員数          35人

代表者              代表取締役 中澤憲一

本社所在地      〒243-0401神奈川県海老名市東柏ケ谷4-11-4

電話番号          046-231-2285

公式HP           https://www.ebn-maruzen.co.jp/

この記事の著者

山本祥晴

山本祥晴中小企業診断士

2024年中小企業診断士登録。化学メーカーにおいて研究開発業務に従事。環境系の中小企業診断士として、経営改善や各種補助金の申請支援に加え、脱炭素経営などの支援も行う。東京都中小企業診断士協会三多摩支部、神奈川県中小企業診断士協会に所属。

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