品質と納期を極める -昭和の技術の真髄(株式会社昭和 インタビュー②)

第二回は、株式会社昭和の強みである品質と納期について、その裏側にある見積り精度向上の仕組みや、7年間不良ゼロを支える検査体制を深堀し、技術力の本質に迫ります。

 

7年間不良ゼロを実現した“見逃さない仕組み”

―不良ゼロを実現している検査体制について教えてください。

濵野氏:当社では、画像検査機を使った全数検査を徹底しています。3台の検査機はそれぞれカメラ4台を持っていて、複数方向から確認できます。ガラス板の上で鏡の反射を利用し、上下両面からネジが貫通しているかを確認する手法です。これにより、真上からでは見えない微細なバリや切り粉の詰まりも確実に弾けます。導入してから7年間、不良の社外流出はゼロです。「人の目に頼らない」という点が大きいです。人間はどうしても疲れてしまいますし、微細なバリや切り粉の残りは見落としやすい。検査機は疲れませんし、同じ基準で判断できます。特に当社の製品は1mm前後の小さな部品が多いので、機械による検査との相性が良いんです。

7年間不良ゼロを実現する全数検査機

 

—検査機を導入する前は、どのように検査されていたのですか。

濵野氏:以前は、水で濡らして剥がした段ボールを波板状にし、そこに製品のピンを一本ずつ通して、下から光を当てて確認していました。切り粉が詰まっていないかを目視で確認する方法です。量が少ないうちは良かったのですが、注文が増えるにつれて限界が来ました。そこで、会長と何度も議論しながら検査機の導入を進めたんです。10年越しで会長を説得し、この検査体制を築きました。今では取引先から「昭和さんの製品なら検品なしで安心して出荷できる」と全幅の信頼をいただいています。品質は信頼の根幹ですから、ここは絶対に妥協しません。

 

納期を守ることは信頼を積むこと -昭和の流儀

―品質と並んで、御社の大きな強みは「納期遵守」だと伺いました。どのようにして納期を守っているのでしょうか。

濵野氏:まず、見積り段階で若手に図面を渡し、実際に試作してもらいます。これによって、加工にかかる時間や難易度を事前に把握できるので、見積りと実際のリードタイムの乖離がなくなります。例えば「見積りでは10秒でできると言ったのに、実際は15秒かかる」というズレがなくなります。また、事前に「この寸法精度は出しにくい」「公差を緩和できないか」といった現場の声を吸い上げ、顧客と調整しておくことで、受注後の「こんなはずじゃなかった」ということもなくせて、結果として納期遅延を防げているんです。また、若手育成にもつながります。

 

—需要変動が激しい中で、納期を守るのは大変ではありませんか。

濵野氏:確かに大変です。コロナ禍では、人工呼吸器や5Gアンテナ向けの部品が急増し、24時間体制で工場を回していました。そんな中でも納期を守れたのは、横浜と米沢の二拠点体制があったからです。

米沢工場を造ったことで、量産のキャパシティが一気に増えました。量産品は米沢、試作や特殊対応は横浜と役割を分けつつ、私自身が毎日、マックエイトさんの納品に伺うことで、資材担当者とリアルタイムで納期調整を行うアナログな連携も大切にしています。売上げの9割を一社に依存しているからこそ、その一社に対してどこよりも融通が利き、かゆいところに手が届く存在でありたいと考えています。また、納期を守るというのは、単にスケジュールを守るという話ではなく、信頼を積み重ねる行為だと思っています。

 

進化し続ける現場 -昭和が挑む設備革新

―技術や設備の進化のために、どのような設備投資を進めているのでしょうか。

濵野氏:今年、樹脂加工専用のCNC(コンピュータを使って工作機械の動作を自動制御すること)機を1台導入する予定です。今は金属加工と樹脂加工を同じ機械で行っているため、切替えの清掃に時間がかかってしまいます。専用機を導入することで、効率が大きく上がると考えています。また、単に新しい機械を入れるだけでなく、電力契約を見直して夜間の無人運転を増やすなど、エネルギー使用量に関わるコストと、作業量の増加抑制・能率改善という二つの効率化を図っています。

工場内に並ぶCNC

 

—米沢工場の増築計画もあると伺いました。

濵野氏:敷地が2,000坪ありますので、景気や需要を見ながら2期工事、3期工事と進められるよう準備しています。また、米沢では、ある一定の設備投資に向けた補助金や、ふるさと融資などが受けられます。これらをうまく活用していくことで、将来的には、より幅広い製品に対応できる体制を整えたいと考えています。

 

—サステナビリティや、図面管理や生産管理などのデジタル化も進めているそうですね。

濵野氏:切削油はリサイクル業者に回収してもらい、ビニールハウスのボイラー燃料に再利用される仕組みを整えています。また、図面管理はすでにシステム化していて、横浜でも米沢でもタブレットから確認できます。品種が多いので、図面管理の効率化は非常に重要です。今後は生産管理のデジタル化も進め、より正確で効率的な生産体制を整えていきたいと考えています。

さらに、現在は、マイクロチップの熱を逃がすための高精度な銅パーツ加工など、新たな挑戦も始まっています。1mmの材料から削り出す極小の仕事ですが、こうした「地味だが世の中を支える根底」を担いたいと思っています。

人の技術と設備の力を組み合わせることで、品質と納期を遵守する体制をさらに高めていきたいですね。

 

CNCに数値入力を行い受注部品を製造


業種   電子部品製造

設立年月          1979年3月

資本金              1,000万円

従業員数          17人

代表者              濵野邦彦

本社所在地      神奈川県横浜市緑区白山4-67-19

電話番号          045-442-7623

公式HP           https://www.sho-wa-inc.com/company.html

この記事の著者

川崎 悟

川崎 悟合同会社セールス・トータルサポーターズ 認定経営革新等支援機関 代表社員

神奈川県横浜市出身。東京電機大学大学院 機械システム工学科修了。 上場企業のエンジニアから中小企業(水処理機器の商社)の営業マンに転身。「顧客ゼロ・ノウハウゼロ」から新規顧客開拓により売上高3億2000万円(営業所全体の売上高の約70%)を獲得しトップ営業マンになった実績を持つ。現在は、経営コンサルタントとして中小企業を中心とした営業戦略支援、技術営業支援などを行っている。

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