- 2026-3-24
- 匠
商品の背景のストーリーが消費者に刺さる。自動車部品からできたランタンシェード
神奈川県相模原市の田中プレス工業株式会社は、自動車の内燃機関に使用するオイルフィルターや燃料フィルター用の金属プレス加工品を主力にする創業85周年を迎えた老舗企業です。同社は絞り加工(金属の板を型に押し当てて“円筒状の立体形状”に変形させる加工)による製品の中でも、特に製品の直径以上の深さに絞り加工を行う深絞りプレスを得意としており、その技術力と品質の高さは業界内でも随一です。同社は、トランスファープレスと呼ばれる、複数の金型を組み合わせて設備に装着し、複数回にわたって金属の板に押し当てて立体形状を成形していくというユニークな工法をとっています。
今回の「匠の一品」では、自動車業界一辺倒だった同社が発想の転換とひらめきから始まった、自動車部品からできたアウトドアグッズのブランド「TANAKA OUTDOOR」から、キャンプを素敵に盛り上げるランタンシェードを紹介します。
それは社内唯一のキャンプ愛好者のひらめきから始まった
このTANAKA OUTDOORブラントのアウトドア用品は、今では相模原市内の様々なショップで販売され、SNS上でも人気のある商品です。しかし、ランタンシェードの先行商品のガス缶カバーを擁してブランド立ち上げを企画した当時、社内で唯一のキャンプ愛好家であった木原主任はこの企画について会社の理解を得るために、様々な努力をしたそうです。特に、入念に市場データを収集して、ガス缶カバーに関心が無かった人でも理解できるよう市場規模の大きさを説明したり、近隣にある幾つものアウトドア関連施設を訪問して聞き取ったTANAKA OUTDOORのガス缶カバーを求めたいという潜在顧客の声を社内でアピールしたりすることには力を注いだそうです。最終的に、自動車部品で作ったガス缶カバーの魅力と希少性を説き、「絶対に売れる」と田中社長に約束して了解が得られたそうです。
地域とつながり「メイドインさがみはら」の推進役に
このランタンシェードは、田中プレス工業の金属加工の過程で発生する軽微なキズなどで廃棄していた生産廃材からできています。施されている塗装は、相模原市内で使われなくなり廃棄されるはずだった塗料の不良在庫を有効活用したものです。それを市内のレーザー加工業者に持ち込み、特殊な3Dレーザー加工機で精巧な模様を付けています。市内企業との強固な連携と高い技術力、そして環境配慮への意識により生まれたこの商品は、令和7年度の相模原市トライアル発注制度の認定品に選ばれ、同市が推進する「メイドインさがみはら」に貢献しています。このランタンシェードは「高い技術を持つ企業が協力し合いながらモノづくりをしている街、相模原」を象徴的な存在になるでしょう。
このランタンシェードを市販のLEDライトと組み合わせると、ライトの明かりがとてもやさしくなります。キャンプの時だけでなく、自宅でランタンシェードのやさしい光を眺めながら安らぎの時間を過ごすのもよいかもしれません。
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令和7年度 相模原市トライアル発注認定制度認定式に出席した木原氏(後列左から3人目)
商品の背景にあるストーリーがその価値を決める
ある時、TANAKA OUTDOORが展示会で大手ブランドの目に留まり、コラボ商品を製作しました。そのブランドから、車のオイルフィルターの部品を使っている点、廃棄されるはずのものを使っている点、元々ある設備や金型で作っているという点など、商品の背景にあるストーリーが面白いと言われたそうです。「カッコいいだけのものは世の中にあふれているし、センスがあればできる。その裏側にある背景、ストーリーこそが消費者には刺さる」と。自動車部品一筋の企業には無かった考え方かもしれません。
TANAKA OUTDOORの製品にはストーリーがあります。その背後に、田中プレス工業がモノづくりで培ってきた技術力や大切にしてきた理念があります。このランタンシェードの光をじっと眺めると切磋琢磨する技術者の姿を想起したり、モノを大切にすることの大切さを実感したりできることでしょう。

やさしい光で時間を演出してくれるTANAKA OUTDOORのランタンシェード
TANAKA OUTDOORブランドの誕生によって、これまで田中プレス工業として経験してこなかったECサイトなどの消費者向け販売チャネルの開拓や、SNSを活用したデジタルマーケティングなどの広報活動を始めています。TANAKA OUTDOORブランドのランタンシェードがさらに多くの消費者の手にわたり、15年後の創業100周年を目指して田中プレス工業のストーリーは続いていきます。

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