美観の域に達するステンレス板金加工仕上げ技術(五洋工業株式会社)

技術力の高さを視覚的に訴求する

五洋工業株式会社は、ステンレスやアルミを中心に精密板金加工一般を行うメーカーである。1974年の創業当時より、ステンレス・アルミの需要拡大の機会を見据えて設備投資や製品開発を積み重ね、技術力に磨きをかけてきた。半世紀近くにわたりステンレスを中心とする板金加工を行う中で培った技術による高品質な製品は顧客の高い信頼を得ている。ここでは、同社の「美観」へのこだわりとそれを実現する板金加工技術の高さを示す製品を紹介する。

五洋工業は「多品種少量生産」の板金加工を行っており、顧客の注文に沿ってオーダーメイドで対応する故、汎用性がある製品を製作することは少なく、また製品を他の顧客に見せることはできないため、同社の技術力の高さを具体的に示す機会がない。やはり「百聞は一見にしかず」であり、新規顧客に同社の美観へのこだわりや高い技術力を実感してもらうには、可視化することが一番の近道である。

そこで、同社は展示会で「美観」と「技術力」を一瞬で視覚的に訴求できる工夫を行っている。

その一つが「GO YOU タワー」である。

 

緻密な設計と高い技術力によって生み出されたステンレス製の「GO YOUタワー」(高さ1500mm) 美観へのこだわりを具現化した製品である。

 

複雑な加工のニーズが高い顧客獲得に向けて

ステンレスの板金加工は差別化が難しく、価格競争や短納期競争になりかねない。五洋工業の強みは「美観」と「技術力」にあり、複雑な加工へのニーズを持つ顧客をどのように開拓していくのかが課題である。そこで、顧客にその強みを評価してもらえるよう視覚的に訴求できる形とし、高い技術力に裏打ちされた仕上げの美しさを魅せる製品を生み出している。

 

「折り畳み焚き火台」。付属ケースは焚き火台を設置する板(焚き火シート)として使用できる。

「折り畳み焚き火台」を畳んだ状態。

 

コアコンピタンスを活かした販路開拓

このような製品はあくまで一例だが、板金加工を長年行ってきた同社では、「美観」と「技術力」という自社の揺らがない強みやコアコンピタンスが活かせる土俵での販路開拓を心がけている。このように積み重ねた技術の蓄積は今後のさらなる成長への原動力となることであろう。

この記事の著者

小川浩司

小川浩司中小企業診断士

大学卒業後、不動産会社、製薬会社を経て、現在は生命保険会社に勤務。年間10,000名を超える保険営業パーソンから商品・相続・税務・会計など多方面のセールスサポート業務を行っている。2022年中小企業診断士登録。

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