- 2026-9-2
- 取材・インタビュー
「見積最短半日」のスピード対応や「提案型精密加工」で顧客の課題に応える株式会社ナベセイ。その強みを支える「ハート」の理念と、最新設備と熟練技術を融合させた同社のモノづくりについて、代表取締役の渡邉敬太氏に伺いました。

汎用旋盤機を前にナベセイの技術力を語る渡邉代表取締役
技術と信頼で選ばれる町工場
―まずは、御社の事業内容について教えてください。
渡邉氏:株式会社ナベセイは、祖父の代から続くねじ切り加工(タッピング加工)をルーツとする町工場です。現在は事業の幅を広げ、金属の切削加工を主力事業としています。川崎市の本社工場では創業以来のねじ切り加工を手掛ける一方、横浜市には2つの拠点(横浜工場・横浜工場の離れ)を構え、マシニングセンタやNC旋盤、汎用旋盤を駆使し、多彩な部品製作を行っています。米粒ほどの小さな部品から100kgを超える大型部品まで幅広く手掛け、試作品から量産まで、お客様のニーズに応じたモノづくりを提供しています。
―加工技術の強みはどのような点にありますか。
渡邉氏:当社の強みは、複雑な形状や高い加工精度が求められる部品にも対応できる技術力です。「他社では難しい」と言われるような案件のご相談をいただくことも少なくありません。また、切削加工だけでなく、熱処理や表面処理なども協力会社と連携し、一貫した加工体制を整えています。お客様が複数の会社へ発注する手間がなく、品質や納期まで一元管理できるため、多くのお客様からご評価いただいています。
―そうした技術力を支える設備投資についてもお聞かせください。
渡邉氏:お客様の期待に応え続けるため、設備投資にも積極的に取り組んでいます。近年は24時間無人稼働が可能なパレットチェンジャー(ワークを載せる台を自動で交換する装置)付き5軸加工機を導入しました。夜間でも自動で加工を進められるため、生産性が大きく向上し、高品質な製品を安定して供給できる体制が整っています。ただ、設備だけでは良いモノづくりは実現できません。最新設備の性能を最大限に引き出すには、加工条件や工具の選定、プログラム作成など、長年培ってきた職人の経験や技術が欠かせません。最新設備と熟練技術、その両方がそろって初めて、お客様の期待に応えられるモノづくりが実現できると考えています。

前後・左右・上下の3軸に2つの回転軸を備えた5軸加工機
―御社がホームページで掲げる「見積最短半日」を支える仕組みについて教えてください。
渡邉氏:見積もりは副社長を中心とした3名体制で迅速に進めています。例えば、熱処理や表面処理など協力会社が関わる工程がある場合でも、すべての回答がそろうまで待つことはありません。まずは自社工程でわかる金額や納期をできるだけ早くお伝えし、不足している情報は後から補いながら、全体の見積もりをまとめています。お客様にとっては、まず判断材料が早く届くことが重要です。こうした迅速な回答が、短納期への対応力やお客様からの信頼につながっているのだと思います。
「ハート」の理念が生み出す価値
―御社のロゴにもなっている「ハート」に込めた想いをお聞かせください。
渡邉氏:私たちが何より大事にしているのは、「相手を思いやる心」です。仕事は会社同士ではなく、人と人との信頼関係で成り立っています。困っている人がいれば力になり、自分たちが困ったときには助けてもらう。そうした支え合いがあってこそ、長く仕事を続けることができます。私は「仕事だからこなす」のではなく、「相手に喜んでもらいたい」という気持ちを持って仕事に向き合うことを心がけています。その想いを一言で表したのが「ハート」という言葉です。
―その理念は、日々の仕事でどのように実践されているのでしょうか。
渡邉氏:製造業では、技術やノウハウを外に出さないという考え方もあります。しかし私は、工場見学に来られた方には設備や加工方法も可能な限り公開しています。見栄を張らず、嘘をつかず、誠実に付き合う。その積み重ねがお客様からの信頼を育み、「困ったらナベセイに相談しよう」と思っていただけるようになりました。今では100社を超える協力企業とのネットワークを築き、自社だけでは難しい案件にも柔軟に応えられる体制を整えています。

「ハート」のロゴが印象的な会社案内
図面の先まで考える「提案型精密加工」
―ホームページで「提案型精密加工」を掲げられていますが、具体的にはどのようなことをされているのでしょうか。
渡邉氏:図面どおりに加工するだけではなく、「もっと良い方法があります」とご提案することです。例えば、見えない部分にも必要以上の精度が指定されていることがあります。用途を確認したうえで、「ここは精度を少し緩めても性能には影響しません。その分コストも納期も改善できます」とご提案することがあります。加工現場を熟知する私たちだからこそ、お客様にとって最適なご提案を心がけています。
―提案を行ううえで、大切にされていることを教えてください。
渡邉氏:私たちはできるだけメーカー様と直接対話することを心がけています。商社を介すると、「図面どおりに加工してください」というやり取りになりやすく、価格だけで比較されてしまうこともあります。一方、メーカー様と直接お話しできれば、設計意図や使用目的まで確認したうえで、最適な加工方法をご提案できます。私たちは価格だけで選ばれる会社ではなく、技術力や提案力を評価していただける町工場でありたいと考えています。図面の先にあるお客様の課題まで見据えながら、これからも価値あるモノづくりに取り組んでいきます。
業種 金属切削加工
設立年月 1985年5月23日
資本金 1,000万円
従業員数 26人
代表者 渡邉 敬太
本社所在地 〒211-0035 神奈川県川崎市中原区井田1-1-26
電話番号 044-411-7022
公式HP https://www.nabesei.jp/













