技を受け継ぎ、人を育て、未来へつなぐ。大雄塗装の人づくり(大雄塗装 インタビュー③)

大雄塗装 インタビューの第3回では、新人をどう育て、ベテランの技をどう受け継ぎ、効率よく現場を回していくか。さらに、その積み重ねが会社の未来をどう支えていくのか、今後の展望も含めて、神田代表取締役に伺った。

粉体塗装を行う職人

 

少人数工場を支える人材育成

―新人は、どのように育てているのでしょうか。

神田氏:いきなり塗装をやらせるわけではなくて、まずは製品をコンベアに取り付ける作業やエアブローから覚えてもらいます。それが数か月かけてできるようになったら、今度は塗装も少しずつ覚えていく。うちは少人数なので、最終的には全員が幅広く対応できるようになるのが理想です。経験を積んだ社員は、一通りできるようになっています。誰か一人だけに頼るのではなく、みんなが幅広い業務に対応できる現場にしていきたいんです。

当社では、現場で実際の作業を見せながら覚えてもらうことを大切にしています。班長をはじめ、経験を積んだ社員が一緒に作業しながら教えることで、言葉だけでは伝わりにくい塗装の感覚や動き方を身につけていきます。こうした現場での実践を通じた教育方法が、当社の人づくりの特徴だと思います。

 

―一人前になるまでには、どのくらいかかりますか。
神田氏:ある程度ライン内のどこでも働けるようになるまでに3年から5年くらいです。ただ、本当に難しい案件まで含めて対応できる、完全な職人と言えるようになるには10年以上の経験が必要だと思います。粉体塗装は未経験者でも取り組みやすい面がありますが、それでも難易度の高い仕事もあります。仕上がりの均一さや表面のなめらかさといった点では、ベテランとそうでない人では明確に違いが出ます。

コンベアラインに取り付けた製品を確認する職人

 

 

自分から動ける人を育てる

―育成で特に大切にしていることは何でしょうか。

神田氏:技術そのものも大事なんですが、それ以上にやる気ですね。自分からやろうとする気持ちがないと伸びにくいと思っています。いつまでも見ているだけではなくて、「やらせてください」と自分から言えるようになってほしい。失敗してもいいから、まずやってみる。失敗したらそこで覚えればいい。そのくらいの気持ちで進んで動けるようにしたいと思っています。

そのために、月に一度は、一対一で話す時間を取るようにしています。仕事のことだけでなく、雑談も入れながら、最近どうだとか、製品の取り付け方や段取りをどう良くしていくか、といった話をしていました。最近は自分の仕事が増えて以前ほどはできていませんが、それでも休憩時間に様子を見て、元気がないなと思ったら声をかけるようにはしています。やる気を大切にするといっても、本人任せにするのではなく、日常の中で見ていくことが大事だと思っています。

 

技と信頼を次代へつなぐ

―人材育成では、他にどのような点を大切にされていますか。

神田氏:そうですね、人材育成では、塗装の技術だけでなく、効率よく現場を回せる人材を育てることも大切にしています。頑張るだけでは現場は回らないので、どうしたら効率よく動けるかも大事です。製品をどう取り付けるか、段取りをどう組むか、色替えをどう回すか。一つでも効率が悪ければ全体に響いてきますし、塗装だけできればいいわけではありません。段取りも流れも含めて見られる人材を育てないといけない。少人数だからこそ、一人ひとりが効率よく動けることが会社の強さにつながると思っています。

―効率について、社員の方にはどのように伝えているのでしょうか。

神田氏:指導するときは、なぜそれが大事なのかを説明するようにしています。例えばコンベアに多くの製品を取り付けてもらいたい場合には、ただ「もっと多くコンベアに掛けろ」ではなくて、なぜ効率が大事なのかを伝えるようにしてきました。例えば、「製品をうまく取り付けてコンベアを効率よく回せれば、その分早く仕事が終わる。ガスも早く止められるし、燃料費も抑えられる。そうやって利益が出れば、みんなのボーナスにもつなげることができる。」といった話はします。創業者である義父の代から、効率よく回すことは大事にしてきた考え方ですが、私はできるだけその意味や理由を添えて伝えるようにしています。 

―今後の大雄塗装にとって、どんなことが大事になるでしょうか。

神田氏:やっぱり人ですね。採用も簡単ではないですし、入ってくれた人に長く続けてもらうことも大事です。新しく入った社員が少しずつでも仕事の幅を広げて、現場を支えられるようになっていかないと先は厳しいと思います。受注面では、大口だけに頼らず小口案件も積み上げて、仕事の土台を守っていきたい。それに今は、塗料や関連資材の価格変動など、仕入れを取り巻く環境も不安定です。そういう中でも現場に無理がかからないようにしながら、安定して仕事を続けられる体制を維持できるようにしていかないといけません。

―将来、どんな会社でありたいですか。

神田氏:ものすごく大きく変えるというより、今ある信頼をちゃんと残していきたいですね。短納期でも小ロットでも、できる限り応えられる会社でありたいし、そのためには人が育っていないといけない。技術を持った人が増えて、効率よく現場が回って、お客様の信頼に応えていく。その流れを止めないことが一番大事だと思っています。

塗装後の製品を確認する職人

 

大雄塗装の未来は、人を育て、無理なく現場を回し、今ある信頼を次代へつないでいくことにある。3年、5年、10年という時間をかけて人を育てる仕事は、地道で息の長い取り組みだ。しかし、その積み重ねこそが会社の未来を支える。


会社名:株式会社大雄塗装

業種   粉体塗装、溶剤塗装

設立年月          昭和54年3月9日

資本金              1,000万円

従業員数          10人

代表者              代表取締役 神田 健次

本社所在地      神奈川県相模原市中央区上溝3961番地

電話番号          042-762-0522

公式HP           https://daiyu-tosou.com

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