一度決めたら諦めない。特徴ある精密部品と自社ブランド品で不況のない会社へ (ザオー工業 代表取締役社長 鈴木国博様 インタビュー③)

不器用でもやり続けることの大切さ

ザオー工業株式会社は、金属プレス部品製造と銘板(ネームプレート)を製作する精密プレス部品製造会社である。創業当時からのネームプレート印刷技術を生かし、金型製作・プレス加工・シルク印刷ネームプレート製作までの一貫生産が可能な都内でも稀有な存在である。最近は自社ブランド品として、消費者向けのザオーブロックの製造販売にも注力している。第三回は、経営において大切にしていることや今後の展望についてお話しを伺った。

ザオー工業株式会社 代表取締役社長 鈴木国博氏

社員への手紙は給料日の付箋

自社ブランド品のマーケティング活動などで土日も精力的に活動されている社長ですが、日頃の会社の運営では何を大切にされているのでしょうか。

鈴木氏:私が日中忙しくしていることもあり、社員と直接話してこちらの考えや想いを伝える機会は多くはありません。過去には若い社員がそのことで鬱憤がたまってしまい、文句を言われたケースもありました。そのため、当社の給料は手渡しなのですが、給料明細に付箋で手紙を書くようにしています。社員全員に対し、もう7年間継続しています。手紙の内容は、直接その社員に対してというより、そのご家族宛てのようなメッセージを心がけています。ご家族宛てとなると知らない方に書くようなものでよく考えて真剣に書きます。毎月給料日の2週間ほど前から1日2~3枚ずつくらいで書いていきますが、結構な時間がかかります。今はこれが当たり前になりあまり反応はないですが、当初は職場の雰囲気も柔らかくなり、感謝の言葉ももらいました。毎月の給与と賞与も入れて年14回、時間はかかりますが、やり続けることが必要だと感じていますし、一度やると自分で決めたので、途中でやめたくはないですね。途中でやめたら、「なんだやめちゃったんだ」と社員は思うでしょうし、そう思われないためにも自分と闘いながら継続していきます。

 

シルク印刷する職人

 

社員とのコミュニケーションの大切な一つの形ですね。社長は今後、会社をどのようにしたいと考えているかお聞かせください。

鈴木氏:不況のない会社にしたいです。今いる社員に不安を感じさせたくないですし、そのご家族も含めて背負って守れるような会社にしたい。自分の家族やこれから入られる方含めて、不況でもしっかり働けて給料を出し続けられる会社にしたいです。そのためには、本業はもちろん、ザオーブロックもしっかり事業化するために信念と覚悟をもってやっていきたいと思っています。

また、自分は足立区で生まれ育ち、足立区で会社を経営しているので、ベタですが、地域への貢献も続けていきたいです。例えば現在は、行政が主催するボランティアのワークショップに参加し、独り親家庭や施設の子ども等、経済的な配慮が必要な方々にほぼ無料で遊んで頂く機会を提供しています。また、商工会等とタイアップして、地域の方々に足立区の良さをアピールしたり、税務関係等お役に立つ情報提供をするお手伝いをしたりしています。これらの地域貢献は今後も継続していきたいです。

 

近隣の町工場同士のつながりはあるのでしょうか?

鈴木氏:近隣の町工場は廃業等もありだいぶ減ってきましたが、町工場はあります。周りが住宅になってきているので、少しずつ環境は変わってきていますが、連携という意味では、足立区では異業種連絡会や、金属関係の加工業者の集まり等があります。また、父が山形から上京した頃は横のつながりが少なかったのでいろいろな団体に入り、調べてみると17団体に所属していました。全部引き継ぐのは時間の関係上難しいですが、これからもつながりを大切にして事業に活かしていきたいです。

工場内に掲示された社是・経営理念など


業種   金属プレス部品製造

設立年月          1968年3月

資本金              10,000,000円

従業員数          18人

代表者              鈴木国博

本社所在地      東京都足立区関原2-11-26

電話番号          03-3848-2301

公式HP           https://zaoh.com

この記事の著者

大島隆裕

大島隆裕中小企業診断士

2022年中小企業診断士登録。東京都中小企業診断士協会城東支部所属。大学卒業後、化学品商社に入社し、法人営業、財務部門、海外子会社への出向等を経験。現在はバックオフィスの管理全般業務に従事するとともに、企業内診断士として支援活動・研究活動を行っている。

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