- 2026-2-24
- 匠
見えない場所で精密機器を支える極小ねじ
精密機器の内部には、外からは決して見ることのできない小さな部品が数多く使われている。
株式会社共栄ファスナーが手がける 0.8×0.8mmの極小ねじも、そのひとつだ。
指先に乗せても存在が分からないほど小さなねじが、ハードディスクやノートパソコンの内部で、機器の性能と信頼性を支えている。軽量化・薄型化が進む精密機器の世界では、部品ひとつのサイズや精度が製品全体の完成度を左右する。極小ねじは、まさにその象徴的な存在と言える。
このねじが主に使われるのは、ハードディスクのクランプ固定部など、わずかなズレも許されない箇所だ。複数本のねじが均一な締結力で固定されなければ、ディスクの回転や読み取り精度に影響が出てしまう。
ねじは単に「留める」だけの部品ではなく、精密機器の性能を陰で支える重要な役割を担っている。

極小ねじは目視も難しいほどの小ささ
1/100mmの世界を量産で成立させる加工と品質管理
極小ねじの製造で最も難しいのは、1/100mm単位の世界を安定して量産することだ。
共栄ファスナーでは、圧造工程でねじ頭部を成形し、転造工程でねじ山を形成している。材料の流れ方や金型との相性、温度や硬さの違いによって仕上がりは微妙に変化するため、0.1mm以下の調整が欠かせない。
また、ハードディスク向けねじでは異物管理の厳しさが際立つ。許容される異物サイズは0.2ミクロンレベル。ほんのわずかなゴミの混入が、製品不良につながりかねない。
量産品であるがゆえに、共栄ファスナーでは100万本単位で生産されるねじをさらに10万本単位に分割して管理し、不具合が発生した場合でも影響範囲を即座に特定できる体制を整えている。
極小ねじ一つひとつに目を配るための仕組みづくりが、品質を支えている。
小さなねじに込めた技術と誇り
同社では、ねじを「見えない部品」のまま終わらせない工夫も行ってきた。折りたたみ携帯電話向けのねじでは、外装デザインに合わせた カラーメッキや塗装 を施し、展示会では「ビーズのようだ」と来場者の目を引いた。子ども向けイベントで瓶詰めにした際には、行列ができるほどの人気を集めたこともある。
同社取締役の川添隆氏は、極小ねじについて次のように語る。
「ねじは目立たない存在ですが、機器の性能を支える大事な部品です。だからこそ、小さなねじの中に技術と誇りを込めたいと思っています」。

極小ねじの大きさを10円玉と比較
0.8mmという極小サイズのねじを、安定して量産し続けること。その積み重ねこそが、共栄ファスナーの技術力の証であり、同社が信頼を得てきた理由でもある。
見えないところで確実に役割を果たす――極小ねじには、町工場の矜持が凝縮されている。






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