- 2026-7-28
- 匠
センスが求めれる治具
神奈川県相模原市の株式会社臼井工業所は、自動車製造部品や試作板金製造部品を手掛けるメーカー企業である。これまで試作品の製造を通して培ってきた技術力を軸に、昨今は量産品の生産も手掛けている。今回の「匠の一品」では、これまで試作品中心だった事業から生産品へ事業展開されるなかで生み出されている治具について紹介をしていきます。

現場の知恵と工夫から生まれた臼井工業所オリジナルの治具
治具がもたらす効果
治具とは、部品や材料を決められた位置に正しく固定し、加工・組立・検査をしやすくするための補助器具です。製造現場では、穴あけ位置を合わせたり、溶接部品の姿勢を安定させたり、組立時のずれを防いだりする目的で広く使われます。人の手や感覚だけに頼る作業は、どうしてもばらつきが出やすくなりますが、治具を使うことで誰が作業しても同じ位置・同じ条件で作業しやすくなり、品質の安定につながります。
また、治具には作業時間を短縮できる大きな効果があります。位置決めや固定にかかる手間が減るため、段取りが早くなり、加工や組立のスピードが上がります。その結果、不良や手直しの削減、作業者の負担軽減、コスト低減にもつながります。特に量産では効果が大きく、少しの時間短縮でも全体では大きな生産性向上になります。一方で、治具は製品形状や工程に合っていないと逆に使いづらくなるため、目的に合った設計が重要です。つまり治具は、品質・効率・安全性を支える現場の重要な工夫の一つです。
治具を生み出す苦労
臼井工業所では、以前は治具の製作を主に外注していましたが、コロナ禍をきっかけにモノづくりの中心が試作品から生産品へと移る中で、治具の内製化にも力を入れるようになりました。生産品では、品質を安定させながら効率よく作業を進めることが求められるため、治具の存在がこれまで以上に重要になったからです。そこで、空いた時間を活用しながら3DCADで治具を設計し、レーザー加工機を使って自社オリジナルの治具づくりに挑戦してきました。
ただし、その道のりは決して順調なものではありませんでした。CAD上では理想的に見えた形状でも、実際に現場で使ってみると想定外の動きをしてしまい、思うように機能しないことも少なくありませんでした。また、設計する人によって発想や考え方が異なるため、同じ目的の治具でも形や構造が大きく変わってしまう難しさもありました。製造課長の八木氏は、治具づくりには図面の知識だけでなく、完成後の使い方までイメージする想像力やひらめきが欠かせないと語ります。こうした試行錯誤を何度も重ねてきた経験こそが、臼井工業所の強みである短納期対応を支える力になっています。

生産現場を支える各種治具



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